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『現場で役立つ!ハラスメントを許さない現場力と組織力』健康経営書籍レビュー

『現場で役立つ!ハラスメントを許さない現場力と組織力』健康経営書籍レビュー
健康経営に関する本・書籍をご紹介。 
今回は『現場で役立つ!ハラスメントを許さない現場力と組織力』(著:鈴木瑞穂)の読みどころやポイントを紹介します。
本書は、株式会社インプレッション・ラーニングのコンプライアンス・法務教育部門インストラクターである著者が、ハラスメント問題に対する現場力や組織力などについて、事例を用いながらわかりやすく説明している本です。
【特に重要なポイント・内容】
  • 職場のハラスメント問題に適切に対応するためには、現場力の向上組織力の構築の2つが必要である。
 
  • 現場力:職場で働く全社員がハラスメントについての誤った自己解釈を払拭して正しい知識を共有すること。またその上で、管理職層がハラスメント問題について適切に対処するための知識、認識、スキル、センスを身につけること。そして管理職層の指示や指導を受ける中堅・若手社員が自分の不平不満を安易にハラスメントという言葉に置き換えないような心構えを身につけること。
 
  • 組織力:ハラスメント問題に取り組むための全社的な制度と環境を整え現場力を向上させるために必要かつ効果的な施策を実施していくこと。

  • ハラスメント問題に取り組んでいる会社が抱えている課題は以下の2つである。
    1. 現場力を向上させるための適切なアプローチが行われていない。
    2. 組織力の構築というアプローチが行われていない。

  • ハラスメント問題とは、職場において行為者のある言動に対して、相手方あるいは第三者が「それはセクハラだ、パワハラだ」と反応する状況である。
  • ハラスメント問題の対応策を考える際には、以下のプロセスとゴールイメージを認識するのが大事である。

<プロセス>
  1. ハラスメント問題の本質を把握する。
  2. セクハラ・パワハラ等のハラスメント問題の定義を理解する。
  3. ハラスメント問題のブラックゾーン(※1)とグレーゾーン(※2)の2つの分野を認識する。
  4. ブラックゾーンおよびグレーゾーンの判断のしかたを身につけ、それぞれの分野の発生原因と予防法・対処法を認識する。

※1ブラックゾーン:100人いたら100人とも「その言動はハラスメントだ」と断定できる状況。
※2グレーゾーン:問題とされている言動が客観的にみるとハラスメントと断定できない、当たり前の言動に見えるが相手がなんらかの理由に基づき、ハラスメントだと反応する状況。
 
<ゴールイメージ>
  • 管理職層(指導的立場にある者を含む)が自信を持って正しい指導、注意、指示できるような環境をつくる。
  • スタッフ層が管理職層の指導、注意、指示を真摯に受け止め、自分の不平不満をハラスメントという言葉に置き換えずに、真剣に業務に取り組む環境をつくる。

  • パワハラ問題を分かりにくいと感じる原因は以下の2つである。

1.安直な“べからず”集がはびこっている
パワハラ問題に対する管理職層の疑問や悩みはおおよそ「指導・注意・指示・命令とパワハラの境界線がわからない。」「何を言えばパワハラになるかがわからない。」などのものである。その疑問や悩みの根源には「境界線やNGワード集があるのではないか。」「パワハラになるか否かの客観的判断基準があるのではないか。」という考え方がある。その考え方に応えるために、既存の書籍や厚生労働省のガイドラインなどでは、過去の事例の中からパワハラと認定された理由を抽出し、それを抽象的な表現で提示するというアプローチがとられてきた。

その結果、「大声、怒鳴り声で注意するとパワハラになる」「繰り返し執拗に注意するとパワハラになる」「同僚の前で注意するとパワハラになる」などのような、安直な”べからず集”がはびこってしまっている。
 
2.誤った自己流解釈をしている
ほとんどの管理職層の人々が、「強制するとパワハラになる」「相手がパワハラと思えばパワハラになる」という誤った自己流解釈をしている。
  • ここでは安直な“べからず集”と誤った自己流解釈を象徴する事例を紹介する。

【事例】
営業課長Aは、顧客と継続的に打ち合わせを行っており、実務経験を積ませるためにいつも部下Bを同行させていた。ある時Aは、顧客と話す時のBの言葉遣いや態度が少しなれなれしすぎると感じたため、「Bさん、お客さんとはどんなに親しくなっても礼儀は忘れちゃだめだよ」と注意した。そのときBは黙って聞いていただけだった。
その数日後、AはまたBの態度がなれなれしいと感じたため、同様に注意した。Bはまた黙って聞いていただけだった。
その数日後、Aは再度Bに注意した。するとBは「なんで僕だけそんなに何回も注意するんですか」と言ってきた。
 
Aとしては、同じ過ちを繰り返す部下に対してはその都度注意すべきだと考えていたが、一方で“繰り返し執拗に注意するとパワハラになる”とういことも聞いていた。そのためBに言い返されたことにより、これ以上繰り返し注意するとパワハラと言われるのではないかと考え、それ以降はBの態度になれなれしさを感じても、注意することを控えた。
そうしたらある日、顧客から「おたくのBさんね。ちょっとなれなれしいですよね」と言われてしまった。
 
【解説】
このように無意識のうちに「相手方がパワハラと思えばパワハラになる」という誤った自己流解釈をしている。それをベースに「繰り返し執拗に注意するとパワハラになる」という安直な“べからず“集で考えているため、「どのように注意をしていいかわからない」という悩みが生まれている。
 
  • パワハラとは「仕事をしていく上であってはならない言動」のことだ。会社の仕事は、上位者から下位者への指示や命令、経験豊富な者から少ないものへの指導や注意など、さまざまな人間関係の中で行われるものである。そのような仕事のしかた・させかたには一定の妥当な範囲があり、その範囲を逸脱した仕事のしかた・させかたは容認されない。

たとえば、上位者から下位者への指示や命令であっても、仕事に関係のない私用を命じることはあってはならない。また経験豊富な者から経験の少ないものへの指導や注意であっても、「何回言ったらわかるんだ、このボケが!」「お前みたいな仕事のできない給料泥棒は辞めてしまえ!」などの罵詈雑言はあってはならない。
 
パワハラという言葉は、このような妥当な範囲を逸脱した仕事のしかた・させかたを意味している。


本書では、今回は省略した「セクハラ」についての詳細や、後半にはそれぞれのハラスメントに対する現場力、組織力を高める具体的な方法が記されています。
ハラスメント問題について誤った認識をもっている方、会社でハラスメント問題に直面している方にオススメの本です。
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