- 「メンタルヘルス対策なんて大企業がやることだから、ウチみたいな中小企業には関係ないんじゃないの?」
- 「メンタルヘルス対策のやり方がよくわからない…」
- 「自分はメンタルヘルス対策の推進が必要だと思っているけれど、上層部に必要性をなかなか理解してもらえない…」
こんな疑問やお悩みはありませんか?
メンタルヘルス対策に取り組んでいる中小企業はまだまだ少なく、「大企業がやるもの」とのイメージも強いです。
ですが、メンタルヘルス対策は会社の生産性や事故の発生率にも大きく影響するため、中小企業こそ実は取り組むメリットが大きいのです。
中小企業がメンタルヘルス対策を始める必要性と、具体的な施策、成功させるポイントについて初心者向けに紹介します。
目次
[非表示]
- 中小企業のメンタルヘルス対策の必要性とメリットとは?
- 中小企業のほうが、メンタルヘルス不調で従業員が休職・退職してしまったときのダメージが大きい
- 人材獲得が困難な中小企業のほうが、メンタルヘルス不調で次々と従業員が休職・退職する悪循環が起きやすい
- 休職・退職しなくても、メンタルヘルス不調を抱えて生産性が落ちている従業員がいるときのダメージも、大企業より中小企業のほうが大きい
- 人々の生活や命に密着しているエッセンシャルワークは中小企業が担っているので、メンタルヘルス不調によるミス・事故が起きたときの被害も大きくなる
- 少子化の進行で今後、人手不足がますます深刻化するため、優秀な従業員がメンタルヘルス不調に陥ると大打撃を受ける
- パワハラ防止法違反や労災認定による多額の損害賠償のリスクが上昇する
- 中小企業のメンタルヘルス対策は、三次予防(治療と職場復帰、再発予防)が特に弱い
- 中小企業のメンタルヘルス対策の具体的な施策とは?
- 施策1.ストレスチェックの実施と、集団分析と職場環境の改善
- 施策2.メンタルヘルスケアや健康経営関係の本・書籍を読む
- 施策3.メンタルヘルスケア研修のEラーニングの活用
- 施策4.従業員の裁量権を拡大させて、業務量は減らさずにストレスを軽減する
- 施策5.多忙なリーダーがいる部署にはサブリーダーを設けて、確認や相談の作業を円滑にする
- 施策6.職場の心理的安全性の強化
- 中小企業であってもメンタルヘルス対策は今後必須になるので、できるだけ早めに始めたほうがよい
- 健康経営に役立つ資料を無料でダウンロードできます!
中小企業のメンタルヘルス対策の必要性とメリットとは?
まずは中小企業がメンタルヘルス対策を実施する必要性やメリットを紹介します。
「中小企業にメンタルヘルス対策なんて本当に必要なの?」と疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
「中小企業にメンタルヘルス対策なんて本当に必要なの?」と疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
中小企業のほうが、メンタルヘルス不調で従業員が休職・退職してしまったときのダメージが大きい
メンタルヘルス不調で1人の従業員が休職・退職したときのダメージは、中小企業の場合は大企業の数十倍~数百倍にもなる
まず確認しておきたいのは、従業員が休職・退職してしまったときの損失は、大企業よりも中小企業のほうが、圧倒的に大きいという事実です。
従業員1万人の大企業において、メンタルヘルス不調で休職・退職してしまった従業員が1人出たとしても、全従業員のうちの0.1%にすぎません。
大企業は人材も豊富ですし、欠員をカバーする際のフローなども整備されていることが多いので、大きな損失にはならないのです。
また、大企業のほうが求人に応募する人も多くなりますから、抜けた穴を埋める人材も迅速に獲得でき、ダメージからの回復も早いです。
しかし、中小企業ではまったく事情が異なります。
たとえば、従業員10人の小企業において、メンタルヘルス負傷で従業員が1人休職・退職してしまうと、実に全従業員の10%ものマンパワーが瞬時に喪失します。
従業員1万人の大企業において、メンタルヘルス不調で休職・退職してしまった従業員が1人出たとしても、全従業員のうちの0.1%にすぎません。
大企業は人材も豊富ですし、欠員をカバーする際のフローなども整備されていることが多いので、大きな損失にはならないのです。
また、大企業のほうが求人に応募する人も多くなりますから、抜けた穴を埋める人材も迅速に獲得でき、ダメージからの回復も早いです。
しかし、中小企業ではまったく事情が異なります。
たとえば、従業員10人の小企業において、メンタルヘルス負傷で従業員が1人休職・退職してしまうと、実に全従業員の10%ものマンパワーが瞬時に喪失します。
中小企業は従業員1人あたりの業務の範囲が広く、求人募集にもなかなか応募が集まらないので、休職・退職のダメージが深刻で長引きやすい
退職とちがい、休職は一時的なものではありますが、ケガや骨折などと比較してメンタルヘルス不調による休職はかなり長引く傾向にあります。
心の健康問題で1ヶ月以上病欠した労働者の平均休業日数は、約5ヶ月にもなります。
心の健康問題で1ヶ月以上病欠した労働者の平均休業日数は、約5ヶ月にもなります。
さらに、療養前のパフォーマンス低下や職場復帰後のリハビリ期を考えると、休業期間は5ヶ月だとしても実質的には8ヶ月ぶんの労働損失が発生するのです。
参考書籍:『4訂版 精神科産業医が明かす 職場のメンタルヘルスの正しい知識』
中小企業は人員が少ないですから、休職・退職した従業員の仕事をカバーする他の従業員の負担増加は、非常に重いものになります。
また、中小企業の従業員ほど業務の範囲が広く、複数の業務を兼務していることが多いですから、1人の従業員が休職・退職しただけで多くの業務が阻害されるでしょう。
さらに知名度が低い中小企業は採用活動でも苦戦しますから、穴を埋める人材がなかなか確保できず、ダメージを長期間引きずることになってしまいます。
このように、従業員が休職・退職したときのダメージは、大企業よりも中小企業のほうがはるかに深刻なので、メンタルヘルス不調者を出さないようにすることが会社全体の生産性に直結します。
このように、従業員が休職・退職したときのダメージは、大企業よりも中小企業のほうがはるかに深刻なので、メンタルヘルス不調者を出さないようにすることが会社全体の生産性に直結します。
人材獲得が困難な中小企業のほうが、メンタルヘルス不調で次々と従業員が休職・退職する悪循環が起きやすい
中小企業はメンタルヘルス不調者の休職・退職ラッシュのリスクが高い
先述したように、大企業よりも中小企業のほうが従業員の休職・退職のダメージは大きく、長引く傾向にあります。
そのため、メンタルヘルス不調で休職・退職する従業員が1人発生する→その従業員の仕事の穴を埋めるため、他の従業員の負担が増加する→労働の負荷が増えたことで、さらにメンタルヘルス不調で休職・退職する従業員が発生する…という悪循環が発生しやすくなります。
採用募集を出してもすぐに応募を獲得することが難しい中小企業では、新たな人材で休職・退職の穴を埋めることもままなりません。
そのため、メンタルヘルス不調で休職・退職する従業員が1人発生する→その従業員の仕事の穴を埋めるため、他の従業員の負担が増加する→労働の負荷が増えたことで、さらにメンタルヘルス不調で休職・退職する従業員が発生する…という悪循環が発生しやすくなります。
採用募集を出してもすぐに応募を獲得することが難しい中小企業では、新たな人材で休職・退職の穴を埋めることもままなりません。
うつ病の連鎖で支社が閉鎖に追いこまれた事例も存在するので、中小企業で休職・退職ラッシュが起きた場合は事業の存続自体が危ぶまれる
実際、休職・退職の負のループが続いて人材が払底した結果、事業所・営業所が閉鎖に追いこまれたケースも存在します。
『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』( 著:川上憲人)では、以下のような事例が紹介されています。
【事例:うつ病での休業が相次いだ支社】
ある会社の支社では、合計10名の従業員が働いていた。ある時、支社長が長時間労働でうつ病になって倒れ、次長が支社長分も含めて2人分働いたところ、過労でうつ病になって休業してしまった。さらにその下の課長が、支社長分、次長分も含めて3人分の仕事を担当して働いたところ、過労でうつ病になり出社できなくなってしまった。この支社の業務は停滞し、支社を閉鎖するという結果になってしまった。
出典:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』
以上の事例は支社でしたが、中小企業の場合は経営者や幹部が仕事をカバーするために長時間労働を余儀なくされた結果、メンタルヘルス不調で倒れてしまい、会社の事業自体が存続できなくなる事態にもなりかねません。
『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』( 著:川上憲人)では、以下のような事例が紹介されています。
【事例:うつ病での休業が相次いだ支社】
ある会社の支社では、合計10名の従業員が働いていた。ある時、支社長が長時間労働でうつ病になって倒れ、次長が支社長分も含めて2人分働いたところ、過労でうつ病になって休業してしまった。さらにその下の課長が、支社長分、次長分も含めて3人分の仕事を担当して働いたところ、過労でうつ病になり出社できなくなってしまった。この支社の業務は停滞し、支社を閉鎖するという結果になってしまった。
出典:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』
以上の事例は支社でしたが、中小企業の場合は経営者や幹部が仕事をカバーするために長時間労働を余儀なくされた結果、メンタルヘルス不調で倒れてしまい、会社の事業自体が存続できなくなる事態にもなりかねません。
休職・退職しなくても、メンタルヘルス不調を抱えて生産性が落ちている従業員がいるときのダメージも、大企業より中小企業のほうが大きい
また、仮にメンタルヘルス不調を抱えた従業員が休職・退職に至らなくても、問題は深刻です。
メンタルヘルス不調に陥った従業員は仕事に集中できず、生産性が低下してしまうからです。
このように何らかの疾病や不調を抱えながら従業員が出勤し、生産性が低下している状態のことをプレゼンティーズムと呼びます。
メンタルヘルス不調に陥った従業員は仕事に集中できず、生産性が低下してしまうからです。
このように何らかの疾病や不調を抱えながら従業員が出勤し、生産性が低下している状態のことをプレゼンティーズムと呼びます。
全体の従業員数が少ないぶん、1人の従業員がプレゼンティーズムに陥ることによる生産性低下は、中小企業のほうが大きくなります。
人々の生活や命に密着しているエッセンシャルワークは中小企業が担っているので、メンタルヘルス不調によるミス・事故が起きたときの被害も大きくなる
メンタルヘルス不調や強いストレスを抱える従業員が発生すると、当然業務上のミスや事故が起きる確率がアップします。
ストレスがある状態だと仕事上の事故が約2倍発生しやすくなり、さらに上司・同僚からのサポートが少ないと通常の約2倍~3倍の確率で仕事上の事故が起きてしまいます。
そして人々の生活に不可欠なエッセンシャルワークは、中小企業や中小規模の組織によって、その多くが担われています。
- 病院などの医療施設
- 介護サービス
- 保育園・幼稚園・学校などの教育機関
- 運輸・物流サービス
- 電気・ガス・水道などの工事・メンテナンス、ゴミ収集業などの生活インフラ
- スーパーなどの小売店
これらの業種で深刻なトラブル・事故が発生すると、人々の生活が著しく阻害され、最悪の場合は健康・命が関わる事態になります。
また、飲食店や食品製造業も中小企業が多いですが、これらの業種も食中毒や異物混入などの事故が起こると深刻な被害・損害が発生するでしょう。
建築・土木の建設現場や製造業の工場も、ひとたび甚大なトラブル・事故が起きると、人命が失われるリスクがありますが、これらの現場も多くの中小企業によって支えられています。
つまり、従業員のメンタルヘルス不調によるミス・トラブル・事故の発生は、エッセンシャルワークや現場作業が多い中小企業ほど人々の健康と命に直結しやすいのです。
これが、メンタルヘルス対策を中小企業でも怠ってはいけない理由のひとつです。
少子化の進行で今後、人手不足がますます深刻化するため、優秀な従業員がメンタルヘルス不調に陥ると大打撃を受ける
日本の少子化は急速に進行し、働き手となる生産年齢人口は20年で1000万人消失した
現在でも多くの中小企業が人手不足で悩まされていますが、日本の少子化は急速に進行していますから、人材の確保は今後さらに困難になっていきます。
日本の生産年齢人口(15歳~64 歳の人口)は1995年には約8,700万人でしたが、その後減少を続け、2015年には約7,700万人にまで激減しています。
出典:『第2節 日本の人口動態と労働者構成の変化』(中小企業庁)
つまり、20年で生産年齢人口が約1,000万人も減少したわけです。神奈川県の人口が約900万人、東京都の人口が約1,400万人ということを考えると、すでに莫大な数の働き手が消失していることをご理解いただけると思います。
日本の生産年齢人口(15歳~64 歳の人口)は1995年には約8,700万人でしたが、その後減少を続け、2015年には約7,700万人にまで激減しています。
出典:『第2節 日本の人口動態と労働者構成の変化』(中小企業庁)
つまり、20年で生産年齢人口が約1,000万人も減少したわけです。神奈川県の人口が約900万人、東京都の人口が約1,400万人ということを考えると、すでに莫大な数の働き手が消失していることをご理解いただけると思います。
2030年には日本全国で644万人(千葉県全体の人口に匹敵)の労働者が不足するので、採用活動で劣位に置かれる中小企業は現在以上の人手不足に陥る
さらに、パーソル総合研究所の調査によれば、2030年には日本全国で644万人の労働者が不足するとされています。
出典:『労働市場の未来推計 2030』(パーソル総合研究所)
これは千葉県全体の人口に匹敵する数字です。
求職者は安定性を重視して大企業を選ぶ傾向が強いですから、採用活動の面で劣位に置かれる中小企業は人材確保が一層ままならなくなっていくでしょう。
「従業員のメンタルヘルスなんて気にする必要はなく、もし発生したら新しい人を雇えばいい」という考えは、将来的には通用しなくなります。
出典:『労働市場の未来推計 2030』(パーソル総合研究所)
これは千葉県全体の人口に匹敵する数字です。
求職者は安定性を重視して大企業を選ぶ傾向が強いですから、採用活動の面で劣位に置かれる中小企業は人材確保が一層ままならなくなっていくでしょう。
「従業員のメンタルヘルスなんて気にする必要はなく、もし発生したら新しい人を雇えばいい」という考えは、将来的には通用しなくなります。
パワハラ防止法違反や労災認定による多額の損害賠償のリスクが上昇する
パワハラ防止法違反を犯して状態を放置した場合、最悪の場合は社名やパワハラの事実を公表されるリスクがある
メンタルヘルス対策を実施しないままだと、法的なリスクが上昇してしまいます。
現在、職場のハラスメント行為に対して防止措置を講じることを企業に義務付ける、パワハラ防止法が施行されています。
現在、職場のハラスメント行為に対して防止措置を講じることを企業に義務付ける、パワハラ防止法が施行されています。
2020年より大企業を対象に施行されていましたが、2022年4月からは中小企業にまで適用範囲が拡大されました。
パワハラ防止法自体に罰則はありませんが、違反が発覚して厚生労働省から勧告を受けても改善が見られなかった場合、社名やパワハラの事実を公表される可能性があります。
ただでさえ人材獲得が困難な中小企業にとって、「あの会社はパワハラを放置していた」との悪評が広がると、採用活動に著しい支障をきたします。
少子化の余波も受け、人手不足倒産のリスクが大きく高まるでしょう。
参考ページ:人手不足倒産とは? なぜ起きるのかの原因と防止する方法・対策を解説
なお、パワハラ防止法やパワハラ対策に関しては、下記ページにて詳しく解説しているのでこちらもご覧ください。
長時間労働やパワハラが原因で従業員がメンタルヘルス不調に陥り、労災認定がなされた場合、巨額の賠償金が科されるリスクがある
また、長時間労働やパワハラなどが原因で従業員がメンタルヘルス不調を起こした場合は、会社側が多額の賠償金を支払わなければならないリスクが生じます。
メンタルヘルス不調での休職後に従業員を解雇や自然退職扱いとし、その後に労災認定がされて解雇や自然退職が無効になると、「雇用契約は継続しており、会社が賃金を支払う義務があったにもかかわらず、賃金を支払わなかった」と見なされるため、賠償金が莫大になるケースがあるからです。
過去には6000万円以上の賠償額が命じられた事例も存在します。
参考書籍:『ケースでわかる 実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル』
以上のように、中小企業であってもメンタルヘルスケアやパワハラ対策をせずに放置しておくと、法的・金銭的に高いリスクを抱えてしまうのです。
メンタルヘルス不調での休職後に従業員を解雇や自然退職扱いとし、その後に労災認定がされて解雇や自然退職が無効になると、「雇用契約は継続しており、会社が賃金を支払う義務があったにもかかわらず、賃金を支払わなかった」と見なされるため、賠償金が莫大になるケースがあるからです。
過去には6000万円以上の賠償額が命じられた事例も存在します。
参考書籍:『ケースでわかる 実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル』
以上のように、中小企業であってもメンタルヘルスケアやパワハラ対策をせずに放置しておくと、法的・金銭的に高いリスクを抱えてしまうのです。
中小企業のメンタルヘルス対策は、三次予防(治療と職場復帰、再発予防)が特に弱い
先述しましたが、大企業と比較して、メンタルヘルス対策を実施している中小企業は低い割合にとどまります。
そのなかでも、中小企業での実施率が低いのが三次予防です。
三次予防とは、メンタルヘルス対策を3つのプロセスに分類したときの最後のプロセスで、主にメンタルヘルス不調者の治療と職場復帰などの活動を指します。
- 一次予防…メンタルヘルス不調の予防と健康増進。主に情報提供や研修、職場環境の改善が主軸になる。
- 二次予防…メンタルヘルス不調者の早期発見と対処。ストレスチェックやラインケア、相談窓口での対処が主軸になる。
- 三次予防…メンタル不調者の治療と職場復帰・再発予防。主に休職中の従業員へのフォローや、職場復帰への支援、再発防止の活動が主軸になる。
中小企業においては、人事部そのものが存在しないことも多く、人事労務担当者も他の業務と兼任しているケースも少なくありません。
また、従業員が50人より少ない事業所では産業医がいないことも多いので、メンタルヘルス不調に陥った従業員が発生しても、対応できる者が社内に誰もいないこともままあります。
さらに中小企業は大企業と比較して、病休の休職期間が短く設定されていることも多いため、職場復帰はより困難です。
そのため、メンタルヘルス不調者が休職しても適切な対処ができず、そのまま退職に至ってしまう例が散見されます。
会社全体の人数が少ない中小企業であってもメンタルヘルス不調者の発生は常に起こりえますので、最低限の知識は社内で共有しておくことが重要です。
また、従業員が50人より少ない事業所では産業医がいないことも多いので、メンタルヘルス不調に陥った従業員が発生しても、対応できる者が社内に誰もいないこともままあります。
さらに中小企業は大企業と比較して、病休の休職期間が短く設定されていることも多いため、職場復帰はより困難です。
そのため、メンタルヘルス不調者が休職しても適切な対処ができず、そのまま退職に至ってしまう例が散見されます。
会社全体の人数が少ない中小企業であってもメンタルヘルス不調者の発生は常に起こりえますので、最低限の知識は社内で共有しておくことが重要です。
中小企業のメンタルヘルス対策の具体的な施策とは?
「中小企業にもメンタルヘルス対策が必要なのは理解できたが、具体的に何をすればいいのかわからない…」という方も多いと思います。
そこで、中小企業でも比較的に実施しやすいメンタルヘルス対策を紹介しますので、関心のある方はぜひご覧ください。
そこで、中小企業でも比較的に実施しやすいメンタルヘルス対策を紹介しますので、関心のある方はぜひご覧ください。
施策1.ストレスチェックの実施と、集団分析と職場環境の改善
自社のストレス状況を客観的に理解できるストレスチェックは、実施義務がない中小企業でもできるだけ活用すべき
会社のメンタルヘルス対策を進めるうえで最初にすべきなのが、職場にどれだけストレスがかかっているかを現状把握することです。
その点でやはり効果的なのがストレスチェックです。
ストレスチェックは従業員50名以上の事業所では実施が義務化されていますが、50名未満の事業所では努力義務になっているため、実施していない企業も多いと思います。
しかし、従業員と会社が自身のストレス状況を客観的に把握できるストレスチェックは、メンタルヘルス対策のうえで重要な役割を果たすので、実施義務がない事業所でもぜひ導入すべきです。
その点でやはり効果的なのがストレスチェックです。
ストレスチェックは従業員50名以上の事業所では実施が義務化されていますが、50名未満の事業所では努力義務になっているため、実施していない企業も多いと思います。
しかし、従業員と会社が自身のストレス状況を客観的に把握できるストレスチェックは、メンタルヘルス対策のうえで重要な役割を果たすので、実施義務がない事業所でもぜひ導入すべきです。
ストレスチェックはただ実施するだけでなく、集団分析→職場改善につなげることが重要
また、「ストレスチェックをしているが集団分析や職場改善をしておらず、結果を活用できていない」という会社も多いです。
厚生労働省の調査によれば、集団分析を活用した職場改善の実施率は全事業所の約37%にとどまっています。
ストレスチェックは実施するだけでは不十分で、職場改善までしないと本来の効果は発揮されません。
ぜひ、産業医への相談や以下の書籍を参考にするなどして、ストレスチェックの結果を活用して、職場のストレス環境を改善してみてください。
参考書籍:『心療内科産業医と取り組むストレスチェック集団分析』
なお、弊社の健康経営支援ツール・おりこうブログHRにもストレスチェック機能が搭載されています。
メンタルヘルス対策や健康経営を実施したい方は、ぜひ以下から詳細をご覧ください。
・健康経営支援ツール・おりこうブログHR
厚生労働省の調査によれば、集団分析を活用した職場改善の実施率は全事業所の約37%にとどまっています。
ストレスチェックは実施するだけでは不十分で、職場改善までしないと本来の効果は発揮されません。
ぜひ、産業医への相談や以下の書籍を参考にするなどして、ストレスチェックの結果を活用して、職場のストレス環境を改善してみてください。
参考書籍:『心療内科産業医と取り組むストレスチェック集団分析』
なお、弊社の健康経営支援ツール・おりこうブログHRにもストレスチェック機能が搭載されています。
メンタルヘルス対策や健康経営を実施したい方は、ぜひ以下から詳細をご覧ください。
・健康経営支援ツール・おりこうブログHR
施策2.メンタルヘルスケアや健康経営関係の本・書籍を読む
先述しましたが、中小企業では人事部が存在せず、人事担当者も他の仕事を兼務していることが多いため、メンタルヘルスケアやメンタルヘルス不調者が出たときの対応について、十分に知識がないケースが少なくありません。
そんなときに最も安価にできる対策が、職場のメンタルヘルス関係の書籍を購入し、読むことです。
もちろん、Webから情報を収集してもよいのですが、初心者が体系的にメンタルヘルスの知識をつけたいときは本のほうが優れています。
また、購入した書籍を職場に設置しておけば、自分以外の担当者も活用しやすいメリットもあります。
【職場のメンタルヘルスケア対策の本で紹介されている主な内容】
- ストレスチェックを職場環境改善に活かす方法
- 職場環境を改善して、ストレスを軽減する方法
- メンタルヘルス不調の可能性がある従業員との面談のやり方
- メンタルヘルス不調で休職した従業員へのフォローの方法
- メンタルヘルス不調で休職した従業員がスムーズに職場復帰できるための方法
- 休職・退職した従業員が職場復帰する際の各種書類のフォーマット…など
以上のような内容について、本を読むだけで最低限の知識を得られますから、中小企業の人事労務担当者にとっては非常に役立つでしょう。
施策3.メンタルヘルスケア研修のEラーニングの活用
人事労務担当者だけではメンタルヘルス対策は不可能なので、従業員全体へのメンタルヘルス研修は必須
職場でのメンタルヘルスケアを実施するには、人事労務担当者の作業だけでは不十分であり、従業員自身が自分のメンタルヘルスをケアし、上司・管理職が部下のメンタルヘルスをケアできる体制を構築しなければなりません。
つまり、セルフケアとラインケアの実施です。
・セルフケア…従業員本人が自分のストレスに気づき、対処を実行すること。ストレスチェックなどもセルフケアに該当する。
・ラインケア…職場における指揮命令系統のライン上にいる管理監督者(上司)が、部下・従業員の心の健康をケアして職場環境を改善する取り組みのこと。
参考ページ:ラインケアとは? 意味と必要性、職場でのメンタルヘルス対策を解説
つまり、セルフケアとラインケアの実施です。
・セルフケア…従業員本人が自分のストレスに気づき、対処を実行すること。ストレスチェックなどもセルフケアに該当する。
・ラインケア…職場における指揮命令系統のライン上にいる管理監督者(上司)が、部下・従業員の心の健康をケアして職場環境を改善する取り組みのこと。
参考ページ:ラインケアとは? 意味と必要性、職場でのメンタルヘルス対策を解説
セルフケア・ラインケアの研修を従業員に実施するのが効果的ですが、メンタルヘルスのプロではない人事労務担当者が講師を担当するのは荷が重いですし、対面での研修だと従業員を同じ時間帯に集めないといけない点もネックとなります。
Eラーニングを活用すれば、安価にメンタルヘルスケア研修を社員全体に向けて実施できる
そこで役に立つのがEラーニングです。
Eラーニングを活用すれば、産業医などのプロフェッショナルから安価に研修を受けられます。
また、研修動画は自由な時間に視聴できますので、各従業員の空いた時間に研修を受講できるのも大きなメリットです。
メンタルヘルスケアを促進したい中小企業の方は、ぜひEラーニングの活用を検討してみてください。
※なお、弊社の健康経営支援ソリューション・おりこうブログHRでもEラーニングでメンタルヘルスケアや健康経営に関するコンテンツを視聴可能です。ご興味のある方はぜひご覧ください。
・健康経営支援ソリューション・おりこうブログHR
Eラーニングを活用すれば、産業医などのプロフェッショナルから安価に研修を受けられます。
また、研修動画は自由な時間に視聴できますので、各従業員の空いた時間に研修を受講できるのも大きなメリットです。
メンタルヘルスケアを促進したい中小企業の方は、ぜひEラーニングの活用を検討してみてください。
※なお、弊社の健康経営支援ソリューション・おりこうブログHRでもEラーニングでメンタルヘルスケアや健康経営に関するコンテンツを視聴可能です。ご興味のある方はぜひご覧ください。
・健康経営支援ソリューション・おりこうブログHR
施策4.従業員の裁量権を拡大させて、業務量は減らさずにストレスを軽減する
労働時間を減らす以外にも、従業員のストレスを減らす方法は存在する
中小企業では、「職場でのストレスを解消するといっても、ウチはそんなに余裕がないから、仕事の量を大きく減らすことはできないよ…」とお悩みの方も多いと思います。
もちろん、労働時間が多くなればなるほど従業員が感じるストレスは増加しますから、残業や休日出勤の抑制などの労働時間を減らす対策は極めて有効です。
しかし、これは「労働時間を減らさなければ、職場でのストレスを軽減できない」ということではありません。
すなわち、これまでと同じ労働時間であっても、従業員のストレスを軽減する方法は存在するのです。
もちろん、労働時間が多くなればなるほど従業員が感じるストレスは増加しますから、残業や休日出勤の抑制などの労働時間を減らす対策は極めて有効です。
しかし、これは「労働時間を減らさなければ、職場でのストレスを軽減できない」ということではありません。
すなわち、これまでと同じ労働時間であっても、従業員のストレスを軽減する方法は存在するのです。
労働量が多く仕事の裁量権が小さい状態だとストレスは一番大きくなり、うつ病になる可能性が1.4倍、心臓病になる確率が2倍にまで増加する
そのなかでも有効なのが、従業員の裁量権の拡大です。
裁量権とは、従業員が自分のペースや判断で仕事を進める権利のことです。
また、自分の創意工夫やアイディアを業務に反映させられるか否かも、裁量権に大きく関係します。
職業性ストレス研究の第一人者である、スウェーデンの心理学者カラセックの調査によれば、仕事上のストレスは労働量と裁量権の2種類の要素によって決定されます。
もっともストレスが大きくなるのが、労働量が多く裁量権が小さい職場です。
忙しく仕事に追い立てられ、しかも自分の考えはほとんど業務に反映できず、単に上から言われたことを実行するだけの状態ですから、徒労感が強くストレスも大きくなるのは言うまでもないでしょう。
実際、仕事の量・速度・質などの「仕事の要求度」が高く、なおかつ「仕事のコントロール度(その人が仕事を進めるやり方やスピードを決められる裁量の範囲)」が低い状態だと、うつ病になる可能性が1.4倍、心臓病になる確率も2倍まで増加するとのことです。
さらに職場の上司や同僚からのサポートが少なく、3重苦になった場合は心臓病の危険性が2倍~7倍程度にまで跳ね上がります。
参考書籍:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』
裁量権とは、従業員が自分のペースや判断で仕事を進める権利のことです。
また、自分の創意工夫やアイディアを業務に反映させられるか否かも、裁量権に大きく関係します。
職業性ストレス研究の第一人者である、スウェーデンの心理学者カラセックの調査によれば、仕事上のストレスは労働量と裁量権の2種類の要素によって決定されます。
もっともストレスが大きくなるのが、労働量が多く裁量権が小さい職場です。
忙しく仕事に追い立てられ、しかも自分の考えはほとんど業務に反映できず、単に上から言われたことを実行するだけの状態ですから、徒労感が強くストレスも大きくなるのは言うまでもないでしょう。
実際、仕事の量・速度・質などの「仕事の要求度」が高く、なおかつ「仕事のコントロール度(その人が仕事を進めるやり方やスピードを決められる裁量の範囲)」が低い状態だと、うつ病になる可能性が1.4倍、心臓病になる確率も2倍まで増加するとのことです。
さらに職場の上司や同僚からのサポートが少なく、3重苦になった場合は心臓病の危険性が2倍~7倍程度にまで跳ね上がります。
参考書籍:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』
従業員の裁量権を拡大させることで、仕事量を減らさなくても職場のストレスを軽くできる
そして、たとえ労働量が多くても、裁量権が大きい職場だとストレスは大幅に軽減されるのです。
実際、筑波研究学園都市の研究系と事務系の職員のストレスを比較した調査では、研究系の職員のほうが仕事の量が多く、仕事の難易度が高いと感じていたにもかかわらず、事務系の職員よりもストレスが少なく心身が健康に保たれていました。
つまり、従業員に裁量権と達成感を適切に与えることができれば、仕事の量を減らさずにストレスを緩和できる可能性があるということです。
「仕事量を減らしたり、新しい人材を増やしたりするのは難しい…」という中小企業の方は、ぜひ従業員の裁量権を拡大させてストレスの緩和ができないか検討してみてください。
【裁量権を拡大させる施策】
- 仕事の進め方やスケジューリングの自由度をアップさせる
- 「○○の場合は、■■さんの判断で進めてほしい」などの自由度を与える行動ルールを設定し、上司の確認・判断待ちで仕事がストップする事態を解消する
- 従業員の意見を取り入れ、それを業務に反映させる仕組みを作る
- フリーアドレス制やテレワーク、フレックスタイム制など、働く場所や時間の自由度をアップさせる
- 多忙なリーダーがいる職場ではサブリーダーを設置する(後述)
施策5.多忙なリーダーがいる部署にはサブリーダーを設けて、確認や相談の作業を円滑にする
上司への確認事項や相談すべき内容が多い割に、上司が多忙で時間を取れない職場は従業員のメンタルヘルスが悪化する傾向にあります。
上司に確認・相談しないと自分の仕事がストップしてしまうのでストレスもたまりますし、仕事が遅延するので生産性自体も低下するでしょう。
そんな職場で有効な施策が、権限と技術を持つサブリーダーを職場に設置することです。
多忙なリーダーに代わって、サブリーダーが確認・相談の作業を担当してくれるので仕事がスムーズに進むようになり、職場全体のストレスが低下し、生産性も向上します。
これも裁量権を拡大させることが従業員のストレスを緩和する好例です。
参考書籍:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』
上司に確認・相談しないと自分の仕事がストップしてしまうのでストレスもたまりますし、仕事が遅延するので生産性自体も低下するでしょう。
そんな職場で有効な施策が、権限と技術を持つサブリーダーを職場に設置することです。
多忙なリーダーに代わって、サブリーダーが確認・相談の作業を担当してくれるので仕事がスムーズに進むようになり、職場全体のストレスが低下し、生産性も向上します。
これも裁量権を拡大させることが従業員のストレスを緩和する好例です。
参考書籍:『基礎からはじめる 職場のメンタルヘルス 改訂版 事例で学ぶ考え方と実践ポイント』
施策6.職場の心理的安全性の強化
また、職場の心理的安全性を高めるのもメンタルヘルス対策としては有効です。
心理的安全性とは、組織のなかで不安を感じずに、自分の意見や気持ちを積極的に発言できる状態のことです。
Googleが2015年に「チームの生産性・パフォーマンスを高める最も重要な要素は、心理的安全性である」と発表して以降、世界的に注目されるようになりました。
心理的安全性が高い組織は自由闊達にアイディアや意見交換がされるので生産性が高く、ミス・失敗の報告も積極的になされるため大きな事故・トラブルの発生率も低いとされています。
職場の心理的安全性が高いと風通しがよく、同じ業務量であっても従業員が受けるストレスを緩和できます。
心理的安全性の強化はコストをかけずに実行できますので、ぜひ試してみてください。
【心理的安全性を高める方法】
- 1on1ミーティング
- 会議や打ち合わせ・ミーティングの場で、特定の人に発言が偏らないように心がける
- チェックイン・チェックアウト
- 従業員の多様性を認めてフェアな関係を築く
- ミスや失敗を積極的に報告できる空気を作る
※詳しくは以下のページをご覧ください。
中小企業であってもメンタルヘルス対策は今後必須になるので、できるだけ早めに始めたほうがよい
ここまで紹介してきたとおり、メンタルヘルス対策は大企業だけが取り組めばいい施策ではありませんし、少ない人材を活用しなければならない中小企業にこそ必要です。
また、介護・保育や小売店、運輸などのエッセンシャルワークや、建設現場や工場での仕事が多い中小企業ほど、深刻な事故やトラブルを避けるためにはメンタルヘルス対策が重要になってきます。
今後、メンタルヘルス対策に取り組んでいる中小企業とそうでない中小企業では、生産性・採用活動・事故の発生率に大きな差が付いてくると思われますので、ぜひ早めに取り組んでみてください。
メンタルヘルス対策は健康経営優良法人の評価項目にも入っていますので、健康経営を推進したい方にもお勧めです。
また、介護・保育や小売店、運輸などのエッセンシャルワークや、建設現場や工場での仕事が多い中小企業ほど、深刻な事故やトラブルを避けるためにはメンタルヘルス対策が重要になってきます。
今後、メンタルヘルス対策に取り組んでいる中小企業とそうでない中小企業では、生産性・採用活動・事故の発生率に大きな差が付いてくると思われますので、ぜひ早めに取り組んでみてください。
メンタルヘルス対策は健康経営優良法人の評価項目にも入っていますので、健康経営を推進したい方にもお勧めです。
参考ページ:健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定要件と具体的な取り組み
なお、弊社でも社員のメンタルヘルス・体調の推移をチェックし、早期対応を実現できるツール「おりこうブログHR」を提供しております。
ストレスチェック機能を搭載し、メンタルヘルスや健康経営に役立つEラーニングコンテンツ、産業医とのオンライン相談サービスも提供していますので、ご興味のある方は、以下からサービスの詳細をご覧ください。
・健康経営支援ソリューション・おりこうブログHR
なお、弊社でも社員のメンタルヘルス・体調の推移をチェックし、早期対応を実現できるツール「おりこうブログHR」を提供しております。
ストレスチェック機能を搭載し、メンタルヘルスや健康経営に役立つEラーニングコンテンツ、産業医とのオンライン相談サービスも提供していますので、ご興味のある方は、以下からサービスの詳細をご覧ください。
・健康経営支援ソリューション・おりこうブログHR