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ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは? 定義や具体例、職場での対応策を解説

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは? 定義や具体例、職場での対応策を解説
  • 「ジェンダーハラスメントという言葉を近年聞くようになったが、どういう意味?」
  • 「どのような言動がジェンダーハラスメントになるの?」
  • 「ジェンハラ対策に企業で取り組みたいが、何をしたらいいかわからない…」

このような疑問やお悩みをお持ちの方のために、今回はジェンダーハラスメント(ジェンハラ)について紹介します。
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)の定義や具体例、セクハラとの違いや職場での対応策などを簡単に説明します。
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)について詳しく知りたい方、職場のジェンハラ対策を進めたい方はぜひご覧ください。


ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは、「性別によって社会的役割が異なる」との固定概念に基づく嫌がらせや差別を指します。
 
たとえば、「お茶汲みは女性の仕事だ」「男のくせにそんなこともできないのか」など、性別によって役割を決めつけたり、個人の価値観から性別に対して差別的な言動をしたりすることが該当します。
 
ジェンダーハラスメントは個々のアイデンティティにかかわる嫌がらせだと言えるのです。

ジェンダーハラスメントが発生する原因

ジェンダーハラスメントが発生する原因は大きく次の2つです。

加害者に悪気がない

1つめに加害者側に悪気がない点が挙げられます。加害者本人が自分の言動をジェンダーハラスメントだと自覚しておらず、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまっているケースです。
 
ジェンダーハラスメントに限らず、すべてのハラスメントは被害者が加害者の言動に不快感を覚え「ハラスメントを受けている」と感じてしまうと、それらに該当してしまう可能性があります。
 
その他のハラスメントについて詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

世界各国と比較した日本のジェンダー意識の低さなど

世界各国と比較した日本のジェンダー意識の低さなど
2つめの原因は、世界各国と比較して日本のジェンダーに対する意識が低い点です。
世界経済フォーラムが発表した2022年のジェンダー・ギャップ指数(※)の日本の総合順位は、146か国中116位0.650と非常に低い数値です。
なお、1位のアイスランド0.908と、ほぼ完全平等に近い値になっています。
 
ジェンダー・ギャップ指数:各国における男女格差を測る指数。0が完全不平等、1が完全平等を示している。
 

ジェンダーハラスメント被害者の割合

ジェンダーハラスメント被害者の割合
日本労働組合総連合会が2017年に実施した「ハラスメントと暴力に関する実態調査」によると、ジェンダーハラスメントを受けた、また見聞きした人は全体の25.4%にのぼると結果が出ています。(回答者数1000名)
 
他の「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」「マタニティハラスメント」「ケアハラスメント」「SOGIハラスメント」と合わせた6つのハラスメントのうち、3番目に多いです。
 
またジェンダーハラスメントの割合を性別別でみると、女性が28.4%、男性が22.4%となっており、女性の方が被害が多い傾向にあります。しかし、男女どちらも被害を受けている割合は高いです。
 

ジェンダーハラスメントとセクシュアルハラスメントの違い

ジェンダーハラスメントとセクシュアルハラスメントの違い
ジェンダーハラスメントと似たハラスメントにセクシュアルハラスメント(セクハラ)があります。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、「性的な言葉や行為、または性的な意図を持つ言動によって、他の人に不快な思いをさせたり、嫌がらせをしたりすること」を指します。
 
それに対し、ジェンダーハラスメントは性別の固定概念に基づいて行われる嫌がらせやいじめ等の行為なので、2つの意味合いはこの部分で異なります。

企業がジェンダーハラスメントを放置するリスク

企業内で起きたジェンダーハラスメントを放置していると、企業にとって悪影響を及ぼします。問題が大きくなる前に食い止められるよう、ジェンダーハラスメントが企業に与える悪影響について説明します。

心理的安全性が低下し、業務の生産性が悪化する

心理的安全性が低下し、業務の生産性が悪化する
ジェンダーハラスメント被害は、従業員のモチベーションに直結します。被害者は「また性別のことで嫌がらせを受けるかもしれない…」と考えてしまい、仕事に集中できず、業務の生産性が悪化するリスクがあります。

このような状態を「心理的安全性が低い」と表現します。心理的安全性の低い企業では従業員のモチベーションが下がり、業務の生産性も悪化してしまうのです。
 
心理的安全性について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

離職率の増加

離職率の増加
先ほど心理的安全性について述べましたが、心理的安全性の低い会社は離職率が高まります。
ジェンダーハラスメントを放置し続けると、被害者は会社にいることを苦痛に感じ、休職や退職に追い込まれてしまいます。

悪評の流布による企業イメージの低下

企業内のジェンダーハラスメントの問題がメディアで取り上げられるほど大きくなると、企業イメージが低下します。またSNSが広く普及している現代では、従業員の書き込みによって、簡単に悪評が広まります。
近年SNSで企業の実態をリサーチする求職者も増えているので、一度悪評が広まると採用活動も困難です。
 
SNSについて詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

法的責任を問われるリスク

企業には、労働契約法第5条により、「使用者(企業)が従業員の安全に配慮する義務」があります。企業がジェンダーハラスメントを放置してしまうと、「従業員の安全を守らなかった」として、安全配慮義務に違反し、ハラスメントを受けた被害者から損害賠償を請求される可能性があります。

職場のジェンダーハラスメントの具体例

ここまでジェンダーハラスメントの概要や、企業がジェンダーハラスメントを放置するリスクなどについて説明しました。
次は実際にどのような言動がジェンダーハラスメントになるのか、その具体例を紹介します。

性差別的な言動・性別で相手に偏見をもつ

性差別的な言動や性別で相手に偏見をもつ等の行為はジェンダーハラスメントに該当します。
 
【具体例】
  • 「男のくせに」「女のくせに」「男らしく」「女らしく」等の言葉を用いる
  • 「男なら泣くな」等と男性に強さを要求する
  • 「女なら黙って男を支えろ」等と女性に弱さや補助役を強いる など

性別で仕事配分に差をつける

性別に関する理由で、仕事配分に差をつけたり、勝手に役割を決めたりすることもジェンダーハラスメントです。
 
【具体例】
  • 「お茶汲みは女の仕事だ」と決めつけられる
  • 社内の雑用を女性だからという理由で押し付けられる
  • 「男なのだから残業するのが当たり前だ」と残業を強要される
  • 「力仕事はすべて男がやれ」と重労働を強いられる など

性別によるキャリアや昇進に関する差別

性別によるキャリアや昇進に関する差別
性別によってキャリアや昇進について差別する行為もジェンダーハラスメントに該当します。
 
【具体例】
  • 「女性は出産や育児ですぐ休職するから昇進できない」と言われる
  • 「女性には管理職なんて無理だよ」等の発言 など

LGBTQ+の問題

LGBTQ+の問題
ジェンダーハラスメントとして世界でも注目されているのが、LGBTQ+の問題です。
LGBTQ+とは、それぞれ以下のような意味があります。
  • L:レズビアン
  • G:ゲイ
  • B:バイセクシュアル
  • T:トランスジェンダー
  • Q:クエスチョニングおよびクィア
  • +:既存のカテゴライズに当てはまらないさまざまな性のありよう
 
これら性の多様性について、差別的発言をするのはジェンダーハラスメントになります。
 
【具体例】
  • 「男/女のくせに気持ち悪い」等の侮辱
  • 身体は男性だが、性自認が女性である社員がスカートを着用していた時に、ズボンを着用しろと注意する
  • 性自認は男性だが、生物的に女性であるため話し方が女性っぽくなっている社員を馬鹿にする など

職場におけるジェンダーハラスメントの防止・対応策

ジェンダーハラスメントに関する企業方針の明確化と周知

ジェンダーハラスメントに関する企業方針の明確化と周知
事業主は、職場におけるハラスメントに関する方針の明確化と、従業員に対するその方針の周知を行わなければなりません。
周知・啓発をするにあたり、ジェンダーハラスメント発生の原因や背景について、従業員の理解を深めることが重要です。

ハラスメントに関する研修の実施

ジェンダーハラスメントに限らず、ハラスメント問題についての研修を実施することが大切です。
どのような言動がジェンダーハラスメントになるのか、ジェンダーハラスメントをしてしまった場合のリスク、ハラスメント被害者の気持ちなどを詳細に従業員に伝える必要があります。

相談窓口の設置

相談窓口の設置
従業員からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために、必要な体制を整備しましょう。
ジェンダーハラスメント専用の相談窓口というよりは、ハラスメント全般に対応できる窓口の設置を推奨します。
 
また、ハラスメントについて外部の専門家(産業医、弁護士など)に相談ができる体制を整えておくことも効果的です。

ハラスメント発生時の対応フローの作成と周知

ジェンダーハラスメントが実際に発生してしまった時の、対応フローを作成することも大切な対策です。また、その対応フローを関係者の社員に周知しておけば、相談窓口担当者だけでなく、上司等も被害者のフォローができます。

ジェンダーハラスメントは企業内に限らず、社会全体の問題

ジェンダーハラスメントは、今や企業内に限らず社会全体の問題です。国内のジェンダー意識を高めるためにも、企業が率先してジェンダーハラスメント対策を行っていきましょう。

また、ハラスメント対策は健康経営を実現するうえでも役立ちます。健康経営について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。
参考ページ:健康経営とは? 意味とメリット、やり方・取り組み例を初心者向けに解説
 
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