本文へ移動

『新世代の認知行動療法』健康経営書籍レビュー

『新世代の認知行動療法』健康経営書籍レビュー
健康経営に関する本・書籍をご紹介。 今回は『新世代の認知行動療法』(著:熊野宏昭)の読みどころやポイントを紹介します。
近年急速に発展している「新世代の認知行動療法」の専門知識から、マインドフルネスの実践方法、マインドフルネスを用いた治療法、マインドフルネス療法にかかわりのある治療法などについて具体的に紹介している本です。
【特に重要なポイント・内容】
  • 「認知行動療法」という言葉はその意味が多様化している。行動療法、認知療法、臨床行動分析などの分野にかかわっているが、それぞれにおいて言葉の使い方が異なっている。
 
  • 新世代の認知行動療法は第三世代と呼ばれることが多いが、それはこれまでの第一・第二認知行動療法よりも優れているという意味ではない。第三世代の認知行動療法は、これまでの認知行動療法に含まれていなかった新しい要素を含むことを指す。
 
  • マインドフルネスとは、今この瞬間に起きているものごとに関心を向け、それをあるがままに観察・知覚し、それに対する思考・感情などにとらわれない心のもちようを意味する言葉である。

  • このマインドフルネスが医学や心理学の領域で広く知られるようになったきっかけは、マサチューセッツ大学医学大学院教授・同大マインドフルネスセンターの創設所長であるJ・カバットジンが「MBSR(マインドフルネスストレス低減法)」という心理療法を開発したことに起因する。
  • マインドフルネスが正式な訓練法として行われる場合は、「歩く瞑想」「立つ瞑想」「座る瞑想」として実践されることが多い。
 
  • 前述した訓練と同時に、日常生活の場面でもマインドフルネスは実践できる。
たとえばお茶を飲むときに、口への運び方や、口に入れるときの動作、口に入ったときの感覚などを一つひとつ感じ取る。それと同時に、飲むことに関するさまざまな思考や感情に気づいたら、静かに感覚側に注意を戻す。
 
  • マインドフルネス瞑想法は、注意集中力を高めるためのトレーニング体系的に組み立てたものである。このことから、MBSRはマインドフルネス瞑想の本質をわかりやすくプログラム化したものだと言える。
  • MBCT(マインドフルネス認知療法)は、認知療法の専門家でZ・V・シーガルとJ・M・G・ウィリアムズ、J・Dティーズデールによって開発されたものである。本治療法は、彼らがうつ病の再発を減らすために、認知療法の効果維持版を開発しようと研究を進めるうちに生み出された。
 
  • メタ認知とは、「認知に適用される認知」のことである。具体的には、思考をコントロールし、モニタリングし、評価するような内的認知的要因を意味する。
 
  • メタ認知に注目する一番の利点は、従来の認知モデルで説明できない複数の問題点に対する1つの解答となる可能性があることである。また、臨床適用を進めるうえで、不安障害やうつ病などを治療する期間が3~4割程度短縮できると報告されている。
 (問題点の例:従来の認知モデルでは認知心理学や認知科学などの基礎科学による裏づけが弱い など)
  • メタ認知理論では「心配」を以下の2つに分けて理解している
タイプ1:危険を察知した際に適応的に働く心配
タイプ2:GAD(全般性不安障害)のように、明らかに過剰になっている心配
ネガティブなメタ認知的信念は「タイプ2」を引き起こすため、疾患の原因として関与する度合いが大きいとされている。
 
  • 行動分析学は、アメリカの行動主義心理学者B・F・スキナーが創始したものである。行動分析学の基本的立場は以下の4点に要約される。
  1. 「個体は、なぜそのように行動するのか?」という問いに科学的に答えることを目的とする。
  2. その目的は、行動を制御する変数を環境の中に同定し、その制御変数と行動との関数関係を明らかにする関数分析により達成される。
  3. ある個体の、ある瞬間における行動は、(1)その個体の遺伝特性(2)その個体の誕生後の環境との接触の歴史(3)その個体のその瞬間の環境条件、のいずれかに属する3種類の変数群により制御されている。
  4. 対象である行動と、その制御の源である環境以外のレベルに関する構成概念は導入しない。
  • 臨床行動分析において、必ず視野に入れる必要があるのが「ルール支配行動」である。ルール支配行動では直接の経験がなくても、新しい行動を習得できる。たとえば、今読者がこの記事を読んで知らなかった知識を習得し、これまでにしたことがない行動を実行できたらそれはルール支配行動になる。
 


後半では、マインドフルネス療法とかかわりのある「メタ認知療法」や「行動療法」について詳しくまとめられています。
認知行動療法をより深く学びたい方にはとても役立つでしょう。
TOPへ戻る