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大和電設工業株式会社様|健康経営事例

写真左から三﨑様、佐々木様、田澤様
健康経営優良法人の認定はゴールではなくスタートで、取得後の活動のほうが大事です

大和電設工業株式会社 
・佐々木様
・三﨑様
・田澤様

#京都府京都市
#情報通信設備工事業
#https://www.d-d-k.co.jp/
大和電設工業株式会社様は京都府を中心に、滋賀・大阪・兵庫などで情報通信系のインフラ工事・整備やICTソリューション提供をおこなっています。
主な取引先は一般企業・官公庁・病院・学校など幅広く、合計で4000社を超えます。

健康経営優良法人のほか、「京の子育て応援企業」・「きょうと健康づくり実践企業」などの認定も取得されており、子育て世代への支援にも積極的です。

また、技術者の資格取得費用を会社側で全額補助し、資格取得時に報奨金や資格手当を支給するなど、社員のスキルアップにも尽力されています。

今回は健康経営や子育て支援・女性社員の活躍支援を担当されている、佐々木様・三﨑様・田澤様にお話をうかがいました。

京都府が企業の健康増進に積極的という背景もあり、健康経営をスタートさせた

Q.健康経営を始めたきっかけを教えてください

きょうと健康づくり実践企業 認証書
きょうと健康づくり実践企業 認証書
(佐々木様)
健康経営を始めたきっかけは、自治体や協会けんぽからのお勧めですね。

実は京都府は企業の健康増進に熱心な自治体でして、「きょうと健康づくり実践企業」という認定制度も設けています。

弊社も京都の協会けんぽ様からお話をいただきまして、「きょうと健康づくり実践企業」の認定を取得しました。

その後、健康経営優良法人制度があるのを知りましたが、当初は「国の認定制度だからハードルが高そうだな…」と感じていました。

※健康経営優良法人…健康経営に取り組む優良な大企業・中小企業・その他法人を認定・顕彰する公的制度

しかし、健康経営優良法人の認定を受けている企業のなかに、たまたま私が知っている大阪の同業他社の会社があり、「ウチと同じような規模・業種の会社でも認定を取れるのであれば、取得できる可能性がありそうだ」と考え、弊社も認定を目指すことにしたんです。

Q.健康経営という言葉を最初に聞いたときのイメージはいかがでしたか?

(佐々木様)
最初は健康経営について明確なイメージは持てなかったですね。

もちろん社員あっての会社ですから、健康が大事ということはなんとなくはわかるんですが、健康と経営がどう結びつくかについては、あいまいだったと思います。

そもそも「健康経営は大企業や先進的な企業が取り組むもの」という先入観もありましたので、自社からは縁遠いものではないかとも感じていました。

Q.三﨑様は健康経営という言葉を初めて聞いたとき、どんなイメージを持ちましたか?

(三﨑様)
そうですね、「健康経営」には「経営」という文字が入っているので、「経営者層の方が実施するものだ」と思っており、「自分の業務とそこまで関係するのかな?」と感じていました。


Q.健康経営を始めた当初に課題はありましたか?

健康経営優良法人 認定証
健康経営優良法人 認定証
(佐々木様)
大和電設工業の今までの取り組みと、健康経営優良法人の認定要件に通じるものがあったので、そこまでハードルの高さは感じませんでしたね。

むしろ、健康経営優良法人の申請を出して、「自社の今までの取り組みは、中小企業のなかでは進んでいるほうだったのか」と気付くきっかけになりました。

ただし、健康経営優良法人の認定要件を満たすだけならそこまで大きな課題はなかったのですが、「認定を受けるだけでなく、本質的に健康経営を推進していくうえでは課題はまだまだ多いな」というのが、現在の率直な感想です。

がん検診などを勤務時間内で受診可能 婦人検診は年齢に関係なく費用を会社が負担

Q.健康経営で実施した具体的な取り組みを教えてください

(三﨑様)
健康診断の充実には力を入れていますね。
35歳以上の社員ががん検診などを受ける際は勤務時間内で受診できます。

また、子宮頚がんや乳がんなどの婦人検診については、希望者は年齢に関係なく費用を会社が負担しております。
さらに、インフルエンザの予防接種の費用補助も実施しています。

ストレスチェックについては義務化がスタートした直後に進めまして、高ストレス者には産業医の先生に面談してもらうなど、メンタルヘルスケアにも力を入れていますね。

他には、洛和会ヘルスケアシステム様という健診機関から講師の方を派遣していただいて、運動推進の健康講座を実施いたしました。

健康講座には18名の社員が参加し、測定装置を持ちこんで社員の体組成や筋肉量・脂肪量等を測定したり、実際に身体を動かしてストレッチを行ったりしました。3か月後には、フォローアップとして再度測定を実施します。

また、予定を合わせて参加するのが難しい方も受講できるように、録画配信型の健康講座も予定しています。

内勤の子育て世代の社員はリモートワークが可能に お子さんを連れての出勤も選択できる

Q.これは健康経営というより子育て支援の内容になりますが、大和電設工業様は「京の子育て応援企業」という認定も取得されています。子育てとお仕事の両立についての取り組みを教えてください

(田澤様)
2021年の3月から子育て世帯向けに特別勤務という制度を開始しました。

これまで春休みや夏休みに学童施設がお休みのときには、お子さんを1人家において社員が出勤するのはどうしても難しいという課題があったんです。

そこで子育て世帯ではリモート勤務(テレワーク)を選択可能にして、家でお子さんの様子を見ながら働けるようにしました。

それでも、どうしても出社しないといけないときは、お子さんを連れて出社してもらうことも可能にしています。
職場にお子さんがいる状態でも、今のところは特にトラブルなどはありませんでしたね。

男性の育児休暇も弊社では推進しておりまして、現在は1年に1名程度が利用している状況ですが、今後はもっと取得される方が増えていけばと思っています。

2022年10月から、育児・介護休業法が改正されて分割取得ができる「産後パパ育休」などの制度も始まりますが、まだ十分に認知されているわけではないと思いますので、まずは男性社員にもより育休を取得して貰えるように周知するところから始めています。

設備工事というテレワークが難しい業種でも、ITを導入して効率化を推進

(佐々木様)
これまでお話ししたように子育て中の内勤の社員のテレワークは進んでいるのですが、弊社の事業は現場での設備工事が中心なので、さすがに全社員がテレワークを導入するのは難しいですね。

また、個々の技術者が各現場で作業しているので、社員全体の活動を会社が把握しづらいという問題がありました。

そこで技術部に大型のディスプレイを設置し、各社員がどの現場にいるのかや労働時間をすべて見える化しました。

作業の平準化や、ゆくゆくは長時間労働の防止につなげていくことができればと考えています。

勤怠管理システムの導入で、会社に戻らなくても残業や有給休暇の申請ができるように

(田澤様)
今までは残業や有給休暇の申請を紙でおこなっていたので、技術者がいちいち現場からオフィスに戻ってきて紙に記入して、判子を押してもらう必要があり、かなりの手間が発生していたんです。

そこで、数年前からクラウド型の勤怠管理システムを導入して、スマホを使えばどこでも残業・有休申請ができるようにしました。

それに、1時間単位の有休申請もできるようになりましたので、社員が休みをとりやすい環境になったと思います。

健康データの活用やプレゼンティーズムの改善が今後の課題

Q.健康経営の取り組みを進めるなかで、イメージの変化などはありましたか?

(佐々木様)
最初は「他の会社でも健康経営優良法人を取得できているのだから」と簡単な気持ちで取り組んで、実際に健康経営優良法人はスムーズに取得できたのですが、真の意味で健康経営を進めるのは相当大変だなと実感しました。

健康経営を進めていくなかで課題が多く出てきていまして、特にプレゼンティーズムの改善などはネックになっていますね。

プレゼンティーズム…従業員が出勤はしているものの、心身の健康状態に不調をきたして従業員が本来のパフォーマンスを発揮できない状態

また、健康管理についての社員の意識もまだまだ十分とは言えませんので、そちらも向上していく必要があります。

さらに、経営層が健康という要素をどうマネジメントに活用するかについても発展途上です。

とりわけ健康データの利活用については、もっと改善していきたいと思っています。
現在弊社では有給休暇の申請の際は簡素に「私用」などと書くことが多いので、疾病休業率を全社的には把握できていないんですね。

体調不良の際はその旨を明記して申請してもらって、そのあたりのデータの見える化も実施していきたいところです。

(三﨑様)
社員のみなさんは健康診断を受けることとその結果にも関心が高いんですが、特定保健指導(メタボ健診)への参加率が低いですね。

自分の健康に関する意識は高いんですが、実際にそれを改善するための行動については二の足を踏んでいる方が多いのかなと思います。

起きてほしくないハラスメント事例も、まずは実際に調査して現状を把握することが大切

(佐々木様)
メンタルヘルスケア施策としては、匿名でのハラスメントの実態調査をしました。表面的にはハラスメントなどないような職場なのですが、水面下ではそれが疑われるような事例がゼロではなかったですね。

それらハラスメント対策の整備も今後の課題になっていますね。

弊社は従業員数100名以上の会社ですが、これくらいの規模以上の企業ではハラスメントが疑われる事例はいつ出てきてもおかしくないと思いますので、やはりアンケートをしてよかったと思いましたね。

なお、ハラスメント調査などの結果については社内報で会社全体に共有しています。

Q.健康経営を進めるなかで、社員のみなさんに変化などはありましたか?

(佐々木様)
そうですね、各種健康に関するセミナーも最初は「誰も参加しないんじゃないか」と危惧していたんですが、意外と参加希望者が多くて驚きましたね。

なので、健康に関する意識自体は高まっていると思います。

ただし、運動や規則正しい食生活などのプライベートに関わる箇所については、会社からアプローチしづらいですので、今後の課題ですね。

健康経営がきっかけで、京都府知事からインタビューされ、京都府内全域にテレビ放送されることに!

Q.健康経営優良法人やその他の認定を取得して、社外からの反応はありましたか?

(佐々木様)
地元のテレビ局のKBS京都様から「取材させてほしい」とお声がけいただきまして、弊社の健康経営の取り組み(子育て支援やITを導入した取り組み)が京都府内に放送されたことがありました。

その際は京都府知事に、弊社の取り組みをインタビューしていただきました。

そういったきっかけで、自社の認知度アップにはつながっていると思いますね。

また、新入社員の募集にもポジティブな影響が発生しています。

資格取得の費用補助と報奨金・資格手当で、社内でスキルアップできる環境を完備

Q.大和電設工業様では社員・技術者の教育を熱心にされていますが、具体的な取り組みを教えてください

(佐々木様)
弊社は情報通信のインフラ工事が主な事業ですから、社員の技術力がそのまま会社全体の信頼度に直結します。

資格取得にかかる費用は会社で負担し、資格取得に成功したときには報奨金を支給するほか、手当として毎月の給与にも反映するようにもしています。

さらに、誰がどの資格を取得しているかについては社内で公表しており、お互いに切磋琢磨して技術を高めていける環境になっています。

今の若い方は「自分が成長できるか」というのも会社選びの大きな要因になっていますから、「大和電設工業に入社するとスキルアップできる」という環境づくりには注力していますね。

弊社では工業系・建築系の出身者にかぎらず、幅広い背景を持った方が技術者として働いています。

基礎的な技術からじっくりと研修しますので、業界未経験の方も問題なくプロフェッショナルとして活躍していますよ。

また、「技術者は男性がなるもの」というイメージが世間的にまだまだ強いですが、大和電設工業では以前から女性の技術者を増やす取り組みを継続しています。

現在の女性技術者の人数はまだまだ少ないですが、今後はもっと増やしていきたいですね。

※大和電設工業のみなさまの日々の活動の様子については、以下の動画をご覧ください

メンタルヘルスケアの一次予防・二次予防・三次予防の拡充を進めていきたい

Q.健康経営優良法人やその他の認定を受けて良かったことなどはありますか?

(佐々木様)
そうですね、地元の自治体様からの反応は良くなりましたね。

京都府から表彰いただくこともあり、京都新聞でも報道していただいたので、会社の知名度・信頼度アップには役立っていると感じています。

Q.その他、健康経営に取り組んで良かったことを教えてください

(佐々木様)
健康増進が認定を取る取らない以前に、経営に深く結びついていることを理解できましたね。

健康という側面で社員をサポートし、業績アップにも貢献したいと考えています。

(三﨑様)
健康経営優良法人を毎年申請するうえで、さまざまな取り組みを実施しないといけないのですが、それが結果的に健康経営を推進する大きなモチベーションになっていますね。

Q.これから健康経営で注力していきたい分野などはありますか?

(佐々木様)
社員の健康状態が悪いと、プレゼンティーズムの影響や作業ミスの発生率も上昇してしまいますので、「自分の健康管理をしっかりすることが、結果的に仕事のクオリティ・効率向上にもつながる」と社員にもっと伝えていきたいですね。

(三﨑様)
弊社では食生活の改善や運動推進が比較的手薄な分野になりますので、運動の健康講座などを通じて推奨していきたいですね。

また、メンタルヘルスケアでも一次予防・二次予防・三次予防のすべてのステップが完備されているわけではありませんから、そちらもしっかりと整備していきたいと思います。

  • 一次予防…メンタルヘルス不調の予防と健康増進。主に情報提供や研修、職場環境の改善が主軸になる。
  • 二次予防…メンタルヘルス不調者の早期発見と対処。ストレスチェックやラインケア、相談窓口での対処が主軸になる。
  • 三次予防…メンタル不調者の治療と職場復帰・再発予防。主に休職中の従業員へのフォローや、職場復帰への支援、再発防止の活動が主軸になる。

(佐々木様)
メンタルヘルス不調などで休職している社員の職場復帰については、厚生労働省からもいろいろなガイダンスが出されていますが、実際にはなかなかシナリオどおりにはいかないですね。

結局人間はひとりひとり性格も個性も違いますから、マニュアル通りの対応が一番難しい分野です。

困難かもしれませんが、社員ひとりひとりに最適な職場復帰の方法を考えないといけないと感じています。

まずは健康経営優良法人にトライしてみるのがオススメ

Q.これから健康経営を始めたい会社様にアドバイスがあれば教えてください

(佐々木様)
「まずは軽い気持ちで健康経営優良法人に申請してみたらどう?」と思いますね(笑)

申請して初めてわかることがたくさんありますので、行動するまえにいろいろ考えても仕方ないので、とにかく最初はトライすることが一番ですね。

(三﨑様)
私が健康管理や健康経営の業務を担当することになったときは何も知らない状態だったんですけれど、健康経営優良法人に申請すると自社ができている分野とできていない分野が明らかになります。項目が細かく設定されていますので、社内での取り組みを推進する際の具体的な目標にもなります。

なので、まずは申請してみることが大事だと思いますね。

インタビュー後記

大和電設工業様のお話のなかで最も印象的だった箇所が、子育て世代の社員が働きやすい環境を整備している点でした。

リモート勤務(テレワーク)のみならず、お子さんを連れての出社が可能なところも非常にユニークです。

こういった制度を作っても、社風や社内の雰囲気とマッチしなければ、活用されないことも多々あります。
しかし、大和電設工業様では特にトラブルなく運用できているとのことなので、子育て世代を大切にするおおらかな社風がうかがえ、とても魅力的でした。

また、子宮頸がんや乳がんなどの女性特有のがん検診の費用を全額負担するなど、女性が働きやすい環境づくりに熱心な点も素晴らしいと感じました。

さらに「健康経営優良法人の認定自体はスムーズに取得できたが、むしろその後の活動で課題が多く見つかった」とのお言葉も参考になります。

大和電設工業様の事業や、取得された各種認定については公式サイトで紹介されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
大和電設工業株式会社
大和電設工業株式会社

所在地:
〒601-8316 京都府京都市南区吉祥院池ノ内町83 

事業内容:情報通信設備工事業
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