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リモートハラスメント(リモハラ)とは? 意味や定義・具体例を解説

職場のリモートハラスメント(リモハラ)とは? 意味や定義・具体例を解説
「最近よく聞くリモハラってどういうもの?」
「リモートワークを導入しているけれど、ハラスメント対策がとれていない…」
「どういう言動がリモハラ該当するの?」
 
このような疑問やお悩みをお持ちの方のために、今回はリモートハラスメント(リモハラ)について紹介します。
 
リモートハラスメント(リモハラ)の特徴や実際の事例、企業へ及ぼす影響をわかりやすく解説しています。
リモハラの発生を防ぎ企業での対策に役立てたい方は、ぜひご覧ください。

リモートハラスメント(リモハラ)とは?

リモートハラスメント(リモハラ)とは?
リモートハラスメント(リモハラ)とは、リモートワークにおいて行われるハラスメント行為のことです。
たとえばビデオ会議やチャット上でのやり取り、リモート飲み会などにおいて発生するハラスメントはリモハラに該当します。
 
リモハラは、周囲から発見されにくいという特徴があります。
オフィス環境では、周囲の従業員がハラスメントを見たり感じ取ったりしますが、リモートワークでは従業員同士が物理的に離れています。
周囲が気づかないままハラスメント行為がエスカレートしてしまい、被害者は深刻なダメージを負っている可能性があるため注意が必要です。
 
対策のために、まずはリモハラの特質をしっかり理解しましょう。

リモハラの実態

2020年(令和2年)、新型コロナウィルスの流行をきっかけに、テレワークを導入する企業が急激に増加しました。
リモハラの実態

政府は、テレワークが業務生産性の向上やワークライフバランスの実現に有効だとして、普及を推進しています。
 
そのうえで、ハラスメントへの対応として「オフィスに出勤する働き方の場合と同様に、防止対策を十分に講じる必要がある」と定め、企業に対策を求めています。
 
 
実際、テレワークの普及とともにリモハラの認知も広がり、徐々に問題が浮き彫りなっています。
 
東京大学が行った調査によると、一度でも在宅勤務を経験した人は、具体的に以下のようなハラスメント行為を受けたことがあると回答しました。
 
  • 業務時間外にメールや電話等への対応を要求された:21.1%
  • 就業時間中に上司から過度な監視を受けた:13.8%
  • オンライン飲み会への参加を強制された:7.4%
  • 業務上必要性のない1対1でのオンライン会議やオンライン飲み会に誘われた:5.9%
  • 容姿や服装、部屋の空間について言及された:5.0%
  • 業務上必要性のあるオンライン会議に呼ばない、仲間外れにされるなどの行為を受けた:4.7%

リモハラが発生する背景

次に、なぜリモハラが発生するのか、4つのポイントを説明します。

1.社内でリモートワークに関する十分な運用体制が構築できていない

前述したように、リモートワークを導入する企業が拡大した最大の要因は、新型コロナウィルスの感染拡大です。
 
導入当初、多くの企業は運用体制や環境の整備を十分行えないまま、リモートワークを実施しなければなりませんでした。 
その結果、明確なルールや線引きが存在しないため、何がハラスメント行為に該当するのか判断が難しく、リモハラが発生しやすい環境になったのです。
 
また、運用体制が整っていないと、リモハラ発生後に従業員から相談があった場合にも適切な対応がとれません。
ハラスメントが繰り返し行われる可能性があり、職場環境は悪化する一方です。

2.リモートワークによりコミュニケーションが希薄になっている

リモートワークでは主にメールやチャット、オンライン接続などを用いて従業員同士がコミュニケーションをとります。
対面であれば口頭ですぐに確認がとれるようなことも、リモートワークでは返答が遅れてしまい、スムーズなやり取りが難しいです。
 
また、カメラ越しや文面でのやり取りでは、相手の表情や身振りを感じ取りにくく、認識にズレが生じやすくなります。
以上のような対面とは異なるコミュニケーションの取り方がハラスメントを招いてしまっているのです。
 
また、昼食をともにしたり休憩時間に雑談をしたり、従業員同士でのプライベートでの交流の機会も自然と減ります。
従業員が閉塞感を抱き、ストレスが増えたこともハラスメントの発生につながるでしょう。
 
なお、テレワーク時のコミュニケーションに関しては、厚生労働省がガイドラインにおいて「円滑に業務を遂行する観点からは、働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取組を行うことが望ましい」と定めています。
 
詳しい対策は後述しますが、従業員間での円滑なコミュニケーションは、非常に重要なポイントです。

3.労働時間が長くなりやすい

総務省の調査によると、テレワークを導入している企業の91.3%が、在宅勤務を導入しています。
 
 
在宅勤務は通勤時間がないため「労働時間が減った」と感じる人がいる一方、通常の業務より労働時間が増えたと感じる人もいます。
 
連合(日本労働組合総連合会)の調査によると、テレワークを実施している人のうち、「通常の勤務(出勤しての勤務)よりも長時間労働になることがあった」と答えた人の割合は51.5%です。
 
また、44.9%の人が「勤務時間とそれ以外の時間の区別がつけづらい」ことがテレワークのデメリットだと感じています。
 
このように、仕事とプライベートの区別がつきにくいことで、通常より勤務時間が長くなってしまうことが考えられます。
その結果、「業務終了外に仕事を依頼する」、「深夜にメールの対応を促す」といったハラスメントが発生しやすくなるのです。

4.自宅が仕事場になることによる公私混同

4.自宅が仕事場になることによる公私混同
在宅勤務では、オンラインでのやり取り中にカメラに部屋の一部が写り込んだり生活音が聞こえたりすることがあります。
その際、たとえ悪気がなかったとしても部屋の外観や同居者について発言すると、ハラスメントにつながりかねません。
 
質問をうけた側は不快に感じハラスメントにつながるので注意が必要です。
 

カメラに関する問題

カメラに関する問題
リモハラの代表的な事例に、カメラによる監視があります。
株式会社あしたのチームが実施した調査結果によると、テレワークの際管理職が部下に関して不安を感じていることについて、「仕事をサボっているのではないか」と答えた人の割合は32.7%でした。
 
常に部下に目を配っていられる職場環境とは異なるため、「仕事をサボっているのではないか」という心理が働き、必要以上にカメラオンを強要してしまうのです。
 
行為者は業務中の姿を確認するためにすぎなかったとしても、被害者は不快に感じることでハラスメントにつながります。
 
リモートワークを実施する上で、カメラの取り扱いに関しては論ずべき問題です。
詳しい対策は後述しますが、社内でリモートワークに関する規則を定め、常時カメラオンを行わないよう明記しましょう。
重要な会議や打ち合わせ時ではカメラをオンにし、通常のやり取りはチャットやメールなどで行うようにするとよいでしょう。

リモハラの具体例

リモハラの具体例
次に、リモハラに該当する言動をいくつか紹介します。
 
〈パワハラ型〉
  • 業務の進捗状況を過剰に報告させる
  • 「1分以内に返事をしろ」と返信を強要する
  • 複数が参加しているチャット上で「お前のような無能は役立たずだ」と侮辱する
  • 業務時間外に仕事を指示する
 
〈セクハラ型〉
  • 「僕の好みの服だなぁ」と服装などの容姿について発言する
  • 化粧をするよう命じる
  • カメラで部屋全体や私物を映すよう命じる
  • 業務でのやり取りに使用するチャットツールなどで私的な連絡をとる
 
〈モラハラ型〉
  • カメラを常時オンにさせる
  • 部下からの連絡をわざと無視する
  • 明らかにひとりでは処理できない業務を押し付ける
  • 必要なオンライン会議へわざと出席させない

リモハラが企業に与える影響

次に、リモハラが企業にどのような影響を与えるのかを解説します。

パワハラ防止法に該当し企業名が公表される可能性がある

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)とは、「企業はパワハラ対策を行わなければならない」と定めた法律のことです。
2022年4月から中小企業にも適用されるようになり、すべての企業に対して取り組みが求められるようになりました。
 
リモハラはパワハラ防止法に該当するため、十分な対策を講じていない場合大きなダメージを負うでしょう。
 
具体的には、パワハラ防止法に違反した場合、厚生労働省の判断により助言・指導が行われることがあります。
勧告に従わない場合は社名が公表される可能性があり、企業は社会からの信用を大きく失うでしょう。
 
なお、パワハラ防止法には「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」がパワハラに該当すると記載されています。
 
詳しくは以下のページをご覧ください。
 
 
リモートワーク中で対面していない場合でも、パワハラとして認定される可能性は十分にありますので、法令を遵守するうえでもリモハラ対策は必須です。

従業員のモチベーションが低下する

従業員のモチベーションが低下する
前述した通り、リモハラは周囲の目が届かない環境下のためほかの従業員から発見されにくいです。
そのため、ハラスメント行為が繰り返し行われるようになり、深刻な被害を受けた従業員は仕事へのモチベーションが低下します。
 
上記のような問題が常態化した職場環境では、心理的安全性が低下します。その結果、生産性が低下し企業の売り上げに直結するでしょう。
心理的安全性について、詳しくは以下のページをご覧ください。

人材確保が困難になる

リモハラを受けた被害者は精神的に大きなダメージを受け、場合によってはメンタルヘルスの不調により休職や退職に追い込まれることがあります。
その場合、企業側には多大な金銭的損害が発生するでしょう。
 
 
また「ハラスメントが発生している企業だ」というマイナスのイメージがつくと、採用活動においても影響が出ます。
求職者からも上記のような印象を持たれていまい、望む人材を確保することが困難になるでしょう。

リモハラ防止のための企業内での対策

リモハラ防止のための企業内での対策
リモハラを未然に防ぐため、企業内での対策を紹介します。
従業員を守るだけではなく企業も影響を受けないよう、対策に努めましょう。

リモハラを周知させる

前述したように、リモハラの加害者はハラスメント行為を行っているという自覚がないまま、被害者を傷つけてしまっていることが多いです。
 
リモートワークで従業員間の交流が減ったことにより「コミュニケーションをとろう」という心理からプライベートに関する質問をしてしまうこともあります。
 
対策のため、まずは事業主がハラスメントに関する方針を明文化し、従業員に周知しましょう。
企業のトップが方針を打ち出すことで、企業が一丸となりリモハラ対策に臨めます。
 
周知の際は単に「ハラスメントを行ってはなりません」と謳うのではなく、リモハラが発生する背景や原因についても従業員の理解を得られるよう、注意しましょう。

リモートワークに関する規則を設け普及する

リモートワークに関する規則を設け普及する
前述したように、新型コロナウィルスの流行に伴い急ピッチでテレワークの導入を進めた企業が多いです。
リモートワークに関する明確なルールをつくり、しっかりと周知しましょう。
 
たとえば
  • 必要な会議以外はウェブカメラをオフにし、やり取りはチャットかメールで行う
  • 〇時以降はパソコンを閉じ、業務をおこなわない
  • リモートワーク中の服装を制限しない
 
といったルールを定めると有効でしょう。

従業員に対し教育の場を設ける

企業はリモハラに限らず、すべてのハラスメントに関して研修を実施しなければなりません。
ハラスメント防止の意識を啓発する研修や、管理職向けのマネジメント研修を実施するとよいでしょう
 
また、前述したように、従業員同士のコミュニケーション不足はハラスメントの原因のひとつです。
定期的な面談やミーティングなどを実施し、風通しのよい職場環境を築けるよう努めましょう。
 
その中でも、管理職によるラインケアは社員のメンタルヘルス対策に有効です。
詳しくは以下のページをご覧ください。
 

相談窓口を設置する

事業主は従業員からの相談に対して柔軟に対応するために、必要な体制を整備しなければなりません。
リモハラに対する相談窓口の設置や、担当者を立てるなどの対策を行いましょう。
 
また、ハラスメントの内容によっては、パワハラやセクハラなどほかのハラスメントにつながる恐れがあります。
 
企業側で相談窓口を設置する際はリモハラのみではなく、ほかのさまざまなハラスメントにも対応できるよう一元管理するとよいでしょう。
 
その他のハラスメントについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

万全なハラスメント対策をとりリモートワークを運用しよう

働き方が多様化し身近な存在になったリモートワークですが、対策が不十分のままでいると自分が意図しなくてもリモハラの加害者になってしまう可能性があります。
 
従業員が安心して働ける職場環境を作れるよう、万全の対策を心がけましょう。
 
リモハラを含めた各種ハラスメントを防止することは、働きやすい職場の形成や健康経営にも直結します。

 
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