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マタニティハラスメント(マタハラ)とは? 起こる原因や具体例、対応策を解説

マタニティハラスメント(マタハラ)とは? マタハラが起こる原因や具体例、対応策を解説
  • 「マタハラ被害についてよく聞くけど、明確な定義はあるの?」
  • 「実際にどのような行動がマタハラになってしまうのか線引きが難しい…」
  • 「職場におけるマタニティハラスメントの対応策が知りたい!」
 
このような疑問やお悩みをお持ちの方のために、今回はマタニティハラスメント(マタハラ)について紹介します。
マタハラの定義や具体例、職場での対応策などを簡単にわかりやすく説明します。
マタニティハラスメント(マタハラ)について詳しく知りたい方、職場のマタハラ対策を進めたい方はぜひご覧ください。


マタニティハラスメント(マタハラ)とは

マタニティハラスメント(マタハラ)とは
マタニティハラスメント(マタハラ)とは、「妊娠や出産、育児を行う女性に対して、仕事上で不適切な言動をすること」です。

たとえば、妊娠中の女性に無理な仕事を押しつける、出産後すぐに職場復帰するよう強制する、育児と仕事の両立を妨害するような行動をとるなどが挙げられます。

職場における妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメントの定義

職場における妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメントの定義は、男女雇用機会均等法第11条の2と、育児・介護休業法第25条で以下のように定められています。
 
<男女雇用機会均等法第11条の2(抄)>
事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
 
<育児・介護休業法第25条>
事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
 
職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申請・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。
 
ここで注意すべきは、実際に妊娠・出産をする女性労働者だけでなく、育児休業を取得する男性労働者にもハラスメント被害の可能性がある点です。
 
また、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的に見て業務上の必要性に基づく言動はハラスメントに該当しません。

マタハラの実態

次にマタハラの実態について、2つの観点から紹介します。

マタハラの経験

職場のハラスメントに関する実態調査報告書(厚労省)によると、過去5年間、就業中に妊娠・出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した人の割合は、26.3%でした。経験頻度としては、一度だけ経験した人が最も多い割合を占めていました。
 

マタハラ被害者の行動

マタハラ被害者の行動
日本労働組合総連合会(JTUC)の調査によると、マタハラを受けたと回答した女性に「その時、どのような対応をしたのか? (複数回答可)」と質問をしたところ、「我慢して、人には相談しなかった」45.7%、「家族に相談した」35.8%、「会社の同僚に相談した」17.3%、「社外の友達に相談した」14.8%という結果でした。

この結果から、約半数の女性が何も行動を起こさず我慢していたとわかります。

マタハラが起きる原因と背景

次に、マタハラが起きてしまう原因と背景について説明します。

仕事と育児の両立をしづらい職場が多い

長時間労働や、有給休暇の取得がしづらいなど、まだまだ仕事と育児の両立をしづらい職場は多いです。このような環境では、妊娠・出産・育児をしている女性が従来のように働くのは難しいです。

これらには、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法が整備されたにもかかわらず、社会がまだ法律に追いついていないという背景が考えられます。

上司・管理職世代との考え方のズレ

上司・管理職世代との考え方のズレ
一部の上司や管理職世代との考え方のズレも原因の1つです。

日本人には古くから「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という意識が刷り込まれています。そのような思い込みはとくに中高年以上の男性に無意識に備わっていると考えられます。

この無意識の思い込みによって育児と仕事の両立を目指す女性への理解が進まず、結果マタハラが生じてしまうのです。

女性同士の軋轢

女性同士の軋轢
先述した通り、マタハラは男性から女性だけでなく、女性同士でも起こりえます。子どもを産もうとする女性が時短勤務などを取得することで、産まない女性にその仕事のしわ寄せがくる可能性も少なくありません。

また、休暇を取っている女性に対し「自分たちよりも優遇されている」と考え、マタハラが発生してしまうのです。

妊娠・出産に対する知識と理解と経験の無さから事情を想像できない

マタハラの背景には、妊娠や出産に対する知識と理解・経験の無さから事情を想像できないことも挙げられます。
男性社員はもちろん、長時間労働が当たり前の環境で出世してきた女性管理職などは、妊娠や出産の経験がなく、知識が不足していることも少なくありません。

マタハラの種類と具体例

ここまで、マタハラの定義やマタハラが起こる原因・背景について説明してきました。
次にマタハラの種類とその具体例について紹介します。
 
厚生労働省で定められている「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」には「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」の2つがあります。

制度等の利用への嫌がらせ型

(1)対象となる制度又は措置
「制度等の利用への嫌がらせ」とは、次に挙げる制度又は措置の利用に関する言動により、就業環境が害されるもののことです
 
男女雇用機会均等法が対象とする制度又は措置
①産前休業
②妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)
③簡易な業務への転換
④変形労働時間制での法定労働時間を超える労働時間の制限、時間外労働及び休日労働の制限並びに深夜業の制限
⑤育児時間
⑥坑内業務の就業制限及び危険有害業務の就業制限
 
育児・介護休業法が対象とする制度又は措置
①育児休業
②介護休業
③子の看護休暇
④介護休暇
⑤所定外労働の制限
⑥時間外労働の制限
⑦深夜業の制限
⑧育児のための所定労働時間の短縮措置
⑨始業時刻変更等の措置
⑩介護のための所定労働時間の短縮等の措置
(2)ハラスメントの具体例
①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
労働者が、制度の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。)をしたい旨を上司に相談したことや制度等の利用の請求等をしたこと、制度等の利用をしたことにより、上司がその労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆することです。
 
【具体例】
  • 産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みをとるなら辞めてもらう」と言われた
  • 時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた など
 
②制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの
以下4つのような言動が該当します。
  1. 労働者が制度の利用の請求をしたい旨を上司に相談したところ、上司がその労働者に対し、請求をしないように言うこと。
  2. 労働者が制度の利用の請求をしたところ、上司がその労働者に対し、請求を取り下げるよう言うこと。
  3. 労働者が制度の利用の請求をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、請求をしないように言うこと。
  4. 労働者が制度利用の請求をしたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、その請求等を取り下げるように言うこと。
 
【具体例】
  • 育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている
  • 育児休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべき。」と言われた。「でも自分は請求したい」と再度伝えたが、再度同様の発言をされ、取得をあきらめざるを得ない状況に追い込まれた。 など
 
③制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの
労働者が制度等の利用をしたところ、上司・同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることです。
「嫌がらせ等」とは、嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、又は専ら雑務に従事させることをいいます。
 
【具体例】
  • 上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人はたいした仕事はさせられない」と繰り返し又は継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)
  • 上司・同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む) など

状態への嫌がらせ型

(1)対象となる事由
「状態への嫌がらせ型」とは、女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境が害されるものをいいます。
以下が対象となる事由です。
 
①妊娠したこと
②出産したこと
③産後の就業制限の規定により就業できず、又は産後休業をしたこと。
④妊娠又は出産に起因する症状(※)により労務の提供ができないこと若しくはできなかったことで労働能率が低下したこと。
⑤坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと又はこれらの業務に従事しなかったこと

※「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻(にんしんおそ)、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいいます。
(2)ハラスメントの具体例
①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの 
女性労働者が妊娠等したことにより、上司がその女性労働者に対し、解雇その他の不利益な取扱いを示唆することです。
 
【具体例】
  • 上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた など
 
②妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの
女性労働者が妊娠等したことにより、上司・同僚がその女性労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることです。
 
【具体例】
  • 上司・同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し又は継続的に言い、仕事をさせない状況となっており、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む)
  • 上司・同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む) など
 

企業がマタハラを放置するリスク

マタハラの内容について紹介してきました。
ここからは企業がマタハラを放置するリスクについて説明します。

優秀な女性社員の離職

優秀な女性社員の離職
マタハラを放置することによって、精神的ダメージを受けた女性社員の離職につながってしまいます。キャリアを積んできた優秀な社員を失うことは、企業にとっても大きなリスクとなります。

法的責任を問われるリスク

男女雇用機会均等法第11条の2と、育児・介護休業法第25条により、企業にはマタハラに対する防止措置を講じる義務があります。防止措置を講じず、マタハラ発生の現状を放置していると、厚生労働省などから勧告を受ける場合もあります。
 
勧告を受けても措置を講じなかったり、報告の求めに対応しなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合には、制裁として過料(※)が科されたり、企業名が公表されたりする可能性があるのです。
 
※過料:行政上、軽い禁令をおかしたものに支払わせる金銭。

悪評の流布による企業イメージの低下

悪評の流布による企業イメージの低下
マタハラ対策を行わなかった場合、先述したように厚生労働省からの勧告や企業名の公表が行われる場合があります。もし公表がなかったとしても、企業の元従業員が転職サイト等でマタハラについての悪評を書き込むリスクが高まります。
 
とくに中小企業の場合、大企業のように情報発信やPRの機会が多くないので、マタハラの悪評がそのまま会社のイメージを決定することにもつながりかねません。
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職場におけるマタハラの防止・対応策

職場におけるマタハラ対策を怠ると、大きなリスクを伴うことがおわかりいただけたと思います。
最後に職場におけるマタハラの防止・対応策について紹介します。

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
職場におけるマタハラが発覚した場合、厳正に対処する旨の方針および対処内容を、就業規則等の文書に規定し、事業主から労働者に周知・啓発しましょう。

女性が働きやすくなるような職場環境の改善

妊娠中の女性従業員は、急な体調不良などが起こりやすく、思うように仕事が進まないことも多いです。その状態が発生すると、他の同僚に文句を言われるなどマタハラが起こりやすくなります。
 
このような状況を改善するために、複数人でサポートし合う体制を整えたり、女性用休憩室を設けたりするなど、働きやすくなる職場環境をつくることも大切です。

相談に応じて、適切に対応するために必要な体制の整備と周知

相談に応じて、適切に対応するために必要な体制の整備と周知
事業主は従業員からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために、必要な体制を整備しなければなりません。マタハラに対する相談窓口の設置や担当者を立てるなどの対策を行いましょう。
 
また、相談窓口に関してはマタハラのみでなく、他のさまざまなハラスメントにも対応できるよう一元化すると良いでしょう。
 
その他のハラスメントについて詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

マタハラ発生後の迅速かつ適切な対応

事業主は、職場におけるマタハラに係る相談があった場合、その相談に係る事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正に対応しなければなりません。
 
たとえば相談窓口担当者が、相談者と行為者の両方に事実確認を行い、双方の言い分に食い違いが発生した場合は、第三者からも事実関係を調査しましょう。また、そこで相談者の被害が確認できた場合は、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うのが必要です。

マタハラ被害者のプライバシー保護

職場におけるマタハラに限らず、ハラスメントの相談があった場合には、相談者のプライバシー保護が大切です。
また、ハラスメント相談後に相談者が不当な取り扱いを受けることがないよう、不利益取り扱いの禁止を明文化しましょう。

企業内のマタハラの実態を早急に把握し、最善の対策を実行しましょう。

マタハラは周囲から意外と見えにくいハラスメントです。企業内でマタハラが起きていないか早急に把握し、もし発生していたらケースに応じて最善の対策を実行しましょう。
 
また、ハラスメント対策は健康経営を実現するうえでも役立ちます。
健康経営について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。
 
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