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株式会社坂口製作所様|健康経営事例

健康経営事例 株式会社坂口製作所(大阪府・和歌山県)
健康経営やSDGsが、普段の業務や自社の利益とどう結びついているかを理解することが大事です

株式会社坂口製作所 
・坂口清信社長

#大阪府大阪市 (工場:和歌山県有田郡)
#アルミ・ステンレス設計・製造・加工
#https://sakaguchi-ss.co.jp/
大阪府大阪市に本社を構える株式会社坂口製作所様は、アルミ・ステンレスに特化した板金・溶接・組立加工を手がけています。

和歌山県にある工場には有資格者が多数在籍しており、その品質や安全衛生対策が評価され、全国でも数カ所しか存在しない「軽金属溶接構造物製造工場M級」にも認定されました。

全国軽金属溶接技術競技会などの技術コンクールでも優勝や上位入賞を複数回達成しており、日本トップクラスのアルミ溶接技術を誇ります。

和歌山工場で加工された製品は新幹線の部品や空調設備など、私たちの生活の身近なところでも使われているそうです。

坂口製作所様は数年前から健康経営にも取り組んでおり、健康経営優良法人とブライト500の認定を取得しました。

※ブライト500…健康経営優良法人の中小規模法人部門の認定を受けたなかでも、特に優れたトップ500の法人に贈られる顕彰

カウンセリングサービスを利用したメンタルヘルスケアなどのオーソドックスな施策から、廃校を利用した社員寮の新設計画などのユニークな施策まで、幅広い取り組みを実施しています。

今回は坂口社長に健康経営やSDGsを成功させるポイントについて伺いました。
大阪本社
大阪本社
和歌山工場
和歌山工場

目次

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  1. 従来の活動との共通点が多かったため、健康経営をスムーズに開始できた
  2. 保険会社のカウンセリングサービスを導入し、メンタルヘルスケアを実施
  3. 金属加工の技術を応用して喫煙ブースを自社で設置! 商品PRにも活用
  4. 社員旅行やゴルフコンペなどのイベントも積極的に開催 バーベキューでは自作のコンロを使用
  5. 和歌山工場の近くの廃校を利用して社員寮に
  6. 実際に女性社員に入社してもらったことで、「溶接は男の仕事」という先入観が払拭された
  7. 社員の半数以上が献血ボランティアに参加 開始はなんと20年以上まえから
  8. 社内規定や勤怠システムを改善して1時間単位での有休取得可に 社内サークルには活動費も支給
  9. 健康経営を始めてから生産性がアップし、残業時間も明らかに減少した
  10. 普通科高校出身の溶接経験ゼロの社員でも、数年後には技能コンクールで優勝・入賞する金属加工のプロフェッショナルに成長
  11. スマートフォンのウォーキングアプリを活用して運動を促進
  12. 健康経営やSDGsの取り組みを企業ホームページで発信してから、金融機関からの見方が変わった
  13. SDGsや環境保護活動は、毎日の業務や会社の利益とも密接に結びついている
  14. 社員からのボトムアップのアイディアと、トップダウンのアイディアを併用しながら、健康経営とSDGsを進めていく
  15. 廃材や余った材料を活用したオリジナル製品も販売中 ビジネスとSDGsを直結させる
  16. 健康経営優良法人やブライト500の認定後、取材や講演依頼が増加して会社の知名度アップに
  17. 健康経営にハードルの高さを感じる必要はないので、多くの中小企業が気軽にトライすべき
  18. 健康経営の経験をより多くの中小企業に伝えていきたい
  19. インタビュー後記

従来の活動との共通点が多かったため、健康経営をスムーズに開始できた

Q.貴社が健康経営の取り組みを始めた時期と、そのきっかけ(理由)について教えてください

実は、最初はまったく健康経営については知らなかったんですよ。

大阪府中小企業家同友会という中小企業の経営者の集まりがあるんですけど、そこで仲間の会社さんから「こういう認定(健康経営優良法人)があるので、いっしょに取得しませんか?」とお誘いを受けたのがきっかけでした。
それが2017年の秋ぐらいだったかと思います。

※健康経営優良法人…健康経営に取り組む優良な大企業・中小企業・その他法人を認定・顕彰する公的制度
参考ページ:健康経営優良法人とは? メリット・認定基準・申請方法をわかりやすく解説

その時点で健康経営優良法人の申請締め切りまであまり時間がなかったので、お誘いいただいた会社さんとさらにもう1社を加えて、3社で勉強会を立ち上げて申請書の書き方なども情報共有したうえで、急ピッチで進めていきました。

申請書の内容を見たところ、「そこまで特殊なことをする必要はなく、今まで自分たちが実施してきた取り組みと共通点があるな」と感じましたので、それを健康経営優良法人の認定要件に落とし込んでいくだけでおおむね達成できましたね。

Q.逆に、健康経営を進めていくなかで課題などはあったのでしょうか?

そうですね。当時は喫煙率も今より高かったですし、分煙の徹底なども課題でしたね。
また、メンタルヘルスケアなどもそこまで充実していなかったので、それらが初年度の課題として残りました。

保険会社のカウンセリングサービスを導入し、メンタルヘルスケアを実施

Q.それでは、今お話いただいたメンタルヘルスケアや分煙の徹底なども含めて、健康経営の具体的な取り組みについて教えてください

従業員のメンタルヘルスケアについては、AIG損害保険株式会社の担当者さんに丁寧にご説明いただき、カウンセリングサービスを導入しました。

電話や、各地のカウンセリングルームで従業員が心理カウンセラーに相談・面談できるサービスです。

金属加工の技術を応用して喫煙ブースを自社で設置! 商品PRにも活用

分煙については自社の金属加工の技術を応用して、本社と和歌山県の工場に喫煙ブースを自分たちで設置しました。

これはアルミのパネルを組み立てて簡単に空間を作れる、クリーンブースという自社製品を用いたものになります。

施工会社に喫煙ブースの設置を依頼すると、おそらく百万円~数百万円程度は費用がかかるんでしょうが、すべて自前で設置したので、かなりローコストに抑えることができましたね。

これらの喫煙ブースはショールーム的な役割もありまして、本社や和歌山工場を訪問されたお客様に「私たちに任せていただければ、こんな感じで喫煙ブースを設置して分煙を実施できますよ!」とアピールしています。

健康経営と商品PRがうまく結びついている感じですね(笑)

社員旅行やゴルフコンペなどのイベントも積極的に開催 バーベキューでは自作のコンロを使用

社員旅行やゴルフコンペなどのイベントも積極的に開催 バーベキューでは自作のコンロを使用
あとはラジオ体操もかなり昔からやっていますし、他にはバーベキューや、ゴルフコンペ、年1回の社員旅行など、イベントにも力を入れていますね。
まぁ、近年は新型コロナウイルスの影響でなかなか開催できないこともありますが。

バーベキューは和歌山工場の敷地内で実施しており、社員が自分たちで作った金属製のコンロで肉や野菜を焼いています。

技術力の高い職人が集まっているので、大概のものは何でも作れちゃうんですよ(笑)

社員も自分の金属加工の技術が役に立っているのを、目に見えるかたちで実感できるので、モチベーションアップにもつながっていると思います。

和歌山工場の近くの廃校を利用して社員寮に

遠方や他県から入社した従業員がスムーズに生活できるように、廃校を利用した社員寮の準備を計画

弊社の和歌山工場は山奥にあるので、従業員の通勤が大変という課題がありました。

それに人材獲得の面でも、地元の若者もどんどん少なくなっていますから、より広いエリアから坂口製作所に応募していただける環境を整えなければなりません。

その一環として、遠くの地域や他県から応募してくれた従業員が移住して、不自由なく生活してもらえるように、社員寮の必要性を感じました。

そこで近隣の他の会社さんと共同で自治体に相談したところ、「近くの廃校になった小学校なら利用できますよ」というお話をいただきました。

その小学校をリノベーションして社員寮に生まれ変わらせる計画を、現在進めているところです。

社員寮を地域への貢献やSDGsにも活用

なお、近隣の会社の社員寮だけでなく、都会からUターン・Iターンで移住される方の相談窓口も兼ねた施設になる予定で、それを運営する一般社団法人の立ち上げも進めています。

早ければ2023年の7月から、社員寮としてオープンできる予定です。

SDGsのなかに「11.住み続けられるまちづくりを」という目標がありますが、こちらも意識したうえで、社員の福利厚生とするだけでなく、地域の過疎化対策としても進めていきたいですね。


※SDGsの目標「11.住み続けられるまちづくりを」のなかには、以下のように地域創生にも関連する項目も掲げられている。

11-3 2030年までに、だれも取り残さない持続可能なまちづくりをすすめる。すべての国で、だれもが参加できる形で持続可能なまちづくりを計画し実行できるような能力を高める。

11-a 国や地域の開発の計画を強化して、都市部とそのまわりの地域と農村部とが、経済的、社会的、環境的にうまくつながりあうことを支援する。

和歌山工場は1967年から有田川町の雇用を支え続けており、2019年には「雇用貢献事業所表彰」を有田川町から授与された
和歌山工場は1967年から有田川町の雇用を支え続けており、2019年には「雇用貢献事業所表彰」を有田川町から授与された

実際に女性社員に入社してもらったことで、「溶接は男の仕事」という先入観が払拭された

性別に関係なく金属加工のプロフェッショナルになれる環境づくりに注力

(インタビュアー)
坂口製作所様は「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」の一つ星企業に認証されたとのことですが、女性社員が働きやすい環境づくりで力を入れていることを教えてください



(坂口社長)
「溶接や金属加工は男性の世界」というイメージが世間的にもまだまだ強いですが、性別に関係なく金属加工のプロフェッショナルとして働けるような環境づくりには注力していますね。

数年前に和歌山工場に、「溶接をしたい」という高卒の女性社員が入社しました。

その当時は私のなかにも「溶接は男の仕事」というイメージがあったのですが、実際にその女性社員さんに仕事をしてもらったら、男性社員にまったく見劣りすることなくきれいに溶接できていたんですね。

そこで、「溶接は男の仕事」というのは単なる先入観にすぎなかったんだと実感しました。

人手不足が進む今後の日本では、女性社員の活躍は必須

女性活躍に関する大阪府・大阪市の認証
女性活躍に関する大阪府・大阪市の認証を獲得
また本社の営業職でもこれまでは男性社員しかいなかったのですが、新しく営業志望の女性社員に入社いただいて、活躍してもらっています。

その過程で、工場に女子トイレを新設したり、本社に女子更衣室を新設したりもしましたね。更衣室でも弊社製品のクリーンブースを使って設置しましたので、そこまでコストはかかりませんでした。

今後は少子高齢化でどんどん人手不足も進むでしょうから、性別を問わず社員が能力を発揮できる環境づくりや仕組みづくりは必須だと思います。

そういったお話を大阪市の職員さんにしていたら、「坂口製作所さんでも大阪市女性活躍リーディングカンパニーの認証を取ってみませんか?」とご提案いただき、認証に至りました。

社員の半数以上が献血ボランティアに参加 開始はなんと20年以上まえから

社員の半数以上が献血ボランティアに参加 開始はなんと20年以上まえから
(インタビュアー)
これは健康経営というよりSDGsや地域貢献のお話になりますが、坂口製作所様が実施している献血ボランティアについても教えてください。


(坂口社長)
献血ボランティアの取り組みは20年以上まえから実施していて、私が会社に入るよりまえから続けているので、いつ始まったかもよくわからないですね(笑)

和歌山工場に献血車に来ていただいて、社員の半分以上が参加してくれていますね。

(インタビュアー)
それでは、「健康経営やSDGsが最近話題になってきているから、献血ボランティアを新しく始めた」というわけではなくて、昔からずっと協力をされてきたわけですね。


(坂口社長)
そうですね。それらの元々取り組んでいた内容を健康経営やSDGsに合致させて、落とし込んでいる感じですね。

社内規定や勤怠システムを改善して1時間単位での有休取得可に 社内サークルには活動費も支給

有休の取得についてもこれまでは半日単位でしか取得できなかったんですが、お子さんなどのご家族を病院に連れていく際などには「半日だと多すぎる」との声をもらってから改善を進めましたね。

社内規定や勤怠システムを見直して、現在では1時間単位で取得できるようにしました。

また、今後は社内のサークル活動も盛り上げていこうと思っています。
サークルに一定の人数以上の社員が所属して活動していたら、毎月活動費を支給する制度も整備しました。

2023年以降になって社員寮がオープンしたら、遠方や県外から移住する社員も増えると思いますが、そういった社員の仕事外でのコミュニティーづくりにも役立つのではないかと思います。地域にも溶け込みやすくなるでしょうしね。

そういったかたちで社員間のコミュニケーションを活発化する取り組みを進めています。

健康経営を始めてから生産性がアップし、残業時間も明らかに減少した

Q.取り組みを進めるなかで、健康経営という言葉についてイメージの変化はありましたか?

健康経営を始めてから生産性がアップし、残業時間も明らかに減少した
(坂口社長)
「健康経営は、会社の生産性を向上させるうえでも重要なファクターだな」と感じています。

みんなが健康でストレスなく仕事ができたら、生産効率が上がるので残業も減りますし、途中で退職する人が減ると技術も社内に蓄積されていきます。

健康経営を始めるまえに比べると、明らかに全体の残業時間は減っています。


(インタビュアー)
坂口製作所様で健康経営を始めてから生産性が格段に上がったとのお話を聞いて、溶接や金属加工というお仕事では集中力と緻密さが求められるのも大きく関係しているのではないかと感じました。

たとえば私は普段パソコンで仕事をしていますが、もしマウスをクリックする位置が数ミリずれたとしても全然問題ありません。

でも、溶接や金属加工の現場では、手元が数ミリずれるだけでクオリティに大きな差が生まれてしまうと思うんです。

そういった集中力が要求される繊細なお仕事だと、社員の健康状態がよりダイレクトに会社全体の生産性に影響しそうだなと感じました。


(坂口社長)
はい、確かにそういった面もあると思います。

普通科高校出身の溶接経験ゼロの社員でも、数年後には技能コンクールで優勝・入賞する金属加工のプロフェッショナルに成長

溶接未経験の求職者も積極的に採用し、スキルをゼロの状態から育成する

溶接未経験の求職者も積極的に採用し、スキルをゼロの状態から育成する
(インタビュアー)
次は健康経営というよりは人材育成のお話になります。坂口製作所にはアルミ溶接のJIS溶接資格保有者が約20名、ステンレス溶接の資格保有者が約12名所属しており、各種技能コンクールでも優勝・入賞を数多く果たしています(2022年7月時点)。

最初は「ベテランの職人さんを多く中途採用しているのかな」と思ったのですが、企業ホームページの採用ページを拝見すると、溶接などが未経験の方も歓迎して積極的に採用していることに驚きました。

業界未経験の状態から、従業員を溶接や加工のプロフェッショナルにまで育てるのは簡単にできることではないと思うのですが、人材育成の点で力を入れていることを教えてください。


(坂口社長)
確かに弊社では社員教育には特に注力しています。
実は新入社員の多くは工業高校などの出身ではなく、普通科の高校を出た方がほとんどなんですよ。
つまり溶接や金属加工がまったく未経験の状態で入社いただいています。

各種資格取得については費用を会社負担し、勤務時間内の練習もOK 試験官の方に工場に来てもらい、受験しやすい環境を整える

各種資格取得については費用を会社負担し、勤務時間内の練習もOK 試験官の方に工場に来てもらい、受験しやすい環境を整える
そこからスキルを高めるために、特に社員の資格取得については手厚いサポートをしています。

溶接は資格がかなり細分化していまして、アルミ・ステンレスのように材質でも資格が分かれますし、使う機械の種類や加工する方向によっても資格が違うこともあります。

そのため、溶接のプロフェッショナルになるには、幅広い資格を取得する必要があり大変です。

また、一度取った資格は一生有効なわけではなく、3年ごとに更新しないと失効してしまいますから、身につけた技術を常に維持しなければなりません。

坂口製作所では和歌山工場に資格の試験官の方に来ていただくことで、試験を受けやすい環境を整えています。

資格取得にかかる費用についてはすべて会社が負担しますし、勤務時間中に従業員が試験科目となる技術を練習することも可能です。

各種技能フェアやコンクールにも積極的に社員の参加を支援しています。
やはり、こういった自分の技術を試せる場があると、技術を磨くモチベーションが上がるんですよね。

社員の育成が坂口製作所の一番のアピールポイントですね。
技能フェア優勝
技能フェアの優勝旗
溶接技能フェア出展作品
溶接技能フェア出展作品
板金技能フェア出展作品
板金技能フェア出展作品

スマートフォンのウォーキングアプリを活用して運動を促進

Q.健康経営の取り組みについて、当初と現在で社員のみなさまの意識に変化などはありましたか?

そうですね。健康経営優良法人やブライト500を取得して実績が見えるようになったことで、自信や誇りにつながったのかなとは思います。

また、現在では有志の社員がスマホにウォーキングアプリをインストールして、それで歩行数を他社さんと競争する取り組みもしていましたね。

参加した社員の歩数が全部カウントされるので、かなり盛り上がりました。
ランキングでも結構上位に入っていたんですよ(笑)

健康経営やSDGsの取り組みを企業ホームページで発信してから、金融機関からの見方が変わった

Q健康経営優良法人やブライト500を取得してから、社外や取引先様などからの見方が変わったなどの変化があれば教えてください

弊社では健康経営と環境保護の活動を包括して、SDGsとしてホームページに掲載しているんです。

参考ページ:SDGsへの取り組み(株式会社坂口製作所)

そのページは予想以上に多くの方に見ていただいているようです。

たとえば取引している金融機関の方にも見ていただいており、SDGs関連の融資をご提案いただいとこともありましたね。

「ここまでSDGsにしっかり取り組んでPRしている会社は少ないですよ」との声をいただいたこともあります。

SDGsや環境保護活動は、毎日の業務や会社の利益とも密接に結びついている

(インタビュアー)
関連してSDGsについてもお伺いしたいと思います。
坂口製作所様では、和歌山工場でゴーヤを栽培してグリーンカーテンを設置したり、雨水を貯水タンクに貯めて再活用したりするなど、幅広い取り組みをされています。
それらの取り組みについて、詳細や気を付けている点などを教えてください。



(坂口社長)
SDGsについては、費用がかかる設備投資については会社側で実施して、日々の細かな改善については社員にアイディアを出してもらったものを採用して進めていますね。

環境保護の取り組みを進めるうえでも、自社の事業や利益とどうつながっているかを常に意識することが大事だと思っています。

たとえば日々の業務で不良品をなくすとか品質を良くするということも、環境保護に関わってくるんですね。

不良品が出たら作り直すための材料も必要ですし、電気などのエネルギーも浪費してしまいますから。


不良品の減少は、資源とエネルギーの節約に直結するわけです。

もちろん不良品が減少すれば経費削減にもなりますし、利益率も向上します。

「環境保護の取り組みはそれ単体が独立しているんじゃなくて、会社の利益や働き方にも深く結びついているんだよ」ということを社員に伝えられるように努力していますね。


(インタビュアー)
業務の質の向上が、そのまま環境保護やSDGsにも直結しているという視点はなかったので予想外でした。
ゴーヤのグリーンカーテン
ゴーヤのグリーンカーテン
雨水の貯水タンクと節水型トイレ
雨水の貯水タンクと節水型トイレ

社員からのボトムアップのアイディアと、トップダウンのアイディアを併用しながら、健康経営とSDGsを進めていく

(インタビュアー)
少し気になったことですが、和歌山工場でグリーンカーテンとして栽培しているゴーヤは社員のみなさんに配って食べたりしているんでしょうか?


(坂口社長)
そうですね、自分は食べたことはないですけど、和歌山工場の社員がそれぞれ持ち帰って食べているんだと思いますよ(笑)


(インタビュアー)
他にも坂口製作所様では雨水の再利用や産業廃棄物の削減など、さまざまな施策を実施していますが、こうい
った施策は社長が提案されているのでしょうか? それとも社員のみなさんがアイディアを出しているのでしょうか?


(坂口社長)
会社のなかでQCサークルを設けており、そこで環境保護やSDGsのアイディアもボトムアップで出してもらっていますね。

※QCサークル…同じ職場内で品質管理活動などを自発的に小グループで実施する活動のこと。QCはQuality Control(クオリティコントロール、品質管理)の略。

先ほどのグリーンカーテンや雨水の貯水タンクも、社員が自発的に考えて実行してくれた取り組みです。

一方、女子トイレの新設や省エネ型の装置の導入など、費用がかかることについてはトップダウンで実行します。

なので、坂口製作所ではボトムアップとトップダウンの両方でSDGsや健康経営を進めていますね。

廃材や余った材料を活用したオリジナル製品も販売中 ビジネスとSDGsを直結させる

Q.他に健康経営やSDGsで力を入れている点があれば教えてください

オリジナル製品のロウソク立て
オリジナル製品のロウソク立て
そうですね、あとは金属加工の事業を進めていくなかで必ずアルミやステンレスの廃材が出ますので、それを利用して会社の備品を作ったりもしていますね。

参考ページ:自社製作の社内活用品(株式会社坂口製作所)

余った材料を使ってオリジナル製品なども製作しています。


(インタビュアー)
ホームページを拝見すると、お寺で使うステンレス製のロウソク立てなども製作されていますよね。ああいったアイディアは社員様から出てくるんでしょうか?


(坂口社長)
いえ、あれはお付き合いのあった方から依頼をいただいて製作した商品になりますね。出来も良かったので、オリジナル商品として他の方にも販売しています。


(インタビュアー)
そういったオリジナル製品などのビジネスの部分でも、廃材利用などの環境保護対策が結びついているんですね。
オリジナル製品のブックスタンド1
オリジナル製品のブックスタンド1
オリジナル製品のブックスタンド2
オリジナル製品のブックスタンド2

健康経営優良法人やブライト500の認定後、取材や講演依頼が増加して会社の知名度アップに

Q.その他、健康経営実施後に起きた変化があれば教えてください

かなり早期に健康経営優良法人ブライト500を取得しましたので、外部から取材や講演を依頼される機会が格段に増えましたね。

経営者の団体・交流会で講演したり、AIG損害保険株式会社さんの健康経営に関するイベントに登壇してパネルディスカッションをしたりするケースが一番多いです。

会社の認知度アップになりますし、採用面でも会社説明会などで健康経営をアピールできています。

※健康経営優良法人とブライト500について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

健康経営にハードルの高さを感じる必要はないので、多くの中小企業が気軽にトライすべき

Q.健康経営の講演のなかで伝えていることや、聴いた方からの反応などを教えてください

そうですね。これはいつも私が講演で話していることなんですけど、みなさん「健康経営」という言葉からハードルの高さを感じているケースが多いです。

ですが、「当たり前のことを当たり前にやっている会社であれば、健康経営優良法人の認定は間違いなく通りますよ」と伝えています。

それに健康経営優良法人の申請にかかるコストはゼロじゃないですか。

他にもいろいろな企業の認定制度がありますが、比較的に認定を取得しやすいので、健康経営優良法人はそれらの入門編としても最適だと思っています。

自分たちの会社がこれまで取り組んできた活動を、国の認定という客観的なエビデンスでアピールできるわけですから、大きなPRポイントになります。

それに健康経営の認知度もどんどん上がっていますので、健康経営優良法人は将来的にはその会社がホワイトなのかブラックなのかを見分ける、わかりやすいアイコンになってくるんじゃないかと思いますね。

だったら、早くから健康経営優良法人を取得したほうが、今後の人材獲得の面でもプラスになりますよね。

以上のようなお話を講演などでお伝えすると、参加されている企業さんも「そんなに気負うことなく健康経営は始められるんだ」と思っていただけるようですね。

健康経営の経験をより多くの中小企業に伝えていきたい

Q.今後、健康経営やSDGsで実施したい取り組みや計画などはありますか?

そうですね。今後、第二工場を新設したいと考えているんですが、その際にも健康経営やSDGsなどの観点と結びつけて運営していきたいですね。

あとは、私たちも他の会社さんに健康経営のことを教えていただいてから活動に取り組んできたので、坂口製作所の経験をいろんな会社さんに伝えていくのが大事なのかな、と考えています。

中小企業は世間的にブラックなイメージもあると思います。
ですが「そうじゃないよ」と、中小企業全体のイメージを変えるお手伝いにもなるんじゃないかとも思って、活動していますね。

インタビュー後記

坂口製作所様のお話を聞いて、健康経営やSDGsは普段私たちがおこなっている業務と遠い場所にあるのではなく、密接につながっていることを理解できました。

業界未経験の新入社員を金属加工のプロフェッショナルにまで育て上げる教育制度の手厚さと、廃校を利用した社員寮を設けて地域への移住を促進する計画も印象的です。

健康経営・SDGs・次世代の技術者の育成・地域の過疎化対策など、一見異なる分野を連環させながら各施策を進めているのを知り、健康経営だけにとらわれるのではなく、もっと広い視野で活動することの重要性を学びました。

坂口製作所様の取り組みについては、公式ホームページでも紹介されています。
これから健康経営やSDGsを始めたい方にとっては貴重な情報ばかりですので、ぜひご覧ください。

参考ページ:株式会社坂口製作所 公式ホームページ
参考ページ:健康経営(株式会社坂口製作所 公式ホームページ)
参考ページ:
SDGsへの取り組み(株式会社坂口製作所 公式ホームページ)
株式会社坂口製作所
株式会社坂口製作所

所在地:
(本社)〒557-0054 大阪府大阪市西成区千本中2丁目4番14号
(和歌山工場)〒643-0521 和歌山県有田郡有田川町清水877-1

事業内容:アルミ・ステンレス設計・製造・加工
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