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健康経営事例 
社会福祉法人大洲育成園 様
「わたしたちの笑顔で、周りの人たちを笑顔にする仕事だと思っています。」

社会福祉法人大洲育成園
総合施設長 池田 隆三 

#愛媛県大洲市
#障害者支援施設
愛媛県大洲市で知的障害者を対象とした福祉サービス事業を展開している社会福祉法人大洲育成園様は、2017年に協会けんぽ様に勧められて健康づくり推進宣言をされて以来、従業員の健康維持はもちろん、採用活動などの対外的な面でも効果を実感されております。
今回は総合施設長の池田様と事務長の沖嶋様、総務係長の米澤様に健康経営のお取り組みについてインタビューさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
Q.01
健康経営の取り組みを始められた時期とそのきっかけについて教えてください。

(池田様)
2017年4月に、協会けんぽ愛媛支部から、健康づくり推進宣言をしませんかというご案内をいただきました。その取り組み自体は今までやっていた内容に通ずるところがあり、当施設でもできそうだと手を挙げたのがきっかけです。

また、その頃はちょうど従業員が50名を超えるような時期でもあり、地域の方にも健康経営を発信していきたいと考えました。
なんでも1番にこだわっておりますので、南予(地方)で1番、社福(社会福祉法人)で1番、というところを目指して、取り組みを始めたのがスタートラインだったように思います。

当時の施設長が、「職員はうちの法人にとって宝だ」という考えをもっておりました。人が人を支援する、協力者になって手助けをする、という事業・サービス体系なので職員は法人にとって宝です。一般的な会社であれば経営資源は「もの」や「お金」、という考え方かもしれませんが、福祉業界においては人財こそが経営における重要な位置づけ・資源です。

「福祉はひとなり」という言葉もあり、そういった考え方が従前からあります。利用者が笑顔で生活できる施設づくりのためには、まずは支援者である自分たちが心身ともに健康であることが重要であると思います。そういった思いから健康経営に取り組み始めました。
Q.02
健康経営の取り組みを始められるにあたっての課題などは当時ございましたでしょうか。

(米澤様)
職員全員にどうやって意識づけすればよいか、ということや、周知したとして、その結果どのようになるか、といったところが手探り状態だったことです。
事務長 沖嶋様
Q.03
具体的な取り組みをお聞かせいただけますか?

(沖嶋様)
健康課題の把握と、受診勧奨の取り組みに力を入れております。
一般検診に追加して受診する付加健診の費用を、法人が全額負担しています。
加えて、35歳以上の特定保健指導がある年齢になりますと、原則胃カメラの実施を勧奨しており、対象職員のほとんど(9割5分以上)が胃カメラを実施しています。

また、歩行運動に関しては、他からよく「珍しい」と反響いただいている取り組みの1つです。
今はコロナの影響で屋外(グラウンド)を歩くことがなかなかできなくなっておりますが、食後13時半から、利用者さんと一緒に20分間、歩行運動を行っております。雨天などで屋外が難しいときは、施設内が回遊できるようになっていますので、利用者さんと一緒に施設内で歩行運動を行っております。

受動喫煙対策に関しましては、当施設は福祉サービスを提供する施設の為、当初(健康経営を始める前)から敷地内全面禁煙となっております。
私も含め、喫煙する方は、勤務時間外―休憩中に、敷地外でタバコを吸っていただくように周知しております。その為、業務中は自然と吸わない習慣になってきて、喫煙の回数も激減していると思います。

また、施設(敷地)内には、利用者さんや職員が利用する自動販売機が複数台ありますが、そこに特定保健用食品(トクホ飲料)や乳酸菌系の飲み物を置いて、少しでも体に良いものを選択いただけるようにしております。
Q.04
健康経営を通じて“従業員”にどういった変化がございましたか?

(池田様)
運動をする意識が高まったことです。
協会けんぽが行っているウォークラリーなど、イベント事に積極的に参加するようになりました。

(米澤様)
弊社は70名ほど職員がいますが、そのうちの半分ほどは様々なイベントに参加してくれていると思います。
施設がある行政区の平地区では「防災ウォークラリー」という、避難所を巡るウォークラリーが開催されたのですが、歩くのなら参加しようということになり、新規採用の職員も含め参加いたしました。
このイベントは、平成30年の西日本豪雨災害から、地域が災害に危惧したこともあり始まりました。3人一組で歩いて避難所巡りをしましょうというコンセプトになっており、これに参加したことで各地区の避難所の場所を把握することができ、地域との接点をもちやすくなりました。

(池田様)
住民の方々とのコミュニケーションの場にもなり、接する機会が増えましたね。
Q.05
健康経営を通じて“対外的”にどういった変化がございましたか?

(米澤様)
やはり求人活動については、目に見えて変化があったかと思います。
学校の先生との信頼関係がより深まりましたし、クリーンなイメージのためか学生さんの紹介が増えたことが一番大きいです。
求人活動をされている学生さんやご家族、学校の先生方が、それまでは健康経営について意識されていなかった気がいたします。
しかし、4年連続でブライト500の認定を得た現況、継続した取り組みについて、学生さんなどから質問を受けたり、健康経営の情報を見た学生さんが求人募集に手を挙げてくれることが増えました。
採用活動においては、徐々に成果を実感しています。昨年は2名でしたが、今年は新卒者5名(の内定者)を獲得しており、この辺の企業ではなかなかないのではないかと思っております。
また、地域のみなさんに地域活性化に繋がる求人採用は、生まれ育った地域で活躍する職場の提供として、情報発信し、成果に繋がることで、地域貢献にもつながっているのではないかと思っています。

(沖嶋様)
愛媛県の中村知事が防災士の養成に力を入れているのですが、ご存じですか?
この「防災士取得率」というのが、実は大都会の東京に次いで、全国で愛媛県が第2位なんです。それもあと1000人ほどで抜く勢いで、コロナ関連の自粛で東京が活動できない中でも、愛媛県では、規模を縮小したり地道な活動を続けて機会の場の提供があったため、昨年は抜けるかと思ったのですが、その差はまだ埋まっていません。当法人では令和元年度より、地域防災の中核を担う防災リーダー「防災士」の育成にも力を注いでいます。
資格登録者は現在7名、今年度は7名が受講し、登録者数の倍増に向けて、全職員登録に向けて取り組んでいます。平常時から想像・想定される災害を認識、理解し災害に対する正しい知識を身に着けておくことの大切さ、その正しい知識で適切な判断ができる人材を育成します。
社会福祉法人の職員が地域防災の中核を担う防災リーダーとなり、未曾有の事態が発生した際にも、少しでも地域に貢献できればと思っております。

(補足)
防災士とは、「自助」「共助」「協働」を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、 そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人のこと。
東京…18,361人 愛媛…16,855人(2021年12月時点)
https://bousaisi.jp/aboutus/


Q.06
健康経営に取り組んで良かった点について教えてください。

(池田様)
みんなが健康について意識をし始めて、最高70歳まで勤めていただいたという職員も徐々に出てきております。
そういった部分を考えても、成果として表れている気がいたします。

(沖嶋様)
長く勤めていただけるということも視野に、就業規則の変更も行います。
令和4年度からは、定年の延長も理事会で承認いただき、65歳定年、定年後の雇用継続を70歳まで引き伸ばしました。
ただこういう取り組みは、職員のみなさんが健康で働く意志がないといけない、というところに結びつくのですが、健康に関する様々な取り組みにより、元気に継続して勤めていただけるのではないかと思っています。
Q.07
健康経営の取り組みを通じて出てきた課題などがありましたら教えてください。

(沖嶋様)
認定されるための項目のひとつに、ワークライフバランスというものがあり、「仕事と家庭の両立」がひとつの課題でした。
有給休暇をとりやすくするためにいろいろと考え、有給休暇を時間単位で取得できるようにいたしました(上限40時間)。
本来であれば、理由の有無にかかわらず休暇の申請がなされた場合、原則承認される有給休暇です。休暇を申請するにあたり理由の記入欄を申請書から削除いたしました。
当たり前ではございますが、そうすることによって積極的に休暇をとってくれるようになりましたので、取り組みとしては良い効果が得られたと思います。
有給取得率はアップしましたが、その分今度は人手不足問題が出始めておりますので、人材確保が最大の課題になってくると思います。
もっと休みを取りやすくするために、人を確保したいと思います。しかし、その課題になると、今度はお給料の減少が問題になってきますので、今後は会社の成績も考え、個人の成長も加えた、ワークライフバランスにグロースを付加した働き方改革をしていきたいと考えています。

(米澤様)
地域福祉の要として、どうやって地域の方々に健康経営を発信していくか、ということも常々、課題として持っています。
現在は広報誌やホームページで当施設の健康経営の取り組みを発信していますが、コロナ禍で地域の方々と実施している地域交流行事が開催できない状況です。
夏祭りやイルミネーションなど、地域の方々に施設を開放し、利用者さんとコミュニケーションをとる機会の場、施設内の掲示物などを見て当施設の取り組みを知っていただくことができますが、今は感染予防対策として施設内に立ち入りできないため、いかにどう広報活動・発信していくかがコロナ禍における課題となっております。
Q.08
今後の計画や想いなどございましたら教えてください。

(沖嶋様)
協会けんぽ愛媛支部から企画をいただいたのですが、名古屋大学の教授と一緒に研究をする予定で準備を進めております。
BMIが高い方は毎年特定保健指導を受けますが、素直に指導を受ける方と受けない方では、どれくらい変わってくるのか、ということを、2年間の研究で見ていく予定です。

実は、私がこういうものに取り組もうと思ったきっかけ、というものがあります。
今は現役なので、多少病院にかかって薬代を払っても1000-2000円程の負担です。しかし退職して、年金生活になった時に毎月2000-3000円通院代や薬代が発生するのは、収入が落ちた際の痛手として大きいことを感じました。
であれば、せっかくこういった機会を提供していただけるのであれば、みんなで5年後10年後にそういう薬を使わなくて済む生活ができたらな、と思ったのです。
そのため、現在全員の同意を得た上で、将来に備えて対策していくことが、目標・計画となっており、生活習慣病の抑制に繋げるキッカケ作りになればと、参加することといたしました。
Q.09
これから健康経営を取り組む企業様へアドバイスがあればお聞かせください。

(池田様)
人生100年時代、若者から高齢者まで―(もちろん当施設は障害を持った方がいらっしゃいますので、そういった方も含め)―すべての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らせる社会を実現することが自分たちの使命だという想いを抱いています。我々社会福祉事業を運営している者が責務として考えることだと、私たちは常々思っております。

世の中には様々な業種・職種、社会生活を維持する為の様々な企業がありますので、その得意な分野において発信、サービスの提供方法に違いがあるかと思います。当施設で大切にしているのは「自分が幸せであること」です。自分が幸せであれば、利用者さんも幸せになる。当施設の職員は、「わたしたちの笑顔で、周りの人たちを笑顔にするための仕事です」と学生さんなどによく言っております。その笑顔を作るためには、職員ひとりひとりが健康でなければならないのです。

私も勉強をして知ったことですが、WHOでは「健康」について定義というものがございます。「肉体的・精神的・社会的」このすべてが満たされて、「健康」です。この「社会的」というものが、会社が求めている部分ではないかと思います。「肉体的・精神的」はご自身やご家族・お医者さんも考えてくれます。体に不調があれば病院へ行き、治療をして治せる。しかし、何よりも大事なのは「社会的」。こういった取り組みを通じて、社会全体が、職員みんなが意識した行動で、健康について考えてくれる、考えることができるように、来年も再来年も、引き続き取り組んでいきたいと思っております。

続けていく以上は、毎年ひとつ新しいことを実践していきたいと思っておりますので、他の企業のみなさまも是非、様々な体験を発信していただければと思います。

今回は、大変貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
健康経営について積極的に新しい取り組みに挑戦されており、名古屋大学との共同研究など将来的に自社だけではなく、社会全体への貢献も視野に入れられていることが印象的でした。

社会福祉法人大洲育成園様は弊社がご提供している「おりこうブログ」をご利用いただいております。
ホームページを通じて、健康経営の取り組みを広く効果的に発信いただけるよう、弊社としても引き続き支援してまいります。
社会福祉法人大洲育成園

所在地:〒795-0062 愛媛県大洲市市木1215番地
事業内容:障害者支援施設

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