- 「従業員の喫煙者数が多く、人数を減らしたい。」
- 「従業員の喫煙率低下のために、何をしたらよいかわからない…。」
- 「喫煙率低下と健康経営優良法人認定はどのようにかかわっているの?」
このようなお悩みをもつ方々のために、今回は「従業員の喫煙率低下のために、企業ができること」について紹介します。
従業員の健康、またそれに伴う企業のリスクや、企業でできる取り組み、健康経営優良法人認定との関係などについて簡単に説明します。
目次
喫煙がもたらす健康リスク
喫煙はがんをはじめ、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患や結核などの呼吸器疾患、2型糖尿病、歯周病など多くの疾患と関係しています。
多くの疾病と関連していることから、喫煙をやめればそれらの死亡リスクを低下できるといわれています。
女性の喫煙による妊娠出産への影響として、早産、低出生体重・胎児発育遅延などが挙げられます。また生殖能力低下、子宮外妊娠、常位胎盤早期剝離、前置胎盤を引き起こす可能性もあるのです。さらに妊娠中においては、妊婦本人の喫煙(能動喫煙)だけでなく受動喫煙であっても、乳幼児突然死症候群の要因になるとされています。
受動喫煙については、下記参考ページをご覧ください。
このように喫煙は、喫煙者本人にもそれ以外にも大きな健康リスクをもたらします。
喫煙がもたらす企業へのリスク
喫煙が健康に大変なリスクをもたらすことがわかりました。では、企業にはどのようなリスクがあるのでしょうか?
従業員の健康の確保ができず、生産性が低下
喫煙を続けている従業員に重大な健康被害が起き、病気にかかることで、従業員の体調不良や欠勤、労働生産性の低下につながります。
また、喫煙を続けると味覚や嗅覚が低下すると言われており、食事の味や匂いがしないことから、食欲不振につながるケースもあります。
法的リスクを犯し、企業イメージが低下
2018年に公布された「改正健康増進法」では、「望まない受動喫煙を防止するため」の考え方が示されています。
- 「望まない受動喫煙をなくす」
- 受動喫煙による健康への影響が大きいと考えられる、子どもや患者等にとくに配慮する
- 施設の種類や場所ごとに対策を実施する
以上3つの考え方です。
これらの考えや健康増進法の規定に違反し、企業として何も対策を行わないままだと以下の罰則が与えられます。
- 喫煙禁止場所において喫煙を行った場合:喫煙者に最大で30万円の過料
- 健康増進法に違反した施設や喫煙室が基準に適合しておらず、勧告・命令・公表をしても改善が見られない場合:管理権限者に最大で50万円の過料
このように行政による勧告・命令・公表が行われれば、当然企業イメージの低下を招きます。
喫煙について対策をしなかったり、禁煙促進を行わなかったりすると、企業にとっても大きなリスクを伴います。
健康経営優良法人認定における”喫煙率低下に向けた取り組み”の項目について
喫煙率低下に向けた取り組みについては設問が2つあります。1つめの質問では取り組みや整備しているルールが多いほど加点対象になり、2つめの質問では現時点での従業員の喫煙率を答える必要があります。
※受動喫煙対策に関しては別の設問があるため、本設問には該当しません。
Q. 従業員の喫煙率を下げるためにどのような取り組み・ルール整備を行っていますか。(いくつでも)
◆喫煙者が現時点でいない場合であっても、その状態を維持するために、いずれかの取り組みを行っていることが認定要件の適合条件です。
◆受動喫煙対策は除きます。
◆教育・研修にはeラーニングやウェビナー等での実施を含みます。
◆啓発書類の配布・イントラ掲示やメルマガ配信等、単なる情報提供は除きます。
- たばこの健康影響についての教育・研修を行っている
- 喫煙率を下げることを目的とした継続的な保健指導または禁煙外来治療の補助を行っている
- 禁煙補助剤の無償支給や購入費支給を行っている
- 禁煙達成者に対する表彰やインセンティブの付与を行っている
- 非喫煙者に対する継続的なインセンティブの付与を行っている(例:手当や有給の特別休暇・休憩時間等)
- 喫煙に関する就業ルールを整備している(例:事業場外も含めた就業時間中禁煙、喫煙可能な時間の制限等)
※事業場内全面禁煙や分煙など場所に応じた禁煙ルールは、受動喫煙対策となるため、該当しません。
- 禁煙・禁煙継続を促す社内イベントを実施している(例:禁煙月間、禁煙デー等)
- 禁煙・禁煙継続を促すアプリを提供している
Q. 現時点での貴法人の従業員の喫煙率(整数)をお答えください。
→現時点での従業員の喫煙率を調査し、記入してください。
喫煙率低下に向けた取り組みの例
1.禁煙外来や禁煙補助薬の費用補助
喫煙している従業員の中には「禁煙を始めたいが、通院費用が高くて戸惑っている」などの理由から通院を渋っている人もいるかもしれません。
健康保険が適用される禁煙治療では、平均で約13,000~20,000円かかるとされています。
たばこを普段から1日1箱ペースで吸っている人からしたらたばこ代よりも安いですが、量を多く吸わない喫煙者からしたら治療費用も高く感じるのです。
そのような「禁煙を始めるきっかけ」の1つとして、企業から禁煙外来や禁煙補助薬の費用補助を行うと、禁煙へのハードルも少し低くなる可能性があります。
2.禁煙についての保健指導の手配
禁煙支援を継続的に進めていくために、保健師や産業医による保健指導の手配を行うのも効果的です。
喫煙者向けのカウンセリングや指導などを行います。
企業が率先して支援をすることで、喫煙率の低下につながります。
3.禁煙セミナーの実施
禁煙セミナーを実施し、その中で禁煙の効果、禁煙に必要な知識、禁煙の方法などの情報提供を行います。
また、たばこがもたらす健康リスクについても伝えることで、禁煙に対し必要感を与えられます。
4.禁煙成功者、非喫煙者に対してのインセンティブの付与
喫煙者が禁煙に成功した場合や、普段から喫煙をしていない非喫煙者に対して、特別休暇や手当などのインセンティブを付与するのも良いでしょう。
とくに喫煙者と非喫煙者で違うのは「たばこ休憩の時間」だと考えられます。
「なぜ喫煙者にはたばこ休憩があるんだ!」と思っている非喫煙者も多いでしょうから、休憩時間の設定をするのも有効です。
小さな取り組みから始め、喫煙率を少しずつ低下させましょう。
喫煙率の低下といっても、喫煙者が急にたばこを辞めるのはなかなか難しいです。しかし、喫煙は従業員の健康リスクにかかわる重要な問題ですから、小さな取り組みから始め、喫煙率を少しずつでも低下できるような取り組みを行っていきましょう。非喫煙者への配慮も忘れないでくださいね。
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