- 「糖尿病ってどのような病気なの?」
- 「どのような原因で糖尿病を発症することが多いの?」
- 「従業員のために、会社でできる糖尿病の予防を行いたい・・・」
このような疑問やお悩みをもつ方のために、今回は糖尿病について解説します。
糖尿病の概要や種類、糖尿病にかかってしまう原因や会社でできる糖尿病の予防法などを紹介します。
目次
糖尿病とは
糖尿病とは、インスリンの作用が十分でないために、ブドウ糖が有効に使われず、血糖値が高くなっている状態です。
インスリンとは
インスリンとは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取り込み、血糖を下げる働きをもつ唯一のホルモンです。
すい臓で作られ、血液によって全身に運ばれます。
血糖・血糖値とは
でんぷん等の糖質は、消化されてブドウ糖となり、血液中から全身の細胞に取り込まれ、主なエネルギー源として利用されます。このような血液中のブドウ糖を「血糖」といい、「血糖値」とは血液中のブドウ糖の量を表しています。
糖尿病を放置すると、全身にさまざまな影響が出るようになり、次のような症状があらわれます。しかし、糖尿病が軽症の場合は、自覚症状がみられず、発見が遅れるケースも多いです。
<代表的な自覚症状>
- 多尿
糖は尿から出るときに、同時に水分も一緒に出すため、尿量が多くなる。
- 口渇、多飲
多尿のために脱水症状となり、のどが渇くため、水分を多くとりたくなる。
- 体重の減少
ブドウ糖によるエネルギーが尿に出て取れないために、身体のたんぱく質や脂肪を利用して、エネルギー源とするため、体重が減少する。
- 疲れやすさ
エネルギーの不足により疲れを感じやすくなる。
これらのような自覚症状を感じた場合は、早めに医療機関を受診するのが大切です。
糖尿病の原因と種類
糖尿病は、その原因によっていくつかの種類に分類されます。今回は大きく4つ紹介します。
1.1型糖尿病
1型糖尿病は、自己免疫疾患の一種で、主に免疫システムが、膵臓内のインスリンを分泌するβ細胞を誤って攻撃・破壊してしまうことが原因で発症します。その結果、体内でインスリンがほとんど、あるいはまったく分泌されなくなります。
1型糖尿病の具体的な発症原因は、完全に解明されているわけではありませんが、遺伝的要因と環境的要因が関与していると考えられています。
- 遺伝的要因:特定の遺伝子が1型糖尿病のリスクに関連しているとされていますが、必ず発症するわけではありません。
- 環境的要因:ウイルス感染や、特定の環境要因が免疫システムの異常な反応を引き起こし、膵臓のβ細胞を破壊する可能性があります。
2.2型糖尿病
2型糖尿病は、主にインスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性と、すい臓から分泌されるインスリンの量が不十分になることが原因で発症します。これは1型糖尿病とは違い、自己免疫の問題ではなく、生活習慣や遺伝的要因が関係していることが多いです。
2型糖尿病は多くの要因が組み合わさることで発症します。とくに下記の要因が大きくかかわっています。
- 生活習慣:肥満や運動不足、高カロリーな食べ物ばかり食べる等、不規則な生活習慣によりインスリンの効果が弱まってしまいます。
- 遺伝的要因:2型糖尿病には遺伝的な素因が強く、家族に糖尿病の人がいる場合、そのリスクが高まります。
- 年齢:年齢が上がるにつれてインスリンの分泌量が減少し、インスリン抵抗性も強くなります。
- その他の要因:ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れなども2型糖尿病のリスクを高める場合があります。
3.特定の原因によるその他の糖尿病
1型糖尿病や2型糖尿病とは異なり、特定の疾患や薬剤、ホルモン異常などが原因で発症する糖尿病を特定の現認によるその他の糖尿病と定義します。
この種類の糖尿病はさまざまな原因で発生します。
- すい臓の疾患:慢性すい炎やすい臓がん、すい臓の手術などにより、β細胞の破壊や、インスリンの分泌低下が起き、糖尿病が生じることがある。
- 内分泌異常:体内で分泌されるさまざまなホルモンなどが過剰に分泌により、糖尿病の発生につながる場合がある。
- 薬剤の影響:他の疾患の治療のために用いる薬剤により、インスリンの分泌が減るなどして、糖尿病を発症する場合がある。
4.妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常のことです。妊娠中はわずかな高血糖でも胎児に影響を与えるため、糖尿病ではなくても「妊娠糖尿病」と呼びます。
妊娠中のホルモンバランスの変化が主な原因で、とくに妊娠中期から後期にかけて母体のインスリンの働きが弱くなるために発症しやすいです。
妊娠糖尿病は、主に妊娠によって引き起こされるホルモンの影響や、インスリン抵抗性の増加によって発症します。
- ホルモンの影響:妊娠中、胎盤から分泌されるホルモンは、胎児の成長を助けるために母体の血糖を高める役割を果たしますが、その副作用としてインスリンの効果を妨げる作用もあります。このため、母体の血糖値が上がりやすくなります。
- インスリン抵抗性の増加: 妊娠中は、母体がインスリンを通常より多く分泌する必要がありますが、インスリンの効きが悪くなる(抵抗性が高まる)ため、インスリンの供給が需要に追いつかなくなり、結果として血糖値が上昇します。
以上のように、糖尿病の原因と種類にはさまざまなものがあります
糖尿病の診断について
糖尿病かどうかは血液検査で確認します。血液検査の結果が以下の条件に当てはまる場合、糖尿病と診断されます。
①早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上 または 75gOGTT2時間値 200mg/dL以上 または 随時血糖値
200mg/dL以上
②HbA1c 6.5%以上
この①と②のいずれかに当てはまる場合、「糖尿病型」と診断され、再検査で同様の結果であった場合に糖尿病と診断されます。
自分が糖尿病かどうか確認するために、該当の血液検査の結果を確認してみるのもよいでしょう。
個人でできる糖尿病の予防策
ここまで、糖尿病について詳細に解説してきました。次は個人でできる糖尿病の予防策についてご紹介します。
1.健康的な食事
食生活の改善は、糖尿病予防の最も重要なステップです。バランスの良い食事を摂ること、食物繊維の摂取、適切なカロリー摂取などを意識して、血糖値をコントロールしましょう。
2.適度な運動
運動はインスリンの感受性を高め、血糖値を下げる効果があります。また、体重管理や心血管系の健康維持にも寄与します。
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、1日30分以上、週に少なくとも5日行うことが推奨されています。
3.体重管理
肥満、とくに内臓脂肪が多いと、インスリン抵抗性が増加し、糖尿病のリスクが高まります。体重管理は糖尿病予防の鍵です。
標準体重(BMI 18.5~24.9)を維持しましょう。
また、ウエストサイズが大きくなると内臓脂肪の蓄積が増え、糖尿病リスクが高まるため、腹囲の管理も重要です。
4.禁煙・適度な飲酒
喫煙は血管にダメージを与え、糖尿病の合併症である心血管疾患のリスクを高めます。糖尿病予防のためには禁煙が推奨されます。
また過度なアルコール摂取は血糖値のコントロールを乱す原因です。適度な飲酒は許容されますが、過度な飲酒は控えましょう。
会社ができる従業員への糖尿病の予防策
最後に、会社が従業員に対してできる糖尿病の予防策を解説します。
1.情報提供
従業員に対して健康セミナーの開催や、健康管理に関する情報を提供することは、病気の予防に対して非常に有効な施策です。
とくに、肥満や高血圧、脂質異常症と糖尿病の関係を解説すると、リスク要因に対する理解が深められます。
2.健康診断再検査受診への声掛け
定期健康診断の結果として、再検査が必要だと判断された従業員がいた場合、積極的に声かけし、受診勧奨するのが大切です。糖尿病は自覚症状がないことも多いですから、会社側から再検査を受けるようどんどん声かけし、早期発見をサポートしましょう。
3.健康促進活動の実施
社内食堂のメニューや自動販売機を、低カロリー・低糖質のものに変更したり、職場での運動プログラムを提供したりするなど、健康促進活動を実施しましょう。
自分1人では始められないという人でも、人と一緒に取り組めばできるという可能性もあります。
4.メンタルヘルス支援
ストレスは血糖値に悪影響を与えるため、会社が従業員にメンタルヘルス支援を行うのも予防として非常に重要です。
メンタルヘルスツールの導入や従業員と上司との個人面談、社内に相談窓口を設置するなど、従業員のストレスに対応できるような環境づくりを行いましょう。
糖尿病は身近なところに潜む誰もがなりうる病気!
糖尿病は遺伝的要因などもありますが、生活習慣の問題によって誰もがなりうる病気です。
日頃の食生活や運動習慣などを見直し、糖尿病のリスクを予防していきましょう。
弊社の健康経営ソリューション「おりこうブログHR」では、健康についての教育に最適な「健康情報動画機能」や生活習慣、ストレスなどについて外部の産業医に相談できる「オンライン産業医機能」など多数の機能を搭載しています。
この機会にぜひ無料体験版や資料のダウンロードにお申し込みください。