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『折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』健康経営書籍レビュー

『折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』健康経営書籍レビュー
健康経営に関する本・書籍をご紹介。 今回は『折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』( 著:伊藤絵美)の読みどころやポイントを紹介します。
日常で感じるさまざまなストレスを例に挙げ、「コーピング」という手法で対処する過程を解説した書籍です。
タイトルにもある通り、メモ1枚あれば読み進めながらすぐに実践できる手軽な内容です。
【特に重要なポイント・内容】
  • ストレスとは以下の2つが対になっている。
ストレッサー:人間関係や工事現場の騒音など、自分を苦しめるストレス環境のこと。
ストレス反応:イライラする、気分が落ち込むなど、ストレッサーに対する心と体の反応のこと。

  • 小さなストレスであっても、自分にとってのストレッサーとストレス反応に気づくことが大切である。時間をかけて積み重なったものが重大な病気を引き起こす可能性があるため、ストレスにいち早く気づき溜め込まないようにする。

  • 自分のストレスに気づくことをセルフモニタリングという。セルフモニタリングでは、ストレスに関する内容を紙に書きだし細分化して観察する。具体的にはストレスに感じた出来事やきっかけ、ストレスによって生じた感情や体の変化、行動などを書き出す。書き出したものをまとめると、自分がストレスを感じやすい傾向やポイントを発見できる。
  • コーピングとはきっかけも症状もさまざまなストレス一つひとつに対して、意図的に対処する自分助けのことである。たとえば好きな音楽を聴く、おいしいものを食べるなど、ストレスへの対処として意図的に行っているものはすべてコーピングである。

  • コーピングは質より量が重要である。理由はストレスに応じてさまざまなコーピングの中から選択ができ、1つのコーピングに依存するリスクを減らせるからだ。たとえば「ポテトチップスを1袋食べる」というコーピングは慣れて効果が得られなくなった場合、食べる量が2袋、3袋と増えていき健康を損なう危険性がある。対して、コーピングのレパートリーが多い場合は別のコーピングを選べ、最適な効果を発揮する組み合わせを見つけられる。

  • コーピングの内容は本格的ではなく、たとえば「ボールペンの数を数える」「プチプチをつぶす」「手を洗う」のような些細なことでよい。「好きなタレントの顔を思い浮かべる」、「行ってみたい国の写真を眺める」など、いつでもどこでもすぐに試せるローコストなコーピングを多く用意しておくと効果的である。
  • 書き出したコーピングレパートリーはいつでもストレスに対処できるよう、常に持ち歩くとよい。ストレスを感じていると気づいたらセルフモニタリングを行い、効果がありそうなコーピングをコーピングレパートリーの中からマッチングさせる。「このストレスにはどれを試そうか」とワクワクしていき、次第にコーピングを選ぶ作業自体がコーピングになる。ゲーム感覚でコーピングを楽しめるようになるのだ。

  • 一度作成したら終わりではなく、コーピングレパートリーは増え続ける。レパートリーに追加したコーピングは一度効果がなかったとしても決して外さず、時間をおいて再度試すことにより効果が現れる可能性がある。

  • コーピングレパートリーを持ち歩くと、自然と「いざとなったらこれを見ればいい」と思えるので、心の安心材になる。必要以上にストレスを恐れず、ゆったりとした気持ちでいられる。本来なら心を痛めつけられていたようなことでも、不思議とダメージを受けなくなっていき、「ストレス耐性」が高まるのだ。持ち歩くだけで「お守り」の効果を得られるのは、コーピングのメリットのひとつである。


後半では著者オススメの5つのコーピングや、マインドフルネスのエクササイズ、実践に使えるワークシートが掲載されています。
職場だけではなく私生活など幅広い場面において、メンタルヘルスのセルフケアに役立つ一冊でしょう。
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