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パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)とは? ポイントや罰則の有無を初心者向けに解説

「新しく施行されたパワハラ防止法ってどういう内容?」
「パワハラ防止法に違反した場合はどうなるの?」
 
このような疑問をお持ちの方のために、今回はパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)のポイントや罰則の有無について紹介します。
企業でのパワハラ対策に役立てたい方や、パワハラについてより知識を深めたい方はぜひご覧ください。


パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)とは?

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)とは、「企業はパワハラ対策を行わなければならない」と定めた法律のことです。
 
正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といい、多様な働き方の推進を目的としています。
 
2019年5月の改正で、それまで不透明であったパワハラの定義が明確にされ、企業がパワハラ防止の措置を講じることが義務化されました。これをきっかけに、一般に「パワハラ防止法」と呼ばれるようになります。
 
パワハラ防止法の「第三十条の三」には国、事業者、労働者の責務が明記されています。つまり、パワハラ対策には国や企業はもちろん、働く従業員一人ひとりが取り組まなければなりません。
まず、それぞれの責務について解説します。

1.国の責務

国の責務に関して、以下のように定められています。
 
「事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。」
 
具体的な取り組みとしては、厚生労働省では12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」を開催しています。
国は企業と国民の理解を深めるために、広報や啓発活動に努めなければなりません。

2.事業主の責務

次に事業主の責務に関して、以下のように記載されています。

「労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。」
「自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。」
 
上記では、パワハラ防止のために具体的な取り組みを行うだけではなく、経営者自身がパワハラに関してしっかり学ぶことが求められています。

3.労働者の責務

最後に労働者の責務に関して、以下のように記載されています。
 
「優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。」
 
上記では、従業員自身でパワハラ対策を講じなければならないことに加えて、企業のパワハラ対策に協力しなければならないと明記されています。
このように、パワハラ対策ははたらくすべての人が取り組むべき課題であり、それぞれの立場で必要な対策を行わなければならないのです。

中小企業にも2022年4月よりパワハラ防止法は施行された

中小企業にも2022年4月よりパワハラ防止法は施行された
パワハラ防止法が2020年6月に施行された当時は、義務化の対象は大企業のみで中小企業は「努力義務」とされていました。

しかし2022年4月から中小企業にも適用されるようになり、すべての企業に対して取り組みが求められるようになりました。
 
「小さな会社だからパワハラなんて起こらない」、「大企業じゃないから対策なんかできない」と考えるのではなく、すべての企業がパワハラ対策を行わなければならないのです。

パワハラとは?

パワハラとは?
パワハラ防止法においてパワハラの定義が法律上明確にされたと前述しましたが、パワハラはどのように定義されているのでしょうか。
パワハラ防止法第三十条の二には、次のように記載されています。
 
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」
 
わかりやすいように上記を4つに分けて考えてみましょう。

1.「職場において行われる」

パワハラが発生するのは「職場」ですが、ポイントは「職場」の範囲です。就業時間外や社外であっても、職場の関係性の中で行われている行為であればパワハラに該当するので、注意が必要です。
 
以下に例をいくつか記載します。

  • 出張先
  • 業務で使用する車内
  • 接待の席を含む取引先との打ち合わせの場所
  • 通勤中

2.「優越的な関係を背景とした言動であつて」

パワハラが発生する背景には行為者側に必ず何かしらの優位性、つまりパワーが存在しています。
代表的な例は、上司と部下の関係です。管理職は一般社員に比べて「職務上の地位」という視点からパワーがあります。
 
ほかにも以下のようなケースが考えられます。
 
  • 部下が結託し「集団」というパワーを用いて上司に嫌がらせを行う
  • 社歴が長いベテラン社員が「経験」というパワーを用いてハラスメントを行う
  • 特定の分野に関して高い専門知識や豊富な経験を有し、「専門性」というパワーを用いてハラスメントを行う

一般的に、パワハラといえば上司と部下の関係性のもと発生するものだというイメージがありますが、何かしらの優位性が存在する関係ならばどこでも発生する可能性があるのです。
 
また、厚生労働省は「自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい」として、以下を対象に挙げています。

  • 他の事業主が雇用する労働者
  • 就職活動中の学生等の求職者
  • 労働者以外の者(フリーランス、インターンシップを行う者、教育実習生等)


たとえば採用活動時の求職者や取引先の従業員とのやりとりにおいても、ハラスメントが起きないよう気を付けなければなりません。自らの組織内のみではなく上記のような場面においても、パワハラにあたる言動を自社の従業員が行わないよう、積極的に対策を進めたほうがよいでしょう。

3.「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより」

3.「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより」
たとえば「部下が約束の時間に遅刻した。以前も遅刻をしたことがあったので叱り、もし遅刻しそうな場合は事前に連絡をするよう命じた」という例について考えてみましょう。

上記の行為は「業務上必要なこと」であると考えられ、これだけではパワハラに該当する可能性は低いでしょう。
 
では次のような場合はどうでしょうか。
「部下が約束の時間に遅刻した。「お前のようなマヌケな奴はいらない」「お前は会社を食い物にしている、給料泥棒だ」と叱り、二度と遅刻をしないよう命じた。」

上記は部下の人格を否定した発言であり、「業務上必要な範囲を超えた」と考えられます。パワハラに該当する可能性が高いでしょう。
 
なお、「業務上必要なこと」であるのか「業務上必要な範囲を超えたこと」であるのかは、業務の内容や行為者との関係性など、さまざま要素を総合的に考慮したうえで慎重に判断されなければなりません。

4.「その雇用する労働者の就業環境が害されること」

ここでは、行為によって被害者が身体的・精神的にダメージを受け、就業環境が悪化することが記されています。
 
パワハラは、行為者がいるだけでは発生しません。行為によって何かしらのダメージを受けた被害者が存在することも、パワハラが発生する要因のひとつなのです。



以上を踏まえたうえで、パワハラの定義をもう一度振り返ってみましょう。
 
  1. 職場において行われる
  2. 優越的な関係を背景とした言動であつて
  3. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  4. その雇用する労働者の就業環境が害されること

パワハラ防止法では、上記の4点をすべて満たしたものが職場のパワーハラスメントであると記載されています。

なお、パワハラに関しては以下のページでも詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。

またパワーハラスメント以外にも、職場におけるハラスメントは多数あります。
その他のハラスメントについて詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。

どのような行為がパワハラにあたるのか

どのような行為がパワハラにあたるのか
厚生労働省はパワハラ指針を発表し、パワハラに該当する代表的な言動の類型として以下の6種類を記載しています。
 
  1. 身体的な攻撃(殴打・足蹴りを行うこと)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
  3. 人間関係からの切り離し(別室への隔離・長期間の自宅研修・職場での孤立)
  4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
  5. 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)


また、パワハラに該当する言葉や行動の具体例については下記ページにて詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

なお、職場でパワハラ問題が持ち上がったとき、一般的には組織に設けられた「ハラスメント対策委員会」や「調査委員会」などが調査し、当該行為がパワハラなのか判断します。
 
仮に管理者など立場がある人が「これはパワハラだ」と発言すると「行為者はパワハラ被害者だ」と一斉に職場内で認識されてしまいます。
逆に「パワハラではない」と発言すると、行為を受けた人は不満が募り職場の人間関係は悪化するでしょう。
 
よって、「パワハラなのかパワハラではないのか」の議論は、問題が発生した現場内のみで行うべきではありません。

パワハラ防止法が成立した背景

次に、パワハラ防止法が成立した4つの背景について解説します。

1.パワハラの相談件数が年々増加している

1.パワハラの相談件数が年々増加している
厚生労働省は労働に関するあらゆる相談にワンストップで対応するため、全国379か所に総合労働相談コーナーを設置しています。

2020年度(令和2年度)、総合労働相談コーナーに寄せられた民事上の個別労働紛争相談件数は27万8,778件です。
相談の内訳は「いじめ・嫌がらせ」が79,190件ともっとも多く、年々増加しています。
民事上の個別労働紛争|主な相談内容別の件数
 
なお、2020年度(令和2年度)のいじめ・嫌がらせ件数は減少しているように見えますが、これは2020年6月に改正労働施策総合推進法が施行されて以降、大企業の当該紛争に関するものは「いじめ・嫌がらせ」ではなく、「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」として計上されているからです。
 
同法に関する相談件数は18,363件であり、「いじめ・嫌がらせ」の79,190件と合わせると97,553件で、前年に比べて増加しています。
 
このように、パワハラの相談件数は年々増加しているのです。

2.多くの企業がパワハラ後に適切な対応ができていない

厚生労働省によると、「過去3年間にパワハラを受けた経験がある」と答えた人の割合は2020年(令和2年)で31.4%です。
 
上記の人がその後にとった行動でもっとも多かったのが「何もしなかった」35.9%でした。
「何もしなかった」理由についてもっとも多かったのは、「何をしても解決にならないと思ったから」67.7%でダントツです。
パワハラを受けて何もしなかった理由
また、パワハラを受けていることを認識した後の勤務先の対応でもっとも多かったのが「特に何もしなかった」47.1%でした。
 
実に衝撃的な結果ですが、多くの従業員が自分の職場や会社にはパワハラを解決する力がないと思っており、実際約半数の企業が、パワハラ発生後に適切な対応がとれていないのです。
このような状態が続くとパワハラ問題はさらに大きくなり、最悪の場合訴訟に発展する可能性もあります。
 
以上のことからパワハラ発生後の適切な対応が求められるようになり、パワハラ防止法の成立につながりました。

3.働き方改革が推し進められた

もともとパワハラ防止法は、労働市場に関連する法律の基本となる「雇用対策法」がもとになっています。
 
2018年、長時間労働の削減など「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が整備され、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という名称に変更されました。

4.とある裁判でパワハラが初めて労災と認定された

4.とある裁判でパワハラが初めて労災と認定された
2007年10月、とある裁判でパワハラが初めて労災と認定されました。
詳細は以下の通りです。
 
N社に勤務していた男性社員が自殺し、遺書には上司から浴びせられた言葉として「存在が目障りだ。いるだけでみんなが迷惑している。お願いだから消えてくれ」「車のガソリン代がもったいない」などが記されていた。
それまでは労災の評価項目にパワハラに該当する項目がなかったため、上司のパワハラにより部下がうつ病を発症し自殺に至ったとしても、労災と認定されることがなかった。
男性社員の妻は、会社だけではなく労災を認めない労働基準監督署とその署長を訴え、東京地検は労働基準監督署に対して労災を認めるべきだという判決を下したのだった。
 
この判決をきっかけに、パワハラをめぐる訴訟が相次いで起こるようになりました。
そして2009年、労災の判定基準に「嫌がらせ、いじめ、暴行」という項目が追加され、パワハラが明確に労働災害として認められるようなったのです。

違反した際の罰則について

次に、パワハラ防止法に違反した際の罰則について解説します。

パワハラ自体に罰則はないが企業の信用は大きく失墜する

パワハラ自体に罰則はないが企業の信用は大きく失墜する
パワハラ防止法に違反した場合、罰則はありません。
しかし、厚生労働省の判断により助言、指導が行われることがあり、勧告に従わない場合には社名が公表される可能性があります。その場合、企業は社会からの信用を大きく失うでしょう。
 
また組織内で十分な対策がとれていないと、場合によっては被害者から訴訟を起こされたり、損害賠償を請求されたりする可能性もあります。

パワハラ行為が傷害や暴行と認められ、罰則が適用される場合もある

前述した6種類のパワハラのうち、1の身体的な攻撃や2の精神的な攻撃は、パワハラに該当するのみではなく法律問題に係わります。
 
具体的には暴行罪や傷害罪、脅迫、名誉棄損などに問われ、加害者個人だけではなく企業も損害賠償を請求される可能性があります。
 
「うちには関係ない」、「罰則がないなら守らないでいい」などと思わずに、パワハラ対策を怠ると多くのリスクに直面する可能性があることを理解し、取り組まなければなりません。

実際にパワハラが裁判になった事例

実際にパワハラが裁判になった事例
次に、パワハラ行為が実際に裁判に発展した事例を紹介します。

1.パワハラ行為を行ったものだけではなく会社の責任も認められた事例

【概要】
金属ほうろう加工業を営む会社(被告)の従業員A(死亡当時52歳 男性)が、会社役員2名から日常的な暴行やパワーハラスメント、退職勧奨等を受けたことが原因で自殺したとして、Aの遺族である妻子が会社及び会社役員2名に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。判決では被告会社及び会社役員1名に対し、合計5400万円余りの損害賠償が命じられた。
 
【パワハラの内容】
  • Aが仕事上のミスをした際「てめえ、何やってんだ」「どうしてくれるんだ」「ばかやろう」などと汚い言葉で怒鳴ったり、あわせて同人の頭を叩く、同人を殴る、蹴るなどをした。
 
  • Aとほか1名の従業員に対し、同人らがミスによって被告会社に与えた損害を弁償するよう求め、弁償しないのであれば家族に払ってもらうと述べた。 

  • Aとほか1名の従業員に対し、「会社を辞めたければ7000万円払え。払わないと辞めさせない」と述べた。

2.過小な要求型の事例

【概要】
女性教諭Xが、高等学校によりなされた授業・担任等の仕事外し、職員室内での隔離、何らの仕事が与えられないままの4年6ヶ月にわたる別室への隔離、5年以上にわたる自宅研修等の命令などが人格権等を侵害する不法行為に該当するとして、1000万円の慰謝料を請求した。判決では高等学校を経営する学校法人に対し、600万円(※地裁では400万円)の損害賠償が命じられた。
 
【パワハラの内容】
  • Xの教師としての適格性を欠く言動や業務命令違反を理由に、Xの学科の授業、クラス担任その他公務分掌の一切を外し、Xは出勤しても一日机に座って過ごさざるを得ない状況となった。
 
  • Xの席を、他の教職員から引き離し職員室の出入り口近くに移動させた。
 
  • Xと他の教員との間で暴力沙汰寸前のトラブルが生じ、業務が阻害されるおそれがあったことを理由に、職員室と別の部屋にいるようXに命じた。


なお、厚生労働省が運用するハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」には、上記で紹介した以外にも多くの裁判例が掲載されているので、気になる方はこちらもご覧ください。
 

企業が実施すべきパワハラ対策

前述したように、パワハラ対策に取り組んでいない場合、企業は社会的信用を大きく失う可能性があります。
 
その他にも、離職率の増加や人材確保の困難などさまざまなデメリットがあり、企業にとって大きな痛手です。大企業、中小企業問わず、すべての企業は早急に対策を取らなければなりません。
 
厚生労働省は企業に実施義務がある対応として、以下の3点を挙げています。

1.事業主の方針等を明確化し、従業員に周知・啓発する

事業主はパワハラに関する方針を定め、従業員へ周知する必要があります。
組織のトップが強いメッセージを発信すると従業員の意識を高められ、組織が一丸となりパワハラ対策に取り組むことができます。
 
周知する際は単に「パワハラを起こしてはいけません」と呼びかけるのではなく、パワハラの原因や発生する背景についても従業員の理解を深められるよう留意しましょう。
 
具体的には以下の方法があります。
 
  • 就業規則やその他の服務規律等を定めた文書の中で、職場におけるパワーハラスメントについての方針を規定し、周知・啓発する
  • 社内報・パンフレット・社内共有サイトなどに、職場におけるパワーハラスメントの内容や原因・背景並びに禁止する旨の方針を記載し、周知・啓発する
  • 職場におけるパワーハラスメントについての研修を、従業員に対し実施し周知する

2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

従業員からのさまざま相談に適切に対応ができるよう、事前に環境づくりを行っておきましょう。
 
仮にパワハラに該当していないと考えられる場合でも、対応を怠ると職場環境が悪化する恐れがあります。
相談内容や状況に応じて柔軟な対応をとらなければなりません。
 
具体的には以下の方法があります。
 
  • パワーハラスメントに対する相談窓口と窓口担当者を設置し、従業員に周知する
  • 状況に応じて窓口担当者と人事部が連携を図れる仕組みをつくる
  • 実際に相談を受けた際のマニュアルを作成する

3.職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

従業員から相談を受けたあとは決して「相談を受けたら終わり」ではなく、迅速に事実確認をおこない適切に対処する必要があります。
 
具体的には以下の方法があります。
 
  • 相談窓口担当者が、相談者と行為者の両方に事実確認を行い、食い違いが発生した場合は第三者からも事実関係を調査する
  • 相談者の被害が確認できた場合は、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行う(被害者と加害者を引き離すための配置転換、加害者からの謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復等)
  • パワハラ発生の事実が確認できた場合には、加害者に対する措置を適正に行う(職場におけるパワーハラスメントに関する規定等に基づき、加害者に対し必要な懲戒やその他の措置を行う等)




また、追加で以下の取り組みも行うとより効果的です。

4.その他のハラスメントへの対応

パワハラだけでなく、その他のハラスメントについても対応しましょう。その際、パワハラの相談窓口とその他のハラスメントの相談窓口を一元化し対応するのが望ましいです。

5.プライバシー保護対策と不利益取り扱いの禁止

パワハラに限らず、ハラスメントの相談があった場合には、相談者のプライバシー保護対策が必要です。
また、ハラスメント相談後に相談者が不当な取り扱いを受けることがないよう、不利益取り扱いの禁止を明文化しましょう。

6.定期的なアンケートやストレスチェックの実施

全従業員に対し定期的に職場についてのアンケートやストレスチェックを実施して、ハラスメントを未然に防ぎましょう。
実際にハラスメント被害に遭っている従業員の早期発見にもつながります。
 
また、中小企業がパワハラ対策を進めなかった場合のデメリットについて、以下のページで詳しく解説しているのでこちらもご覧ください。
 
なお、弊社の健康経営支援ソリューションおりこうブログHRでは、オンラインでの産業医カウンセリング機能など、パワハラ対策に役立つ機能を多数搭載しています。
 
ご興味のある方は、以下からサービスの詳細をご覧ください。

自分がパワハラを受けたときの対応や、パワハラ抑止の方法

自分がパワハラを受けたときの対応や、パワハラ抑止の方法
企業が率先して取り組むことはパワハラ対策の第一歩ですが、パワハラ防止法に従業員の責務が記されているように、従業員も自らパワハラの加害者にならないように努めなければなりません。
 
また、以下ではパワハラ被害を受けないために、従業員が日頃から行える取り組みを紹介します。
 
なお、パワハラ行為そのものは行為者側に非があります。パワハラは重大な人権侵害であり、断じておこなってはなりません。
 
以下で紹介することをもとに被害者に内省を求めるのではなく、あくまでも自己理解を深めパワハラ被害を受けたときのヒントとして活用してみてください。

相談窓口を明確にしておく

まずは自分がパワハラ被害を受けた場合の相談窓口を明確にしておきましょう。
職場の産業医やカウンセラーへの相談、社外の相談窓口に頼る方法もあります。
 
以下にいくつか窓口を紹介します。

 
自分が悩んだとき、助けてほしいときにすぐに声をあげられるよう、事前に相談窓口を把握しておきましょう。

上司への報告、連絡、相談をこまめにおこなう

上司への報告、連絡、相談をこまめにおこなう
部下が上司に報告、連絡、相談を行うことは、ビジネスにおいてコミュニケーションの基本です。
 
報連相がない、あるいは内容に問題があると上司は部下に対して不安や心配、イライラといったネガティブな感情を抱きやすくなり、パワハラ行為につながる可能性があります。
 
こまめに報連相を行うことで、コミュニケーションのズレが原因で発生するパワハラを防げます。

周囲に感謝の気持ちを言葉にして伝える

感謝を伝え合うことは良好な人間関係の構築につながります。感謝をされて嫌な気分になることはめったにありまません。
 
昨今はSNSの普及などでコミュニケーションの手段が多様化してきています。若年層と中高年では、コミュニケーションのやり方にギャップが生じ、うまく関係が築けていない可能性もあります。
 
今まで以上に、職場の同僚や上司など周囲に感謝の気持ちを伝えることを心がけてみましょう。

実際にパワハラの相談を従業員から受けたときの基本スタンス

実際にパワハラの相談を従業員から受けたときの基本スタンス

最後に、実際に従業員からパワハラ被害の相談を受けたときの対応について解説します。
 
重要なポイントは、相談者と行為者のプライバシーを守るという点です。
 
厚生労働省が定める指針には以下の記載があります。
「職場におけるパワーハラスメントに係る相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該パワーハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。」

 
つまり、パワハラ相談を受けたら相談者・行為者両方の個人情報が守られるように対策を講じ、従業員に周知しなければなりません。
 
具体的には、相談を受けた場合のマニュアルを事前に作成しておくとよいでしょう。実際にマニュアルに基づいて対応するため、思わぬところから第三者に相談内容が洩れにくいです。
 
そのほかにも以下の取り組みが効果的です。
 
  • 相談窓口担当者に事前に研修を行う
  • 具体的にどのような措置を講じているのかを、社内報やパンフレット、社内ホームページで社員に周知する
 
行為者・加害者のプライバシー保護のために、相談内容を不用意に第三者に話さないよう注意しましょう。
 

今後はますますパワハラに敏感な時代に

パワハラ防止法が施行され、これまで被害を声に出せなかった人が声をあげやすくなりました。今後パワハラはさらに問題視されていくと予想されます。
 
「なんとなく必要そう」、「訴えられるのが怖いからやっておこう」と捉えるのではなく、まずはパワハラ防止法をしっかり理解したうえで最善の対策を心がけましょう。

また、ハラスメント対策は健康経営を実現するうえでも役立ちます。健康経営について詳しく知りたい方は、以下参考ページをご覧ください。
  
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