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中小企業にも義務化されたパワハラ防止法への対応方法を初心者向けに解説

中小企業にも義務化されたパワハラ防止法への対応方法を初心者向けに解説
  • 「新しく施行されたパワハラ防止法ってどんな法律?」
  • 「中小企業にもパワハラ防止法が義務化されたけど、どのような対応をしたらいいかわからない…」

このような疑問やお悩みをお持ちの方のために、今回は中小企業向けのパワハラ防止法への対応方法について紹介します。
パワハラ防止法の簡単な概要や、中小企業がパワハラ対策を進めなかった場合のデメリットなどをわかりやすく説明します。
これから対応策の詳細を練られる方、現状のパワハラ対策が適切かどうか不安な方は、ぜひご覧になり参考にしてください!


パワハラ(職場のパワーハラスメント)とは

厚生労働省によって、以下3つの要素をすべて満たすものを、職場のパワーハラスメントと定義するとされています。
 
1.優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
2.業務の適正な範囲を超えて行われること
3.身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
 
また職場のパワーハラスメントは、厚生労働省が2011年に開催した「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の報告書の中で、以下6つの行為類型に分類されています。
 
1.身体的な攻撃:暴行・傷害。
2.精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言。
3.人間関係からの切り離し:会社で孤立させること。
4.過大な要求:過大な要求を強制されること。
5.過小な要求:能力を無視し、仕事を与えないこと。
6.個の侵害:プライバシーの侵害。
 
行為類型について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

また、パワハラに関しては下記のページにて詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。

なお、パワーハラスメント以外にも、職場におけるハラスメントは多数あります。
その他のハラスメントについて詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

パワハラ防止法とは

パワハラ防止法とは
パワハラ防止法は、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を企業に義務付ける法律です。 2019年5月29日に成立し、2020年6月1日から大企業に、2022年4月から中小企業にそれぞれ施行されました。

パワハラ防止法について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

パワーハラスメント防止のための雇用管理上必要な措置とは、従業員への周知・啓発や相談窓口の整備などの活動を指します。具体的内容は後述します。

パワハラ防止法に違反するとどうなる?

パワハラ防止法に違反するとどうなる?
パワハラ防止法に違反する、つまり雇用管理上必要な措置を行なわなくても、基本的に罰則はありません。
しかし場合によっては、被害者が民事訴訟を起こしたり、暴行などがあった場合は暴行罪などの犯罪として刑事的責任を問われたりする可能性があります。

また、必要な措置を行わないことに対して厚生労働省から指導、勧告を受ける場合もあります。その勧告にも従わなかった場合、厚生労働省は企業名を公表できると定められており、もし公表されてしまった場合、その会社は社会的信用を失ってしまうでしょう。

中小企業がパワハラ対策を進めなかった場合のデメリット

中小企業がパワハラ対策を進めなかった場合のデメリット
つづいて、中小企業がパワハラ対策を進めなかった場合のデメリットを大きく4つ紹介します。

1.法的責任を追及されるリスクがある

大企業同様、中小企業もパワハラへの法的責任を求められるリスクがあります。パワハラの加害者だけでなく、防止措置や発生後の対応を怠った会社側にも責任が発生します。

2.企業の信頼性低下や悪評の流布

パワハラ対策を行わなかった場合、先述したように厚生労働省からの勧告や企業名の公表が行われる場合があります。もし公表がなかったとしても、企業の元従業員が転職サイト等でパワハラについての悪評を書き込むリスクが高まります。

とくに中小企業の場合、大企業のように情報発信やPRの機会が多くないので、パワハラの悪評がそのまま会社のイメージを決定することにもつながりかねません。

3.人材流出が加速し、新規採用も困難になる

パワハラ対策をせずに放置している企業は、離職者が続出し、企業内の人材流出を加速させてしまうリスクがあります。
また、流出した人材から先述のような悪評が流れることで、新規採用の際にも希望者が集まらず困難になることが予想できます。

4.心理的安全性が低下し、業務の生産性が悪化する

パワハラはその被害者のみならず、その様子を見たり知ったりした他の従業員のストレスにもなります。
「もしかしたら、自分もパワハラを受けてしまうのではないか…」との考えから、従業員の心理的安全性も低下してしまいます。
心理的安全性の低い企業では従業員のモチベーションが下がり、業務の生産性も悪化してしまうのです。
 
心理的安全性について詳しく知りたい方は以下参考ページをご覧ください。

中小企業のパワハラ防止法への対応方法

ここまでで、企業がパワハラ防止法への対応をしないと、大きなデメリットがあることがおわかりいただけたと思います。
ここからは、厚生労働省が示した雇用管理上必要な措置の具体的内容も交えながら、中小企業のパワハラ防止法への対応方法について紹介していきます。

1.事業主の方針等を明確化し、従業員に周知・啓発する

1.事業主の方針等を明確化し、従業員に周知・啓発する
事業主は、職場におけるパワーハラスメントに関する方針の明確化と、従業員に対するその方針の周知を行わなければなりません。
周知・啓発をするにあたっては、ハラスメント発生の原因や背景について、従業員の理解を深めることが重要です。

その際、職場におけるパワーハラスメント発生の原因や背景には、コミュニケーション不足などの職場環境の問題もあると考えられるので、これらを幅広く解消していくことが重要だと伝える必要があります。

下記は事業主の方針等を明確化と、従業員への周知・啓発の例です。
  • 就業規則やその他の服務規律等を定めた文書の中で、職場におけるパワーハラスメントについての方針を規定し、周知・啓発する。

  • 社内報・パンフレット・社内共有サイトなどに、職場におけるパワーハラスメントの内容や原因・背景並びに禁止する旨の方針を記載し、周知・啓発する。

  • 職場におけるパワーハラスメントについての研修を、従業員に対し実施し周知する。

2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は従業員からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために、必要な体制を整備しなければなりません。
 
下記は必要な体制の整備の具体例です。
  • パワーハラスメントに対する相談窓口を設置し、従業員に周知する。

  • 相談窓口には担当者(社内もしくは外部機関への委託も可)を設置し、相談内容や状況に応じ適切に対応する。

  • 実際に起きているパワーハラスメントだけでなく、今後パワーハラスメントに発展する可能性のある場合でも、広く相談に対応する。

3.職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

事業主は、職場におけるパワーハラスメントに係る相談があった場合、その相談に係る事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正に対応しなければなりません。
 
下記は職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応の具体例です。
  • 相談窓口担当者が、相談者と行為者の両方に事実確認を行う。双方の言い分に食い違いが発生した場合は、第三者からも事実関係を調査する。

  • 相談者の被害が確認できた場合は、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行う。(被害者と加害者を引き離すための配置転換、加害者からの謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復等)

  • 職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できた場合には、加害者に対する措置を適正に行う。(職場におけるパワーハラスメントに関する規定等に基づき、加害者に対し必要な懲戒やその他の措置を行う等)

ここまでの3点は、厚生労働省によって定められている企業に実施義務のある内容です。
 
次は、上記3点に追加して行なったほうがいい対応策を紹介します。

4.その他のハラスメントへの対応

職場におけるパワーハラスメントだけでなく、その他のハラスメントについても対応しましょう。その際、パワーハラスメントの相談窓口とその他のハラスメントの相談窓口を一元化し対応するのが望ましいです。

5.プライバシー保護対策と不利益取り扱いの禁止

5.プライバシー保護対策と不利益取り扱いの禁止
職場におけるパワーハラスメントに限らず、ハラスメントの相談があった場合には、相談者のプライバシー保護対策が必要です。
また、ハラスメント相談後に相談者が不当な取り扱いを受けることがないよう、不利益取り扱いの禁止を明文化しましょう。

6.定期的なアンケートやストレスチェックの実施

全従業員に対し、定期的に職場についてのアンケートやストレスチェックを実施して、ハラスメントを未然に防ぎましょう。
また、実際にハラスメント被害にあっている従業員の早期発見にもつながります。

中小企業も早急にパワハラ対策を進めるべき!

従業員のパワハラ被害や、企業のリスクを抑えるためにも、パワハラ防止法への対策は非常に重要です。
まだ対策が出来ていない方は早急な準備を、企業のパワハラ防止対策をさらに充実させたい方は追加で対応策を練ってみてください。

また、ハラスメント対策は健康経営を実現するうえでも役立ちます。健康経営について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

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