- 「保健指導と特定保健指導って何が違うのかよくわからない…」
- 「健康経営優良法人認定の保健指導の項目をよく知りたい!」
- 「保健指導を行うにあたり、企業でどのような取り組みができるの?」
このようなお悩みをもつ方のために、今回は「保健指導/特定保健指導」についてご説明します。
保健指導/特定保健指導とはそもそも何なのか、企業内でできる取り組み事例や健康経営優良法人認定との関係などについて簡単にご紹介します。
目次
保健指導とは
保健指導とは、一般の人々や特定の集団に対して、健康に関する知識や情報を提供し、予防や健康の促進に役立つアドバイスを行う活動です。健康診断の結果を踏まえて、運動・食事・睡眠などの生活習慣の改善に対して助言を行います。
健康な人たちや健康リスクが多少あるグループに対して実施され、疾病の予防や生活習慣の改善を促進するのを目的としています。
保健指導の対象者
保健指導は、特定保健指導と異なり実施者、対象者が限定されていません。医師や看護師などの医療専門家が健康増進を目的として、あらゆる人に対して実施できます。
保健指導の対象者については、健康診断の結果から「情報提供レベル」「保健推奨レベル」「受診勧奨レベル」の3段階に分けるのが一般的で、それぞれのレベルに対して適切な保健指導を実施します。
保健指導の内容
保健指導の内容はそれぞれの対象者の状態でも変わりますが、主に生活習慣改善のアドバイスやストレス管理、健診結果から見る疾病リスクの評価と対策などです。
生活習慣改善のアドバイスには、とくに栄養指導、生活指導、運動指導の3つが挙げられます。
- 栄養指導:食事の基本である「主食・主菜・副菜」のバランスや減塩、栄養摂取量、カロリー削減方法などの知識指導。
- 生活指導:生活習慣や勤務状況が原因で健康上の問題が起きている場合に改善・解決のアドバイスをする指導。喫煙や飲酒、睡眠など。
- 運動指導:日常の活動量向上や運動方法についての指導。
特定保健指導とは
次に、特定保健指導について説明します。
特定保健指導とは、特定健診を受けた結果、メタボリックシンドロームのリスクがある40~74歳まで方を対象に行う健康サポートです。
特定健診とは主にメタボリックシンドローム該当者及びその予備群を減少させることを目的として実施される健診です。
対象者が健康に関するセルフケア(自己管理)ができるように、健康づくりの専門家である保健師または管理栄養士が寄り添ってサポートします。
特定保健指導の対象者
特定保健指導の対象者は先述した通り、健診でメタボリックシンドロームのリスクがあると判断された40~74歳までの方です。
また実施者も保健指導と異なり、医師、保健師、正看護師、管理栄養士のいずれかの資格が必要です。
特定保健指導の内容
特定保健指導には「動機付け支援」と「積極的支援」の2種類があり、医師、保健師等による個々人の特性やリスクに応じた支援が行われます。
- 動機付け支援:個別面接またはグループ支援を原則1回行い、対象者が自らの生活習慣を振り返り行動目標を立て行動に移し、その生活が継続できることを目指した支援。3~6カ月後に通信等(電話・Eメール・FAX・手紙等)を利用して評価を行う。
- 積極的支援:動機付け支援に加え、3カ月以上の定期的・継続的な支援(電話・Eメール・FAX・手紙等を利用)を行い、対象者が自らの生活習慣を振り返り行動目標を立て行動に移し、その生活が継続できることを目指した支援。3~6カ月後に通信等を利用して評価を行う。
保健指導と特定保健指導の違い
さて、ここまでお伝えした保健指導と特定保健指導の違いについて一旦まとめます。
保健指導は一般健診だけでなく、個別の健康相談や病院での治療時などさまざまな場面で実施されます。
一方、特定保健指導は、特定健診の受診でメタボリックシンドロームの対象者やその予備群に対して実施される指導であるという違いがあります。
保健指導・特定保健指導を行うメリット
保健指導/特定保健指導のメリットは大きく2つあります。
1つめは従業員の健康増進です。
保健指導によって従業員の健康をサポートするため、病気の予防や健康増進に役立ちます。また定期的な健康チェックや健康相談、生活習慣のアドバイスを受けることで、従業員の疾病リスクの低下が期待できます。
2つめは従業員の満足度、生産性の向上です。
従業員の健康状態が良ければ、満足度や生産性の向上が期待できます。従業員が体調不良になってしまうと、仕事へのモチベーションが下がったり集中力が低下したりする恐れがあります。
健康な従業員は体力的にも精神的にも負担を軽減でき、業務でも高いパフォーマンスを引き出せるのです。
健康経営優良法人認定における“保健指導・特定保健指導”の項目
保健指導/特定保健指導の項目については設問が2つあります。
Q.保険者による特定保健指導の実施を促すために事業主側としてどのような取り組みを行っていますか。
◆特定保健指導の対象者がいない場合も、ルールの整備・明文化を行っていることをもって取り組みとみなします。
◆特定保健指導の対象者は特定健診(いわゆるメタボ健診)の結果、生活習慣の改善が必要と判断された人を指します。
- 事業主側から対象の従業員に特定保健指導の案内を周知している
(例:健診結果の返却時に特定保健指導の案内を同封する等)
- 特定保健指導実施の支援を行う担当者を設置している
- 管理職に対して、特定保健指導の重要性を伝えた上で、業務上の配慮をするよう指導を行っている
- 特定保健指導実施時間の就業時間認定や有給の特別休暇付与を行っている
- 社内にて特定保健指導実施場所を提供している
- 対象者が特定保健指導を受けやすいよう、特定保健指導と労働安全衛生法の事後措置とを一体的に実施している
- 事業場や対象者の繁閑を保険者と共有し、対象者が特定保健指導を利用しやすい環境を作っている
(例:健康診断と同日での初回面談の実施、勤務シフトの調整等)
- 事業場からオンラインで特定保健指導を受けられる環境を整備している
Q.健康診断の結果を踏まえ、特に健康の保持に努める必要があると認められる従業員に対し、医師、保健師、地域産業保健センター等による保健指導(特定保健指導を除く)を実施していますか。
◆労働安全衛生法第66条の7に基づく有所見者等に対する保健指導を想定しています。(法令上は努力義務)
- 産業医、保健師、地域産業保健センター等による保健指導を実施した
それぞれ、特定保健指導/保健指導について、企業から何らかの対策をしているかどうかを尋ねる設問となっています。
どちらも非実施の場合は、評価項目不適合となってしまいますので、対象の従業員がいなかったとしても環境を整えておくのが重要です。
保健指導を行うために企業でできる取り組み
1.保健指導の情報を社内に周知する
保健指導とは何か、どのようにしたら受けられるのかなどの情報を社内に周知する取り組みです。
まずは従業員に保健指導の内容やメリットなどを伝えるのが重要ですので、文書やメールなどで情報を周知するのがよいでしょう。
2.特定保健指導対象者への声かけ
自社の従業員の中に特定保健指導対象者がいることを企業側で把握し、特定保健指導を受けるように積極的な声かけを行いましょう。
3.保健指導/特定保健指導を就業時間内に受けられる制度を整える
保健指導/特定保健指導を受けるようにと指示しても、従業員から「忙しいので受ける時間がない」と言われてしまっては元も子もありません。
就業時間内に保健指導/特定保健指導を受けられる時間を設けることで、確実に指導を受けてもらい、健康を維持していくことが大切です。
4.企業内で保健指導/特定保健指導を受けられる場所を提供する
時間の管理が難しい場合は、企業内に保健指導/特定保健指導を受けられる場所を確保するのも有効です。
企業側で保健師や看護師などに会社まで来てもらうよう依頼し、企業内で保健指導/特定保健指導を受けてもらいましょう。
保健指導/特定保健指導を有効に活用し、従業員の健康を維持しましょう。
今回は保健指導と特定保健指導について紹介してきましたが、どちらも従業員の健康を維持するための大切な取り組みです。従業員に長く健康に働いてもらうために、保健指導/特定保健指導を積極的に受けてもらえるような施策を実行しましょう。
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