- 「従業員への受診勧奨とは具体的に何をしたらよいのかわからない・・・」
- 「従業員への受診勧奨と健康経営優良法人認定との関係が知りたい・・・」
このようなお悩みをもつ方々のために、今回は「健康経営における従業員への受診勧奨の具体例」について解説します。
従業員への受診勧奨で具体的に何をしたらよいのか、その具体例や健康経営優良法人認定で示されている受診勧奨には何が含まれるのかなどについて説明します。
目次
受診勧奨とは
受診勧奨とは、健康診断や保健指導、特定健診・特定保健指導・がん検診等を受診するよう促す行為です。企業から従業員に健康に関する検診や指導を受けるよう促し、従業員の重篤な病気の予防や早期発見を目的としています。
上記はどれも健康経営に大切な取り組みですが、今回の記事では健康経営優良法人認定にかかわる「健康診断の二次検査についての受診勧奨」に絞って説明していきます。
健康診断結果には、以下のような区分で判定がつけられることが一般的です。
A判定:異常なし | 今回の検査で、異常は認められませんでした。 | |
B判定:軽度異常 | 軽度の異常が見られたが、健康上とくに問題ない所見です。 | |
C判定:要再検査・生活改善 | 異常所見を認めます。病気に進行する恐れがあるので、再検査を受けましょう。 | |
| 異常所見が明らかです。早急に医療機関を受診し、精密検査や治療を受けましょう。 | |
E判定:治療中 | 現在治療中の所見です。治療を継続してください。 |
企業が健康診断の結果について受診勧奨を行う際は、上記C・D判定の従業員を中心に行っていくことになります。
従業員が二次検査を受けない理由
実際に企業から受診勧奨を受けても、二次検査を受けない従業員が一定数いるのも事実です。どうして二次検査を受けない従業員がいるのでしょうか。その理由を説明します。
1.検査費用がかかる
定期健康診断にかかる費用は、安全配慮義務により全額会社負担となりますが、二次検査に関しては基本的に従業員負担となります。
検査内容によっては高額な費用がかかる場合もあります。そこを負担に感じ、受診勧奨を受けても二次検査につながらないケースがあるのです。
2.本人に自覚症状がない
二次検査が必要だと判定が出ても、本人に自覚症状がなければ必要性を感じず、二次検査を受けない場合があります。
しかし、自覚症状が現れた頃にはさらに悪化している可能性がありますから、早期発見・早期治療のためにも検査を受けることが重要なのです。
3.企業から二次検査の受診を強制できない
定期健康診断に関しては、法令で定められた義務であるため、従業員は受診を拒否できません。
しかし、二次検査については、労働安全衛生法において二次検査の受診勧奨は企業の努力義務であると定められているため、受診を強制できません。
そのため企業は、対象者に強制を伴わない形で、定期的に受診勧奨を続けていく必要があります。
上記が、従業員が受診勧奨を受けても二次検査を受けない理由の一例です。
しかし二次検査を受けずにいると先ほども述べたように、病気の早期発見・早期治療が遅れてしまい、ある日突然従業員の体調が悪くなり就業できない状態になるかもしれません。従業員にとっても企業にとっても大きなリスクとなってしまいます。
それでは、従業員にきちんと二次検査を受けてもらうためにはどのような受診勧奨をしたらよいのでしょうか。
企業で行うべき受診勧奨の取り組みの具体例
次に企業で行うべき受診勧奨の取り組みの具体例を紹介します。
1.健康診断の担当者が受診対象者を把握する
正確な受診勧奨を行うためには、まず二次検査の受診対象者を把握することが大切です。
健康診断の担当者などは、従業員全体の結果を見ることができるので、そこで対象者を把握しましょう。
2.対象者に対し、メールや文書、声掛けなどを行う
受診対象者がわかったら、本人にメールや文書、声掛けなどで受診勧奨を行いましょう。この取り組みがどの企業でも行える一番簡単な取り組みです。どれか一つではなく、いろいろな方法で継続的に行うのが大切です。
3.二次検査時の就業時間認定
病院を受診する際、たとえば平日しか受診できない検査であれば従業員は休暇を取らなければなりません。それに対して抵抗を感じる従業員もいるでしょう。
企業の制度として、就業時間内で受診できる制度を導入することで、受診しやすい環境を整えられます。
4.二次検査受診の費用補助
受診勧奨をしても検査を受けない理由として、検査費用が高いことを挙げました。実際、検査費用が高いために二次検査をためらっている従業員も多いでしょう。
そこで企業から二次検査の費用補助を行うことで、受診率が高まります。
健康経営優良法人認定における“受診勧奨の取り組み”の項目
健康経営優良法人認定における受診勧奨の取り組みの設問は以下になります。
Q. 従業員への受診勧奨について、どのような取り組みを行っていますか。(それぞれいくつでも)
◆定期健康診断、保健指導、特定健診・特定保健指導の受診勧奨については該当しません。
◆女性の健康に特化している受診勧奨については該当しません。
①定期健康診断等の結果、再検査や精密検査が必要とされた従業員に対する受診を促すための取り組みまたは制度
- 対象者に対してメールや文書等により通知している
- 対象者に対して個別に声掛け・面談を行っている
- 対象者に対して個別に再検査や精密検査の日程を設定している
- イントラネット、掲示板、朝礼、会議等で受診勧奨を行っている
- 受診時の就業時間認定や有給の特別休暇付与を行っている
- 費用補助を行っている
- 受診者に対するインセンティブ(費用補助以外)を付与している
- 受診が必要な従業員に対して受診報告を義務付けて、受診状況を把握している
②従業員に対するがん検診等の任意検診の受診を促す取り組みまたは制度
- メールや文書等により受診勧奨を行っている
- イントラネット、掲示板、朝礼、会議等で受診勧奨を行っている
- 受診時の就業時間認定や有給の特別休暇付与を行っている
- 費用補助を行っている
- 受診者に対するインセンティブ(費用補助以外)を付与している
- 定期健康診断にオプションとして付加できる医療機関と契約している
積極的な受診勧奨を行い、従業員の健康を守りましょう。
企業から従業員への受診勧奨は、従業員の不調を早期発見するために非常に重要です。従業員の健康を守るためにも、再検査が必要な従業員に対して、積極的な受診勧奨を行っていきましょう。
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