- 「ウェルビーイングという言葉を最近よく聞くが、どのような意味なのだろう?」
- 「ウェルビーイングとマインドフルネスって何が違うの?」
- 「企業でできるウェルビーイングの取り組みが知りたい・・・」
このようなお悩みをもつ方のために、今回はウェルビーイングについて紹介します。
ウェルビーイングの概要、マインドフルネスとの違い、企業のウェルビーイング経営などについて説明していきます。
目次
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングはWell-beingと書き、それぞれを直訳すると、well(よい)being(状態)となります。
この言葉が初めて登場したのは、1946年の世界保健機関(WHO)設立時です。
WHO憲章において「健康」の定義として、下記の文章が記載されています。
”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
(健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。)(※)
「良い状態」「すべてが満たされた状態」など、なんとも曖昧な定義で具体的な内容がわかりづらいですが、実はこの曖昧で一人ひとりが自由に解釈できる言葉がウェルビーイングなのです。
以上がウェルビーイングの言葉の定義になります。具体的な構成内容、種類などは後述します。
ウェルビーイングが注目される背景
近年、ウェルビーイングへの注目がさらに高まってきています。その要因や背景についてお話します。
1.人々の価値観の変化
大きな理由の1つとして、人々が「モノ」から「心の豊かさ」を求めるようになったという価値観の変化があげられます。
これまでは効率や利益、売り上げなどの経済指標を優先してきた結果、地域格差の拡大や環境の悪化、貧困などのさまざまな問題が発生しました。
これらの問題は今までの「モノ」の価値観では解決できない問題ばかりですので、地球規模で調和やよりよい社会をつくる方向へと人々の価値観が変化してきました。
2.働き方改革の実施
日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に直面しています。また、ブラック企業等の社会問題もあり、働き方の多様化や見直しが進んできました。
働き方改革では、長時間労働の是正、雇用形態にかかわらない公正な待遇、高齢者や女性の就労促進など、働くひとりひとりが多様な働き方を選択でき、より良い将来の展望をもてるようになることが目標です。
誰もが公正に働ける世の中は、ウェルビーイングを目指している状態といってもいいでしょう。
ウェルビーイングを構成する5つの要素
ウェルビーイングの概念として有名なものに「PERMA」という指標があります。
これは「ポジティブ心理学」という自己実現理論を唱え発展させた、マーティン・セリングマンによって考案されたものです。
人は以下の5つの要素を満たしていると幸せであるとするもので、頭文字をとって「PERMA」と呼ばれています。
- Positive Emotion(ポジティブな感情)
- Engagement(何かへの没頭)
- Relationship(人との良い関係)
- Meaning and Purpose(人生の意義や目的)
- Achievement/Accomplish(達成)
この分野の研究はこれまで欧米がリードしてきましたが、近年は日本でも、日本の国民性を考慮に入れたウェルビーイング研究が進められています。
ウェルビーイングとマインドフルネスの違い
近年注目されている言葉に「マインドフルネス」があります。マインドフルネスとウェルビーイングには少し似ている部分もありますが、意味は異なります。
マインドフルネスとは、過去や未来ではなく、今・ここで起こっているものごとを体験し、ただ目の前のことに集中する状態を指します。今、この瞬間の自分の心身・周りの状況に集中し、自分の思考・感情・行動などについて善悪の判断や評価をせず、ありのままを観察する方法の1つです。
一方でウェルビーイングは自分や社会の「よい状態」を指しますから、マインドフルネスはウェルビーイングにするための方法の1つであり、状態そのものを表すウェルビーイングとは似て非なるものです。
マインドフルネスについての詳細は下記参考ページをご覧ください。
ウェルビーイングの種類
ウェルビーイングには「主観的ウェルビーイング」と「客観的ウェルビーイング」の2種類があります。
主観的ウェルビーイングとは、一人ひとりが自分自身で感じる認識や感覚によって見えてくるものです。
たとえば「充実度」「幸せ度」「満足度」などを指し、その人や企業・団体などが「どれだけウェルビーイングであると感じているか」という部分を重要視します。
主観的な幸福の認識方法のため、ウェルビーイングを正確に捉えられるのかという疑問もあがっていますが、幸福とは本来自分自身が認識するものであり、その意味でウェルビーイングにとって欠かせない中心的な視点です。
一方で客観的ウェルビーイングとは、客観的な数値基準で把握できるものです。たとえば「GDP」「健康寿命」などを指し、その人や企業・団体などが「どれだけウェルビーイングであると測られるか」という部分に重きを置きます。国別、都道府県別でのウェルビーイングに関する充実度を比較する形で利用されています。
このように、人々のウェルビーイングを把握する際には、主観・客観の両側面から確認する必要があります。
企業のウェルビーイング経営とは
近年、企業の「ウェルビーイング経営」が注目されています。
ウェルビーイング経営とは、健康経営で目指す生活習慣病やメンタルヘルス不全の予防だけでなく、従業員の仕事へのやる気や組織へのエンゲージメントを高めようとする経営手法です。
従業員にとって、健康で安心して働ける職場があり、やりがいをもって生き生きと働けるのは「幸福な状態」であり、従業員の満足度や企業のエンゲージメント向上につながります。
ウェルビーイング経営の取り組み
さて、実際にウェルビーイング経営を進めていくにはどのような取り組みを行ったらよいのでしょうか。ここからは取り組み事例を紹介します。
1.従業員のヘルスケア支援
従業員のヘルスケア支援はウェルビーイング経営を進めるうえで不可欠です。従業員の健康状態を把握し、必要に応じた支援を実施しましょう。
【具体的な取り組み】
- 健康診断や予防接種の実施
- がん検診などのオプション検診の費用負担
- ストレスチェックの実施
- 産業医との個別面談の設定
- メンタルヘルス不調の従業員に対するサ支援体制の構築 など
2.労働環境の改善
労働環境の改善もウェルビーイング経営には必要です。長時間労働や休日出勤などが常態化している場合は早急に改善しましょう。また、時間や場所を選ばない働き方の促進も大切です。
【具体的な取り組み例】
- 長時間労働や休日出勤の実態把握
- 業務分担の見直しや業務効率化による、長時間労働・休日出勤の改善
- 有給休暇の取得推奨や計画年休などの導入
- 在宅勤務制度やフレックスタイム制の導入 など
3.福利厚生の充実
仕事だけでなく、従業員のプライベートの充実を支援し、より仕事のパフォーマンスを上げてもらうのも大切です。従業員のライフスタイルを支援できるような福利厚生を充実させましょう。
【具体的な取り組み】
- ジムやフィットネスクラブなどの割引券の配布
- 外部講師を招いて社内でヨガ教室を開催
- 旅行時の宿泊料金の補助 など
ウェルビーイングでより良い生活を送りましょう
ウェルビーイングを実現させるために、まずは個人・企業の現状を確認して、課題を認識しましょう。課題を解決するための施策を打つことで、ライフ・ワーク・バランスを向上しウェルビーイングを実現できます。
ウェルビーイングを実現させて、個人でも企業でもより良い生活を送り、幸福度を高めていきましょう。
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