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職場のメンタルヘルス対策とは? 必要性やメリットを初心者向けに解説

職場のメンタルヘルス対策とは?必要性やメリットを初心者向けに解説
昨今、職場のメンタルヘルス対策の重要性が注目されており、厚生労働省や自治体もメンタルヘルス対策の推進に力を入れています。

しかし、「メンタルヘルス対策は個人が実施するものだから、会社・職場で取り組む必要性がいまいちわからない…」という方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は職場のメンタルヘルス対策の必要性やメリット、具体的な進め方を初心者向けにわかりやすく解説します。

メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、英語のMental(精神的な)とHealth(健康)が組み合わさった言葉で、「心の健康」を意味します。

「うつ病などの心の病気にかかっていない=メンタルヘルスには問題がない」という単純なことではなく、たとえば日々大きなストレスを抱えて暗い気持ちになっている状態であれば、それはメンタルヘルスに問題を抱えていると言えます。

世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスを「人が自分自身の可能性を認識し、生活における通常のストレスに対処することが可能で、生産的かつ実りある仕事ができ、さらに自分のコミュニティに貢献できる健康な状態(ウェルビーイングな状態)」と定義しています。

人々が豊かで実りある生活をおくるためには、メンタヘルスの維持が不可欠なのです。

職場でのメンタルヘルス対策の必要性・メリット

昨今では個人のメンタルヘルス対策だけでなく、職場全体・会社全体でメンタルヘルス対策を推進する傾向が高まっています。

また、健康経営の面でもメンタルヘルス対策は注目されており、健康経営優良法人の認定要件にはメンタルヘルス対策の実施も含まれています。

なぜ、職場でのメンタルヘルス対策が必要なのかと、そのメリットについてわかりやすく紹介します。

※健康経営や健康経営優良法人については、以下のページをご覧ください。
参考ページ:健康経営とは? 意味とメリット、やり方・取り組み例を初心者向けに解説
参考ページ:健康経営優良法人とは? メリット・認定基準・申請方法をわかりやすく解説
参考ページ:健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定要件と具体的な取り組み

会社全体の生産性低下を抑止できる

心の健康問題で従業員が休業した場合、約8ヶ月ぶんの労働損失が発生する

心の健康問題で従業員が休業した場合、約8ヶ月ぶんの労働損失が発生する
職場でメンタルヘルス対策を進める最大の必要性・メリットが、会社の生産性低下の抑止です。

従業員がメンタルヘルス不調を抱えて休職してしまうと、会社の生産性が低下します。

とりわけ従業員が10人程度の中小企業や営業所の場合、そのうち1人がメンタルヘルス不調で休んだだけでも、実に10分の1の労働力が瞬時に失われることになります。

心の健康問題で1ヶ月以上病欠した労働者の平均休業日数は、約5ヶ月と長期にわたります。

さらに、療養前のパフォーマンス低下や職場復帰後のリハビリ期を考えると、休業期間は5ヶ月だとしても実質的には8ヶ月ぶんの労働損失が発生するのです。

参考書籍:『4訂版 精神科産業医が明かす 職場のメンタルヘルスの正しい知識』

メンタルヘルス不調者が多い会社では、景気の悪化などの外部の危機に脆い組織になってしまう

さらに、メンタルヘルス不調者が多い会社は、景気の悪化などの外部要因のダメージも大きくなります。

メンタルヘルス休職者の比率が上昇した企業とそうでない企業を比較した場合、メンタルヘルス休職者の比率が上昇した企業のほうが、リーマンショック後に売上高と利益率が大きく悪化したとのデータが存在します。

※出典:企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績 -企業パネルデータを用いた検証-黒田 祥子(早稲田大学)、山本 勲(慶應義塾大学)

メンタルヘルス対策が不十分な状態だと、会社全体の粘り強さが失われ、外部の危機に対して脆い組織になってしまうのです。

休職や欠勤に至らなくても、従業員が心身の健康状態に不調をきたしてパフォーマンスを発揮できないだけでも、損害は大きくなる

休職や欠勤に至らなくても、従業員が心身の健康状態に不調をきたしてパフォーマンスを発揮できないだけでも、損害は大きくなる
また、従業員が休職に至らなくても、メンタルヘルスに不調を抱えた状態で仕事に携わっているだけで生産性は低下します。

このような出勤はしているものの、心身の健康状態に不調をきたして従業員が本来のパフォーマンスを発揮できない状態のことを、プレゼンティーズムと呼びます。

このプレゼンティーズムによる労働生産性の損失額は、医療費やアブセンティーズム(病欠など)と比較して、実は突出して多いとのデータがあります。

出典:東京大学政策ビジョン研究センター/「健康経営」の枠組みに基づいた健康課題の可視化及び全体最適化に関する研究
出典:厚生労働省「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」

つまり、職場内に病欠・休職している従業員がいない場合でも、メンタルヘルスに不調を抱えた従業員が存在すれば、会社は潜在的に多額の損失を抱えてしまっているということです。

会社のメンタルヘルス対策を進めることで、以上のようなメンタルヘルス不調による生産性低下を抑止できます。

離職率の低下と、従業員定着率アップに貢献する

新卒社員が1年で退職してしまった場合の損害は、1400万円もの売上アップを果たさないと穴埋めできない

新卒社員が1年で退職してしまった場合の損害は、1400万円もの売上アップを果たさないと穴埋めできない
メンタルヘルスに不調を抱えている従業員が多い職場では、必然的に離職率も高くなります。

とりわけ早期に従業員が退職すると、以下のようにさまざまなコスト・損失が発生します。

【従業員の早期退職で会社が負担するコスト・損失】
  • 入社から退職までにかかった給与・賞与・社会保険料
  • 新しい従業員を採用するコスト(求人広告など)
  • 新しい従業員が入社するまでの期間に発生する、他の従業員の負担増・残業代
  • 新しい授業員を教育するコスト

仮に新卒社員が1年で退職してしまった場合のコストは280万円にもおよび、損失を回収するには1400万円もの売上増を達成しなければならないとの試算もあります。

2030年には日本全国で644万人もの労働者(千葉県全体の人口と同等)が不足する

2030年には日本全国で644万人もの労働者(千葉県全体の人口と同等)が不足する
さらに、現在は採用募集をかければいくらでも応募があった時代とは異なります。

日本の少子化は今後さらに進行するので、多くの企業が慢性的な人手不足に陥ると予想されます。

パーソル総合研究所の調査によれば、2030年には日本全国で644万人の労働者が不足するとされています。

出典:『労働市場の未来推計 2030』(パーソル総合研究所)

これは千葉県全体の人口に匹敵する数字です。

「従業員のメンタルヘルスなんて気にする必要はなく、もし発生したら新しい人を雇えばいい」という考えは、将来的には通用しなくなります。

従業員の離職率を下げ、定着率をアップさせるメンタルヘルス対策は、今後さらに重要性を増していくでしょう。

業務上のミスや事故の発生率を低下させる

従業員にストレスがかかっている状態だと、仕事上の事故が2倍発生しやすくなる

従業員にストレスがかかっている状態だと、仕事上の事故が2倍発生しやすくなる
メンタルヘルス不調を抱えて疲弊している従業員は、ミスや事故を起こす確率が大幅にアップします。

ストレスがある状態だと仕事上の事故が約2倍発生しやすくなり、さらに上司・同僚からのサポートが少ないと通常の約2倍~3倍の確率で仕事上の事故が起きてしまいます。

参考書籍:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』

重大なミス・事故の場合、人々の健康や命が失われる事態にもなりかねません。

致命的なミス・事故を避けるためにも、職場のメンタルヘルス対策は重要なのです。

法的リスク・損害賠償の発生を抑止する

パワハラ防止法違反を犯して状態を放置した場合、最悪の場合は社名やパワハラの事実を公表されるリスクがある

パワハラ防止法違反を犯して状態を放置した場合、最悪の場合は社名やパワハラの事実を公表されるリスクがある
メンタルヘルス対策を実施しないままだと、法的なリスクが上昇してしまいます。

現在、職場のハラスメント行為に対して防止措置を講じることを企業に義務付ける、パワハラ防止法が施行されています。

2020年より大企業を対象に施行されていましたが、2022年4月からは中小企業にまで適用範囲が拡大されました。

パワハラ防止法自体に罰則はありませんが、違反が発覚して厚生労働省から勧告を受けても改善が見られなかった場合、社名やパワハラの事実を公表される可能性があります。

ただでさえ人材獲得が困難ななか、「あの会社はパワハラを放置していた」との悪評が広がると、採用活動に著しい支障をきたします。

少子化の余波も受け、人手不足倒産のリスクが大きく高まるでしょう。

参考ページ:人手不足倒産とは? なぜ起きるのかの原因と防止する方法・対策を解説

長時間労働やパワハラが原因で従業員がメンタルヘルス不調に陥り、労災認定がなされた場合、巨額の賠償金が科されるリスクがある

長時間労働やパワハラが原因で従業員がメンタルヘルス不調に陥り、労災認定がなされた場合、巨額の賠償金が科されるリスクがある
また、長時間労働やパワハラなどが原因で従業員がメンタルヘルス不調を起こした場合は、会社側が多額の賠償金を支払わなければならないリスクが生じます。

メンタルヘルス不調での休職後に従業員を解雇や自然退職扱いとし、その後に労災認定がされて解雇や自然退職が無効になると、「雇用契約は継続しており、会社が賃金を支払う義務があったにもかかわらず、賃金を支払わなかった」と見なされるため、賠償金が莫大になるケースがあるからです。

過去には6000万円以上の賠償額が命じられた事例も存在します。

参考書籍:『ケースでわかる 実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル』

以上のように、メンタルヘルス対策やパワハラ対策をせずに放置しておくと、法的・金銭的に高いリスクを抱えてしまうのです。

法的・金銭的リスクを低下させるためにも、職場のメンタルヘルス対策は不可欠です。

職場のメンタルヘルス対策の基本 4つのケアとは?

職場のメンタルヘルス対策の基本として、厚生労働省は以下の4つのケアを掲げています。

  • セルフケア
  • ラインケア(ラインによるケア)
  • 事業場内産業保健スタッフなどによるケア
  • 事業所外の専門家や機関によるケア

それぞれ具体的に説明していきます。

セルフケア(従業員自身によるケア)

セルフケア(従業員自身によるケア)
セルフケアとは、その名のとおり従業員自身がストレスやメンタルヘルス不調に気付き、適切に対処することです。

自分のストレスに応じて、しっかり休息・睡眠を取ったり、運動や旅行などの趣味の時間を設けたりするのが効果的です。

ストレスチェックの結果をもとに、自分の状態を見つめ直すのもセルフケアの一種です。

適切なセルフケアをするにはメンタルヘルスやストレスについての一定の知識が必要なので、企業側は従業員のセルフケアを促進するためにメンタルヘルス研修などを実施するとよいでしょう。

また、弊社の健康経営支援ソリューション・おりこうブログHRもセルフケアの促進やメンタルヘルスケアの基礎知識をWeb動画で学べる機能が搭載されていますので、ご興味のある方はぜひ詳細をご覧ください。

ラインケア(上司・同僚によるケア)

管理監督者(上司)が部下をケアするラインケアは、業務量の調整などの実効性の高い施策ができるので有効

管理監督者(上司)が部下をケアするラインケアは、業務量の調整などの実効性の高い施策ができるので有効
ラインケアとはメンタルヘルスケアの一種で、部長や課長などの職場における指揮命令系統のライン上にいる管理監督者(上司)が、部下・社員の心の健康をケアして職場環境を改善する取り組みのことです。

管理監督者(上司)は産業医などと比較して部下・社員との接点がもっとも多く、職場でいっしょに過ごす時間も長くなるため、メンタルの不調に気づく機会も必然的に多くなります。

さらに管理監督者(上司)は単に相談だけでなく、業務量や勤務シフトの調整、有給休暇取得や産業医との面談の勧奨など、実効性のある対策も実施しやすい立場にあります。

社員のメンタルヘルスを維持するうえで、なくてはならない有効な施策がラインケアなのです。

部下のメンタルヘルス不調に気付くためのポイントとは?

ラインケアを機能させるには、まず部下・社員がメンタルヘルス不調に陥っていないか気付くことが大切です。

厚生労働省が以下のようにメンタルヘルス不調の兆候・シグナルをまとめておりますので、みなさんの職場に当てはまる部下・社員がいないか、ぜひチェックしてみてください。

【「いつもと違う」部下の様子】
  • 遅刻、早退、欠勤が増える
  • 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
  • 残業、休日出勤が不釣合いに増える
  • 仕事の能率が悪くなる。思考力・判断力が低下する
  • 業務の結果がなかなかでてこない
  • 報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)
  • 表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆)
  • 不自然な言動が目立つ
  • ミスや事故が目立つ
  • 服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする

部下から相談してもらいやすくするには、職場内の心理的安全性が重要

部下から相談してもらいやすくするには、職場内の心理的安全性が重要
さらに、部下が上司に自分の状態や悩みを気兼ねなく打ち明けられるようにするためには、職場内の心理的安全性の向上も不可欠です。

心理的安全性(psychological safety)とは、組織のなかで不安を感じずに自分の意見や気持ちを積極的に発言できる状態のことです。

心理的安全性はメンタルヘルス対策だけではなく、職場の生産性をアップさせて致命的なミス・トラブルを減らすうえでも重要な要素ですので、ぜひ意識してみてください。

参考ページ:心理的安全性とは? 意味とGoogleが提唱する作り方・高める方法を解説
参考ページ:心理的安全性がない会社・低い職場のデメリット・特徴・原因を解説

以上のような点に注意して、ラインケアがうまく機能するように施策を進めていきましょう。

※ラインケアについては、以下のページで詳細に解説していますので宜しければご覧ください。
参考ページ:ラインケアとは? 意味と必要性、職場でのメンタルヘルス対策を解説

事業場内産業保健スタッフなどによるケア(産業医・保健師・人事労務スタッフによるケア)

事業場内産業保健スタッフなどによるケア(産業医・保健師・人事労務スタッフによるケア)
事業場内産業保健スタッフとは、職場のメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案や運用などを担当する者のことを指します。

具体的には産業医・保健師などや、衛生管理者・人事労務スタッフなど社内の人間も含まれます。

事業場内産業保健スタッフの主なメンタルヘルスケア業務は、職場全体の改善業務個人への相談対応業務の2種類に分かれます。

【職場全体の改善業務】
  • 衛生委員会などでのメンタルヘルスケアについての計画策定
  • 職場環境の把握と改善
  • 病院や外部のメンタルヘルス相談窓口などの、事業場外資源の利用と紹介
  • メンタルヘルスに関する研修会の実施

【個人への相談対応業務】
  • 労働者や管理監督者からの相談対応
  • 産業医やその他の医師などの専門家につなげる
  • 個人情報保護への配慮
  • 休職中の従業員に対する職場復帰への支援

事業所外の専門家や機関によるケア(病院や産業保健総合支援センター、EAPによるケア)

事業所外の専門家や機関によるケア(病院や産業保健総合支援センター、EAPによるケア)
事業所外の専門家や機関とは、病院やクリニック、産業保健総合支援センターや精神保健支援センターなどを指します。
また、民間の従業員支援プログラム(EAP)も含まれます。

主にメンタルヘルスの面談やカウンセリング、診断、復職指導などを担当することが多いです。

とりわけ各都道府県に設置されている産業保健総合支援センターでは、従業員数50人未満の事業場ならば、無料で利用できるサービスが用意されています。

メンタルヘルス研修のほか、ストレスチェック導入の支援、高ストレス者や長時間労働者に対する医師による面談、個別訪問による産業保健指導など、さまざまなサービスを無料で活用できますので、ぜひ利用を検討してみましょう。

以下のページに各都道府県の産業保健総合支援センターの住所と電話番号の一覧が表示されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

参考ページ:産業保健総合支援センター(独立行政法人労働者健康安全機構)

メンタルヘルスケアの3つの段階

職場におけるメンタルヘルスケアは3つの段階に大別できます。

それが、一次予防・二次予防・三次予防です。

それぞれ簡単に説明していきます。

一次予防(メンタルヘルス不調を予防する取り組み)

一次予防(メンタルヘルス不調を予防する取り組み)
メンタルヘルスケアにおける一次予防とは、従業員がメンタルヘルス不調になることを防止する取り組みのことです。

具体的には、これまで説明してきたセルフケア・ラインケアや、ストレスチェックの実施、メンタルヘルスケア研修などが挙げられます。

従業員は自分のストレスに気付きにくい、あるいは気付いていても放置する傾向にあるため、メンタルヘルス不調に至るまえにセルフケアをしてもらうことが非常に重要です。

同様にラインケアも一次予防において大きな役割を果たしますが、すべての管理監督者が部下のメンタルヘルス不調の兆候を適切にキャッチし、ケアできるわけではありません。
そのため、管理監督者向けのラインケア研修を実施するとよいでしょう。

なお、ストレスチェックは単に実施しただけでは、従業員のメンタルヘルスケアにはそこまで効果がありません。

ストレスチェックの結果を集団分析し職場環境を改善することや、高ストレス者と判定された方へのセルフケアの情報提供と相談には、科学的に改善効果が確認されていますから、ストレスチェックを実施するならぜひそこまで施策を徹底しましょう。

参考書籍:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』

二次予防(メンタルヘルス不調を早期発見し、悪化を防ぐ取り組み)

二次予防(メンタルヘルス不調を早期発見し、悪化を防ぐ取り組み)
一次予防がメンタルヘルス不調の発生を防ぐのが目的だったのに対し、二次予防はメンタルヘルス不調が社内で発生したあとに早期発見・早期対応することが目的の施策です。

具体的には、メンタルヘルス不調に対する事業所内外における相談窓口の設置や、産業医との面談が有効です。

事業所に産業医などが常駐していない場合は、産業医のオンライン面談などのサービスを活用するとよいでしょう。

また、従業員の不調が激しいようであれば休暇を与えたり、医療機関への受診を勧めたりといった対応も必要になります。

三次予防(メンタルヘルス不調で休職している従業員の職場復帰の取り組み)

三次予防では、職場復帰支援のプラン作成や取り組みが中心で、主治医など社外の関係者との連携も必須になる

三次予防では、職場復帰支援のプラン作成や取り組みが中心で、主治医など社外の関係者との連携も必須になる
三次予防とは、メンタルヘルス不調で休職中の従業員の職場復帰支援の施策です。

具体的には、職場復帰支援プランの作成や、病気休業開始・休業中の連絡やケア、リワークプログラム・試し出勤や時短勤務などの職場復帰をスムーズにするための取り組みが挙げられます。

骨折などの単純なケガと異なり、うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調は再発の可能性が常にありますので、再発防止も三次予防の重要な役割です。

従業員の主治医など社外の関係者との密な連携も必要になってきます。

休職期間中は2週間~1ヶ月程度は定期的に従業員と連絡を取るべき

なお、休職期間中は従業員と人事労務スタッフなどが定期的に連絡を取るべきです。

休職期間の満了直前になるまで従業員にほとんど連絡しない企業が散見されますが、互いに連絡しないまま、3ヶ月・半年が過ぎてしまうと、双方にとって相手の様子を想像しづらい状況になってしまうからです。

また、休職期間満了直前だと本人は復帰しないと生計が成り立たなくなってしまうため、「元気です」と無理にでも答えざるをえません。以上の事態を避けるために、2週間~1ヶ月に1回程度は連絡するように休職開始時に取り決めをしておくのがよいでしょう。

参考書籍:『ケースでわかる 実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル』

三次予防は一番難易度が高いため、まずは一次予防・二次予防を充実させるべき

従業員がメンタルヘルス不調で休職すると6ヶ月以上の長期の取り組みが求められるうえに、最適な対応をすること自体も極めて難しい

従業員がメンタルヘルス不調で休職すると6ヶ月以上の長期の取り組みが求められるうえに、最適な対応をすること自体も極めて難しい
なお、一次予防・二次予防・三次予防のなかで、成功させるのが突出して難しいのが三次予防です。

うつ病・適応障害・統合失調症などメンタルヘルス不調の種類によって、適切な対応が異なる可能性がありますし、同じうつ病であっても従業員の特性・個性によって最適解が変化しうるからです。

従業員それぞれでメンタルの特性は千差万別ですから、マニュアル通りの対応が最も通用しづらい分野になります。

さらに、連続30日以上、メンタルヘルス不調が原因で会社を休職した人の復職率を調査したところ、3ヶ月以内に復職した人が35%、6ヶ月以内だと58%、12ヶ月以内だと71%、18ヶ月以内だと75%ですから、高確率で長期の取り組みが不可欠になってしまいます。

出典:民間企業における長期疾病休業の発生率、復職率、退職率の記述疫学研究J-ECOHスタディ(西浦千尋ほか)

職場のメンタルヘルス対策では、一次予防・二次予防を充実してメンタルヘルス不調が悪化しないように努めることが重要

職場のメンタルヘルス対策では、一次予防・二次予防を充実してメンタルヘルス不調が悪化しないように努めることが重要
とりわけ人員に余裕がない中小企業にとっては、そこまで長期にわたって従業員の職場復帰支援をするのは難しいでしょうし、そもそも充実した職場復帰支援プログラムを作成すること自体が至難の業でしょう。

結論を言うと、メンタルヘルス不調による休職が発生してから適切な対処するのは相当難しいということです。

一次予防でメンタルヘルス不調の発生自体を防止し、たとえ発生したとしても二次予防で早期対応するのが、職場のメンタルヘルス対策を成功させるには不可欠なのです。

ぜひみなさんの会社でも、メンタルヘルス不調の予防と早期発見・早期対応にまずは注力して、メンタルヘルス対策を進めてみてください。

なお、弊社でも社員のメンタルヘルス・体調の推移をチェックし、早期対応を実現できるツール「おりこうブログHR」を提供しております。

ストレスチェック機能を搭載し、メンタルヘルスや健康経営に役立つEラーニングコンテンツ、産業医とのオンライン相談サービスも提供していますので、ご興味のある方は、以下からサービスの詳細をご覧ください。

健康経営支援ソリューション・おりこうブログHR
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